GXとは?DX・SXとの違い、企業の取り組み方、事例、メリット
この記事の要点
GXは温室効果ガスを減らしながら経済成長と両立させる取組みで、DXはデジタルによる変革、SXは社会課題を事業に取り込む変革です。公式資料をもとに、3つの違いと中小企業の始め方と身近な事例を整理しました。
この記事の目次
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出を減らしながら、経済成長と両立させる取り組みです。DXはデジタル技術による変革、SXは環境・社会の課題を事業に取り込む変革で、GXと互いに関係しています。中小企業は、自社のCO2排出量を把握し、省エネ設備の導入など取り組みやすいものから始められます。
GXとは何か?
GXの定義
GX(グリーントランスフォーメーション)とは、温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、経済社会システム全体を環境と調和する方向へ転換させることを指します。2020年に日本政府が表明した「2050年カーボンニュートラル宣言」を契機に、企業活動においてもGXへの取り組みが急務となっています。
従来の環境対策は、コスト削減やイメージアップの面が強いものでした。GXは、地球温暖化対策をビジネスチャンスと捉え、経済成長と両立させることを目指す点が特徴です。
GXが注目される背景
GXが注目される背景には、地球温暖化の深刻化や、脱炭素化への世界的な潮流の高まりがあります。地球温暖化による気候変動は、豪雨や猛暑などの形で私たちの生活や経済活動に影響を及ぼしており、対策は待ったなしの状況です。また、世界各国で脱炭素化に向けた政策が進められており、企業にとっても、GXへの対応は持続可能な事業成長のために不可欠となっています。
GXとSDGsの関係性
GXは、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも大きく貢献します。SDGsは、2015年に国連で採択された国際目標です。2030年までに、貧困や飢餓、教育、エネルギー、気候変動など17の目標を達成することを目指しています。GXは、特に目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」と目標13「気候変動に具体的な対策を」に深く関係しています。
GXとDX・SXはどう違う?
GXは脱炭素と経済成長の両立、DXはデジタル技術による事業の変革、SXは環境・社会の課題を事業に取り込む変革を指します。GXと混同されやすいDX(デジタルトランスフォーメーション)とSX(サステナビリティトランスフォーメーション)の中身は、次のとおりです。
DXとは何か?
DXとは、IT技術を活用して、ビジネスモデルや業務プロセス、組織文化などを抜本的に変革し、企業の競争力を強化することです。例えば、紙の業務をデジタル化して、業務の効率化やコスト削減を図る取り組みがあります。顧客データを分析して、一人ひとりに合わせたサービスを提供する取り組みもDXです。
SXとは何か?
SXとは、企業が環境問題や社会問題を事業活動に取り込み、長期的な企業価値の向上を図ることです。環境負荷の低減や人権保護、ダイバーシティ&インクルージョンなどの取り組みが含まれます。企業は、SXを通じて、社会からの期待に応え、信頼を獲得することで、持続的な成長を実現することができます。
GX・DX・SXの関係性を図解
GX、DX、SXはそれぞれ独立した考え方ではなく、互いに関係しています。例えば、再生可能エネルギーの導入や省エネといったGXには、DXによるデータ分析やIoT技術が欠かせません。
GXやDXを進めると、環境負荷の低減や社会問題の解決というSXの目標にもつながります。3つをまとめて計画すると、1つの投資で複数の効果を狙えます。
企業はなぜGXに取り組むべき?
企業がGXに取り組む理由は、新しい市場で稼ぐ機会が生まれることと、遅れると規制強化や取引先・投資家の離反で損をすることの2つです。
GXがもたらすビジネスチャンス
GXは、企業にとって新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めています。例えば、再生可能エネルギーや省エネルギー技術の開発・提供で、新たな市場が生まれると予想されます。環境負荷の低い製品・サービスや、カーボンオフセットビジネスも新しい市場の例です。また、GXに積極的に取り組む企業は、投資家や消費者からの評価が高まり、資金調達やブランドイメージの向上にもつながると考えられます。
GXへの取り組み不足によるリスク
逆に、GXへの取り組みが遅れると、企業は事業上のリスクを抱えます。例えば、環境規制の強化によるコスト増加、投資家の投資引き揚げ、消費者の不買運動などです。
地球温暖化による自然災害の増加や資源の枯渇など、経営環境の悪化も心配されます。GXへの取り組みは、企業にとって「選択」から「義務」に変わりつつあります。
GXはどんな手順で進める?
企業のGXは、推進体制づくり、戦略の策定、社内教育、技術の導入、評価指標の設定の5つの手順で進めます。
1. GX推進体制の構築
最初に、GXを進める社内体制をつくります。経営トップが先頭に立ち、全社の取り組みとして進めます。GX担当部門や専任の責任者を置くと、担当があいまいにならず、計画が止まりにくくなります。
2. GX戦略の策定
次に、自社の事業内容や経営環境などを分析し、GXに関する目標や具体的な取り組み内容を盛り込んだGX戦略を策定します。目標は、国際的な枠組みや業界の動向を踏まえ、挑戦的でも達成できる水準にします。あわせて、取り組みの内容・スケジュール・責任者を決めておきます。
3. GX推進のための社内教育
GXを進めるには、従業員一人ひとりの意識を変える必要があります。研修やセミナーで、GXが会社に与える影響と、各職場でやることを説明します。社内報やイントラネットでの情報発信や、従業員同士の意見交換の場も、取り組みを続けるのに役立ちます。
4. GX関連技術の導入
GXの目標を達成するには、再生可能エネルギーや省エネルギー設備などの技術の導入が欠かせません。導入する技術は、自社の事業内容や使える資金・人手に合わせて選びます。新しい技術の動きも定期的に確かめ、必要に応じて導入を検討します。
5. GXの評価指標の設定
GXの効果と進み具合を確かめるには、評価指標を決めておく必要があります。CO2排出量やエネルギー消費量など数字で測れる指標にすると、客観的に評価できます。評価の結果をもとに、GX戦略を見直します。
GXに取り組む企業の事例は?
電力・製造・金融の大手企業は、2050年までのCO2排出量実質ゼロなどを目標に、再生可能エネルギーや水素の活用を進めています。業種ごとに1社ずつ紹介します。
事例1:電力会社におけるGX
電力会社は、再生可能エネルギーの導入拡大や、送配電網のデジタル化など、GXに積極的に取り組んでいます。例えば、東京電力ホールディングスなどの電力会社が、脱炭素に向けた目標を公表し、再生可能エネルギー事業に取り組んでいます。
事例2:製造業におけるGX
製造業では、工場の省エネ化や、再生可能エネルギーの導入、環境負荷の低い製品の開発などのGXが進められています。例えば、トヨタ自動車などの大手メーカーが、工場のCO2排出削減の目標を掲げ、省エネ化などを進めています。
事例3:金融機関におけるGX
金融機関は、GXに関連する企業への融資や投資を拡大したり、環境負荷の低い金融商品の開発などを進めています。例えば、三菱UFJフィナンシャル・グループなどの金融機関が、脱炭素に向けた投融資の目標を公表し、再生可能エネルギー事業へのファイナンスなどに取り組んでいます。
GXに取り組むと何が得られる?
GXに取り組むと、企業価値の向上、競争力の強化、環境問題への貢献、地域社会への貢献、従業員の意識改革の5つのメリットが得られます。
1. 企業価値の向上
ESG投資が拡大する中、環境問題に積極的に取り組む企業は、投資家からの評価が高まります。GXへの取り組みは、企業価値の向上に繋がり、長期的な成長にも貢献します。
2. 競争力の強化
環境規制の強化や消費者ニーズの変化に対応するためには、GXは不可欠です。いち早くGXに取り組むことで、他社との差別化を図り、競争力を強化することができます。
3. 環境問題への貢献
地球温暖化は、私たちの社会や経済に深刻な影響を与える喫緊の課題です。GXを通じてCO2排出量を削減することは、企業の社会的責任であり、持続可能な社会の実現に貢献します。
4. 社会貢献
GXは、再生可能エネルギーの導入などを通じて、地域社会の活性化にも貢献します。また、環境問題への意識向上を促し、より良い社会を構築していくことにも繋がります。
5. 従業員の意識改革
GXを推進していく過程で、従業員の環境問題への意識が高まり、企業全体の意識改革に繋がります。従業員のモチベーション向上や人材の確保にも貢献すると考えられます。
GXに関するよくある質問
最後に、GXに関してよくある質問に答えます。
GXは中小企業でも取り組めるのか?
はい、中小企業でも取り組めます。最初に自社のCO2排出量を把握し、省エネ設備の導入や再生可能エネルギーの利用など、取り組みやすいものから始めます。設備の導入には、国や自治体の支援制度も使えます。
GXを推進するために、何か資格は必要ですか?
GXを進めるために必須の資格はありません。GXの知識を身につけると、取り組みを効果的に進められます。エネルギー管理士や環境計量士などの資格や、GXに特化した研修・セミナーも役立ちます。
GX・省エネ補助金は誰に相談できる?
GXや省エネ設備に使える補助金は、無料相談で専門家に聞けます。補助金のプロが直接お話をお伺いします。お気軽にご相談ください。
いま申請できる回(たとえばこの補助金)
新事業進出・ものづくり補助金
- 公募回
- 第1回
- 締切
- 2026年10月30日(金)18:00
公募要領の台帳より(2026年10月20日確認)
ものづくり補助金の採択事例
一覧へ同じ取り組みで、実際に採択された会社です。
IoTで塗料を減らす塗装技術を実用化し、脱炭素のものづくりへ進む
久保井塗装株式会社✓ 経産省などの認定・選定
成果高効率塗装技術の実用化に成功し、脱炭素・廃棄物ゼロをめざす取り組みが金融機関からも高く評価された。
VOICE
この補助金を使った人の声
奈良県の液状食品のOEMメーカー従業員74名ものづくり補助金の申請にあたって作成した事業計画は、その後の同社の経営計画の軸となり、補助金採択後の活動においても基盤であり続けています。
奈良県のイチゴ農園・直営飲食店従業員12名まずは経営者としての自分の時間を作れる状態にしたい。
大分県のコーヒー関連製品メーカー従業員140名国内の小規模飲食店では、料理人の人手不足などで悩んでいる事業者も多いはず。小規模飲食店が効率的に料理提供できるように支援することで、中小飲食業界に貢献したい。
出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工
中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。
まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。
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