ものづくり補助金平成27年度製造業山口県

加熱・冷却式小型ボールカッターの開発

株式会社ヤナギヤ

この事例のポイント

  • 水産練り製品業界の消費者需要が減少し、業界規模が縮小している。
  • 医薬品・産業用素材メーカーのニーズに沿った装置として、水産練り製品業界で評価されている自社のボールカッターをベースに、販促用の小型テスト機を開発した。
  • 試作機は既存機と同程度の処理時間で同程度の原料仕上がりを得られた。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ヤナギヤ
所在地山口県
業種生産用機械器具製造業
技術分野機械制御,材料製造プロセス,精密加工,複合・新機能材料

事業の背景

創業以来、水産練り製品業界をメインユーザーとしてきたが、消費者需要の減少に伴い業界規模が縮小していた。今後の少子高齢化で需要はさらに減り、嗜好の多様化で少量多品種化が進むことから、食品メーカーおよび食品加工機械メーカーには厳しい時代が来るという危機感があった。そこで、コア技術の一つである原料処理(捕潰)を切り口に、医薬品や産業用原料処理業界への参入を決意した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑水産練り製品業界の消費者需要が減少し、業界規模が縮小している。
  • 販路・情報発信少子高齢化で需要が減り、嗜好の多様化で少量多品種化が進むため、食品業界以外の発展可能性の高い業界へ参入する必要がある。

やったこと

医薬品・産業用素材メーカーのニーズに沿った装置として、水産練り製品業界で評価されている自社のボールカッターをベースに、販促用の小型テスト機を開発した。既存のボールカッターは150〜1000リットルの容量で医薬品等の業界には大きすぎたため、既存の利点を損なわずに小型化する必要があった。原料を粉砕するナイフ形状や角度、粉砕した原料を高速撹拌させるアーム位置を検討して小型化を進めた。既存機は高速回転するナイフ軸のシール部保護のため水冷却方式を採用しており、ボールカッター全体が冷却されて原料の加熱機構との共存が難しかったため、ナイフ軸のシール部と加熱・冷却部分を別体化し、球状容器の下半分の球を加熱・冷却する方式とした。試作機で冷凍すり身のブロックを用いて撹拌テストを行った結果、既存機と同程度の処理時間で同程度の原料仕上がりを得ることができた。

  • 加工機加熱・冷却式小型ボールカッター

新しい製品・サービス:医薬品・産業用原料向けの加熱・冷却式小型ボールカッター

事業の効果

試作機は既存機と同程度の処理時間で同程度の原料仕上がりを得られた。さらに、擂潰機など他の開放型混練撹拌機の数分の1程度の時間で処理できるため、これまでボールカッターが導入されていなかった医薬品業界等では生産工程を短縮できる可能性がある。これにより医薬品業界など新たな業界への販路拡大が期待される。

審査の観点ごとの評価

新事業進出・ものづくり補助金

観点の平均3.3 / 514観点のうち12観点で評価

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性水産練り製品向けの既存ボールカッターをベースに、創業以来のコア技術である原料処理を切り口として医薬品・産業用へ展開する一貫した経緯が示されている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性既存機の利点を損なわず小型化し、加熱・冷却機構を両立させた点が、医薬品業界での競争優位につながると読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決水産向け市場縮小という課題を認識し、医薬品・産業用原料処理への参入で解決を図る具体的な計画になっている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標処理時間の数分の1程度という記述はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    水産練り製品向けの既存ボールカッターをベースに、創業以来のコア技術である原料処理を切り口として医薬品・産業用へ展開する一貫した経緯が示されている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    既存機の利点を損なわず小型化し、加熱・冷却機構を両立させた点が、医薬品業界での競争優位につながると読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    水産向け市場縮小という課題を認識し、医薬品・産業用原料処理への参入で解決を図る具体的な計画になっている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    処理時間の数分の1程度という記述はあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    試作機の評価テストや展示会での宣伝、今後の改良計画を自社で進める体制が示されている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    医薬品・産業用原料メーカーへの展示会出展と、業界・個別企業ニーズの把握を進める計画があり、ターゲットとニーズが明確。

  • 事業化までの道筋3

    耐久性テストや各種原料テスト、操作性改良など今後の課題と進め方が段階的に示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    医薬品・産業用原料処理向けのボールカッターは導入例が少なく、処理時間の短縮で生産工程を刷新できる可能性がある点で新規性が読み取れる。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用3

    水産練り製品業界の縮小と少子高齢化による需要減少の中で、新たな業界への展開による雇用や需要の維持に触れている。

  • 費用対効果2

    処理時間が他機の数分の1程度とあるが、補助金額に対する付加価値増加や費用対効果の記述は薄い。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面3.0
  • 成長分野への進出3

    食品業界から医薬品・産業用素材など成長が見込まれる分野への進出を図る構造転換が示されている。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

今後はアームでの掻き取り残りの減少、上シャッターの軽量化、操作性向上などユーザー目線の改良を行い、球体連続負荷運転による耐久性や各種原料のテストを実施する方針である。開発したテスト機をもとに医薬品業界や産業用原料処理業界の展示会へ積極的に出展し、オーダーメイド型製品の製造につなげる。水産練り製品業界も大量生産型から少量多品種型へ移行しており、本製品は業界ニーズに適合し新たなユーザーの取り込みも期待される。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。