省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型の違い|上限・経費・選び方

この記事の要点

省力化投資補助金は、カタログから製品を選ぶカタログ注文型と、自社向けに設備を組む一般型で申請の形が異なります。公募要領をもとに、補助上限・対象経費・申請の手間・採択後の義務の違いと型の選び方を整理しました。

この記事の目次
  1. 2つの型は製品の選び方と申請の形が違う
  2. 従業員数ごとの補助上限と補助率の差
  3. 補助の対象になる費用の範囲はどこまで?
  4. 申請の手間と採択後の義務の重さを比べる
  5. 迷ったときに型を決める4つの問い
  6. 採択事例は型ごとにどんな投資をした?
  7. 間違えやすい点
  8. 専門家から見た型選びのポイント
  9. よくある質問
結論

カタログ注文型は、カタログに載った汎用製品を1種類選び、販売事業者と一緒に随時申請する型です。一般型は、自社の業務に合わせて組んだ専用の設備やシステムを、公募回の締切までに事業計画書で申請して審査を受ける型です。

導入したい機械がカタログにあって単体で効果が出るならカタログ注文型、複数の機械やシステムを組み合わせて工程ごと変えるなら一般型が合います。

省力化投資補助金を使いたいものの、カタログ注文型と一般型のどちらで申請すればよいか決めかねている方に向けた記事です。

中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)の2つの型を、補助上限、使える経費、申請の手間、採択後の義務の重さで比べ、自社の投資から型を決める手順を公募要領の記載で示します。

2つの型は製品の選び方と申請の形が違う

カタログ注文型と一般型は、導入する製品をどこから選ぶかと、誰と・いつ申請するかが根本から違います。カタログ注文型でいうカタログとは、「カタログ:中小企業等が簡易・迅速に導入できる人手不足解消効果のある汎用製品を、あらかじめ補助対象として登録した製品のリスト。事務局のホームページ等で公開」のことです。

比べる点 カタログ注文型 一般型
申請の受付 令和9年3月末頃までの間に補助事業の申請を受け付ける(随時) 公募回ごとの締切(第9回は2026年12月下旬(予定))
申請のしかた 中小企業等と販売事業者が共同で交付申請(ファイナンス・リースの場合は対象リース会社も) GビズIDプライムアカウントを取得のうえ、電子申請システムにより申請
1回の申請の範囲 導入経費のみの申請、1回の交付申請で複数種類の製品を申請することは不可 同一法人・事業者の応募は公募回毎に1申請に限り、同時申請不可
導入できる設備 カタログに登録された製品だけ 人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備等を導入する事業計画。汎用設備を単体で導入する事業は対象外(組み合わせ等で高い効果を生む場合はオーダーメイド設備とみなす)
事業実施期間 交付決定通知書に記載する日(交付決定日から原則12か月以内)まで 交付決定日から17か月以内(ただし採択発表日から19か月後の日まで)

出典:省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領 p.3『1-2 定義』台帳で見る
省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.12『1-5(2)④ その他の要件』台帳で見る

カタログ注文型は製品と販売事業者が先に決まっていて、申請者は選ぶ側に回ります。一般型は設備の仕様から自社で決め、省力化の効果を数字で説明する責任も自社が負います。一般型の今の公募回の締切と要件は一般型の公募の締切と申請要件で確かめられます。

御社がこの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。

AIで対象か確認する

従業員数ごとの補助上限と補助率の差

補助上限はどちらの型も常勤の従業員数で決まり、同じ人数で比べると一般型の上限のほうが高く、補助率も小規模事業者なら一般型が有利です。

従業員数 カタログ注文型の補助上限 一般型の補助上限
5人以下 従業員5人以下:500万円(大幅な賃上げを行う場合750万円) 従業員5人以下:750万円(大幅賃上げ特例適用時1,000万円)
6〜20人 従業員6~20人:750万円(大幅な賃上げを行う場合1,000万円) 従業員6~20人:1,500万円(特例適用時2,000万円)
21〜50人 従業員21人以上:1,000万円(大幅な賃上げを行う場合1,500万円) 従業員21~50人:3,000万円(特例適用時4,000万円)
51〜100人 従業員51~100人:5,000万円(特例適用時6,500万円)
101人以上 従業員101人以上:8,000万円(特例適用時1億円)
補助率 1/2以下。省力化製品の購入価格が製品毎に設定された補助上限額の2倍を上回る場合、補助率は1/2未満 中小企業 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時 2/3)、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3

出典:省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領 p.7『2-1(1) 補助率及び補助上限額』台帳で見る
省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.9『1-4(1) 補助上限額・補助率』台帳で見る

カタログ注文型には下限もあり、「補助額の下限の定めなし(改訂No.12で「補助額が25万円未満となる申請を行うことはできない」の記載が削除された)」とされています。一般型は機械装置以外の経費に別枠の上限があり、「「機械装置・システム構築費」以外の経費は総額で500万円(税抜き)までを補助上限額とする」です。上限を引き上げる賃上げの条件は省力化投資補助金の賃上げ要件で型ごとに並べています。

補助の対象になる費用の範囲はどこまで?

カタログ注文型で補助されるのは製品本体と設置などの導入経費だけで、一般型は機械装置を軸に、システムの外注やクラウドの利用料まで広く対象になります1。

  • カタログ注文型の製品本体:製品本体価格:製品毎に事前登録されている額を上限に申請。購入に係る製品本体価格は、一部カテゴリの製品を除き単価50万円以上。
  • カタログ注文型の導入経費:導入経費(設置作業・運搬費・動作確認・マスタ設定等):製品本体価格の2割が上限。導入経費の補助額も製品本体の補助額の2割が上限。借用の場合は対象外。
  • 一般型の機械装置・システム構築費:機械装置・システム構築費(必須):必ず1つ以上、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必要(借用に要する経費は含まない)。
  • 一般型のクラウドサービス利用費:クラウドサービス利用費(任意):専ら補助事業のために利用するもの。補助事業実施期間中に要する経費のみ(超える分は按分)。サーバー購入費・端末本体は対象外。
  • 一般型の外注費:外注費(任意):専用設備の設計等の一部を外注する経費。上限額=補助対象経費総額(税抜)の2分の1。外注先が設備を購入する費用は対象外。

どちらの型でも、建物の工事や中古品は対象外です。一般型では「設置場所の整備工事や基礎工事に要する費用は対象外。「据付け」は設置と一体の軽微なものに限る」とされ、据え付けの土台を作る工事は自己負担になります。カタログに載った製品が自社で使えるかの条件はカタログ製品が補助の対象になる条件で取り上げています。

申請の手間と採択後の義務の重さを比べる

申請の手間はカタログ注文型のほうが軽く、採択後の報告の期間も一般型より短くなります。

比べる点 カタログ注文型 一般型
採択までの期間 採択・交付決定は申請から概ね1~2か月程度の予定。一度交付申請した申請は、採否が決まるまで取り下げられない。 締切後に審査委員会が書面で審査し、採択発表日はホームページで告知
審査で見られる点 審査の着眼点:(1)省力化効果の合理的説明と高い労働生産性向上・付加価値増加 (2)大幅な賃上げを含む賃上げへの積極的な取組 書面審査(2) 技術面:省力化指数、投資回収期間、付加価値額、オーダーメイド設備の4つの観点
面談 なし 口頭審査:ソフトウェア投資やシステム開発等、書面で理解が難しい案件を中心に選定し、オンライン(Zoom等)で1事業者30分程度。対象者にのみ連絡
採択後の報告 効果報告期間は3年間(3回目の効果報告を行うまで)。期限までに提出がない場合は交付決定取消の場合あり 事業計画期間の1年目が終了してから最初の4月より5年間、毎年効果報告。事業場内最低賃金の確認のため賃金台帳を提出

出典:省力化投資補助金 カタログ注文型 応募・交付申請の手引き p.6『1. 本事業の概要』台帳で見る
省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.34『5-3 口頭審査』台帳で見る

一般型は、事業計画書で示した数字を採択後も毎年の効果報告で確かめられ、賃上げの目標に届かないと返還が求められます。カタログ注文型も効果報告を出さないと交付決定の取消があるため、どちらも「買って終わり」にはなりません。採択から入金までの流れは補助金が入金されるまでの流れで取り上げています。

迷ったときに型を決める4つの問い

型は、次の4つの問いに順に答えると決まります。1つ目で「いいえ」なら、その時点で一般型を考えます。

  1. 入れたい機械のカテゴリがカタログにあるか:カテゴリがあっても、導入する省力化製品に紐付けられた業種の少なくとも1つ以上が、中小企業等の営む事業の業種と合致が条件です。
  2. 1種類の製品で課題が片づくか:洗浄と搬送のように2つの工程を同時に変えたいなら、カタログ注文型では1回で申請できません。
  3. 機械を単体で置くだけで効果が出るか:一般型は汎用品を1台置くだけの計画を対象にしないため、単体で足りるならカタログ注文型が向きます。
  4. 締切までに事業計画書を作る時間があるか:一般型は省力化指数や投資回収期間の根拠まで自社で書くので、見積と計算に時間がかかります。

2つの型は、同じ経費でなければ両方を使えます。一般型の審査では「カタログ注文型の製品カタログに登録されているカテゴリに該当する製品を一般型で導入する場合、審査の際に一部考慮」とも書かれていて、カタログのカテゴリに当たる製品を一般型の計画に組み込むこともできます。飲食店で使える製品の例は飲食店で省力化投資補助金を使う方法で紹介しています。

採択事例は型ごとにどんな投資をした?

採択事例を型で分けると、カタログ注文型は1つの作業を既製品で置き換え、一般型は店や工場の工程に合わせた装置やライン一式を入れています。従業員が数人の店でも、工程を自社用に組むなら一般型を選んでいます。

型 事業者と入れたもの 成果
カタログ注文型 愛知県のガソリンスタンド。給油機のそばで使う給油許可のタブレット 導入店の収益が2〜3割増え、アプリの登録者が毎月100〜200件増加(事例ページ)
一般型 東京都の業務用麺の製造。丸め・包装・冷凍庫への搬送をつなぐ製造ライン一式 中華麺の総作業時間が1日600分から400分に(事例ページ)
一般型 宮城県のジェラートの製造販売。店の製造に合わせた冷却・撹拌の装置一式 製造時間が1日6時間から4.3時間に(事例ページ)
一般型 山口県の従業員2人の畳店。裁断と框縫いの協働ロボットと割付計算ソフト 手作業が1日2.8時間から0.7時間に(事例ページ)

一般型の3件は、どれも浮いた時間を新商品の開発や営業に回す計画にしています。

間違えやすい点

型選びのあとでつまずきやすいのは、契約の時期、2つの型の経費の重なり、カタログ注文型の申請の回数の3つです。

  1. どちらの型も、交付決定の前に契約した機械は補助されません。カタログ注文型では「交付決定の通知を受けてから補助事業に着手(契約・納品・支払も補助事業に含む)」と決まっています。

  2. 同じ機械の代金を、カタログ注文型と一般型の両方に入れることはできません。両方を使うときは、どの機械をどちらで申請するかを先に分けておきます。

  3. カタログ注文型で2つ目の製品を申請できるのは、1つ目の補助金の支払いが終わってからです。2つの製品を続けて入れたい計画なら、入金までの期間も含めて順番を組みます。

採択後に補助金が減る場面は採択後に補助金が減額になるケースでまとめています。

どこで評価が分かれるかは、事業の中身によって変わります。御社の計画でどう書けばよいかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

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専門家から見た型選びのポイント

型選びで迷う会社の多くは、カタログで足りる投資を一般型で大きく構えるか、逆に工程全体を変えたいのにカタログの1製品で済ませようとしています。省力化投資補助金の採択事例では、カタログ掲載の省力化製品を使った事例が57.1%、一般型の機械装置・システム構築費を使った事例が42.9%で、どちらの型も多く使われています。

カタログ注文型で早く始めたほうがよい会社

人手が足りない業務が1つにはっきりしていて、その業務に合う製品カテゴリがカタログにある会社です。配膳、食器の洗浄、券の販売のように、機械が人の作業をそのまま置き換えられる業務なら、計画書の負担が軽い型で早く導入したほうが人手不足の解消も早くなります。

一般型で計画を練ったほうがよい会社

受け入れから検品、加工、出荷までのように、複数の工程を機械とシステムでつなぎたい会社です。オーダーメイドの設備は効果の説明がしやすく、審査で見られる省力化指数も高く出せます。そのかわり、口頭審査では代表者自身が計画を説明できる状態にしておきます。一般型の申請の手順は一般型の申請ガイドで取り上げています。

省力化補助金の採択データ

中小企業省力化投資補助金(一般型)の第6回の採択率は63.9%でした。採択事例では製造業が39%と最も多く、経費はカタログ掲載の省力化製品が57%の事例で使われています。

採択率の推移

第6回63.9%
直近5回の平均64.5%

採択事例 28件採択事例を見る ›

出典(1件)
  1. 中小企業庁「採択結果」・ミラサポplus(第2回〜第6回)
採択率は採択数÷応募数で計算しています。業種・経費は、国・省庁などが公開している採択事例28件を数えた割合です(1つの事例で複数使うため、合計は100%を超えることがあります)。

よくある質問

カタログにない製品はどちらの型で申請しますか?

一般型で申請します。カタログ注文型はカタログに登録された製品だけが対象です。ただし一般型でも、汎用品を1台置くだけの計画は対象になりません。

カタログ注文型と一般型は両方使えますか?

使えます。同じ補助対象経費でなければ併用できます。

個人事業主も申請できますか?

どちらの型も個人事業主は申請できます。一般型は、応募時点で従業員が0名の事業者を対象外としています。

一般型の採択率はどのくらいですか?

直近の第6回は63.9%です。この数字は一般型のもので、カタログ注文型の採択率ではありません。

型を決める前に何を準備すればいいですか?

GビズIDプライムの取得と、直近2期分の決算書の用意です。どちらの型も電子申請にGビズIDプライムが要ります。

ほかの「よくある質問」を見る

型選び以外の疑問は補助金のよくある質問で答えています。

ほかの質問も見る省力化投資補助金のよくある質問
出典(1件)
  1. 省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.20『3-1 補助対象経費』

いま申請できる回

中小企業省力化投資補助金

公募回
第9回
締切
2026年12月下旬(予定)

公募要領の台帳より(2026年11月2日確認)

よく採択されているテーマ

中小企業省力化投資補助金で採択された計画7,432件を、やりたいことで分けました。

中小企業省力化投資補助金では「設備導入」が70%で一番多く、次が「業務システム・IT」(23%)です。

業種ごとのテーマを見る ›

「設備導入」で採択された計画名の例

  • 老朽化した下水道管を守る!非開削工法による省力化事業
  • 専用農機の複合導入による水稲栽培方法の転換と効率化
  • 限界生産性が高い道央圏向け鉄骨加工量増加のための省力化投資

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この補助金を使った人の声

  • 資金面はもちろん、自分の会社を改めて深く知ることができた

    愛知県の鉄鋼業の会社
  • 本補助金へのチャレンジをきっかけに経営計画や販売促進の重要性を認識することができた。

    鮨店の事業者
出典:国・省庁などの公開情報をもとに加工

公開されている採択事例の中の、事業者ご本人の発言を原文のまま引用しています。

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

この記事の更新履歴
  • 最新の公募要領と照らして、数字や制度名を直しました

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