ものづくり補助金平成29年度製造業和歌山県

PUR製本機による作業内製化と新商品開発による新規販路開拓

この事例のポイント

  • 大量印刷物の需要がない紀南エリアで生き残るため、小ロットの印刷物に付加価値をつけて新たな印刷需要を作り出す必要があった。
  • PUR製本機を導入し、これまで外注していた製本を内製化した。
  • PUR製本機の導入により、製本の品質面で優位性を発揮できるようになった。

事業者のプロフィール

所在地和歌山県
業種印刷・同関連業
技術分野デザイン
設立1997年

事業の背景

紀南エリアを中心に、オフセット印刷からオンデマンド印刷、Web制作までを手がける町の印刷会社である。観光業やホテル業の顧客が多く、名刺や封筒、パンフレット、包装紙など幅広い要望に応えている。業界では、印刷物を安く仕入れたい需要と付加価値の高い印刷物を求める需要の二極化が進んでいる。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑大量印刷物の需要がない紀南エリアで生き残るため、小ロットの印刷物に付加価値をつけて新たな印刷需要を作り出す必要があった。
  • 納期・工程これまで外注していた製本を内製化できておらず、納期とコストの面で改善が必要だった。
  • 品質・精度厚紙やページ数の多い冊子など、品質を求める顧客の要望に製本面で応えられていなかった。

やったこと

PUR製本機を導入し、これまで外注していた製本を内製化した。PURは反応性ポリウレタン系ホットメルト接着剤で、従来のEVAより本の開きが良く、丈夫で長持ちする。オンデマンド印刷と写真撮影の技術を組み合わせ、小ロットの冊子や1枚ずつ内容を変えるバリアブル対応のアルバム、カタログ、パンフレットの制作に対応できるようにした。背の噴射量や位置を用途に応じて調整できるため、品質を求める顧客の要望にも柔軟に応えられる体制を整えた。

新しい製品・サービス:PUR製本による高品質な小ロット冊子、バリアブル対応のアルバム・カタログ・パンフレット

事業の効果

PUR製本機の導入により、製本の品質面で優位性を発揮できるようになった。製本の内製化によって納期が短縮され、外注費を抑えてコストも削減できた。オンデマンド印刷と組み合わせることで、高品質な小ロットの冊子にも対応できるようになった。これまで受注できなかった厚紙やページ数の多い冊子も小ロットで受注できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性大量印刷のない紀南エリアで小ロット付加価値品に特化し、PUR製本の内製化と写真撮影を組み合わせて競争力を持たせる点が具体的。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け既存顧客への中元・歳暮やパンフ提案、アルバム・写真集の個人・団体向け展開など、顧客ターゲットとニーズが具体的に示されている。
  • 4
    新しさ・高付加価値EVAより優位なPUR製本を導入し、厚紙やページ数の多い小ロット冊子など従来不可能だった品質領域に踏み込んでいる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標付加価値額や賃上げの目標値が示されておらず、実現可能性を判断する数字が見当たらない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    町の印刷屋として多様な需要に対応してきた実績があり、オンデマンド印刷・Web制作へ広げ、PUR製本機導入で内製化する一貫した流れが読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大量印刷のない紀南エリアで小ロット付加価値品に特化し、PUR製本の内製化と写真撮影を組み合わせて競争力を持たせる点が具体的。

  • 課題の認識と解決3

    大量印刷が少ない地域での課題を認識し、小ロット高付加価値の印刷物を提案する計画となっており、方向性は明確。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値が示されておらず、実現可能性を判断する数字が見当たらない。

  • 事業を進める体制2

    既存の印刷・撮影・Web制作の体制に触れているが、補助事業を遂行する人材や事務体制の具体的記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    既存顧客への中元・歳暮やパンフ提案、アルバム・写真集の個人・団体向け展開など、顧客ターゲットとニーズが具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    製本内製化、アルバム・カタログ市場参入、ネット活用による需要エリア拡大など段階的な展開が示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    EVAより優位なPUR製本を導入し、厚紙やページ数の多い小ロット冊子など従来不可能だった品質領域に踏み込んでいる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    大量印刷が少ない地域で小ロット需要を創出し、観光業などの地域の需要に応える点で地域経済への貢献が読み取れる。

  • 費用対効果2

    補助金額に対する付加価値増加や生産性向上の数値的な費用対効果の記述がなく、弱い。

  • イノベーションへの貢献3

    オンデマンド印刷と写真撮影を融合させ、可変印刷対応のアルバム等を提供する新しいサービス形態を示している。

政策面4.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及4

    紀南地域の観光・ホテル業の需要を取り込み、小さい市場で全て対応するポリシーで地域の事業者に密着した高付加価値事業を展開している。

今後の展望

今後はエンドユーザーに共感される写真やデザイン、製本を生かしたハイクオリティーな冊子の需要が高まると見込んでいる。商品カタログやアルバム市場に参入し、既存顧客へのお中元・お歳暮や見本市向けのパンフレット提案、個人・団体向けの写真集制作にも着手する予定である。ネットを活用した打ち合わせや商談によって需要エリアを大きく広げることを検討している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。