ものづくり補助金平成24年度東京都

60分木製防火戸の開発と商品化

有限会社松丸建具店

成果防火時間 24分→60分

この事例のポイント

  • 木製防火戸は防火性能を持たせるとコストが上がるため、建物全体から見て安価な建具に決められてしまい、採用されないことが多い。
  • 集成桐パネルと不燃紙(グランデックス)を組み合わせ、基本パネルの厚みを9mmおよび12mmと定めて3層・4層・5層の構成を検討した。
  • 防火時間 24分→60分。桐材による予備試験2回で60分防火戸の開発に成功し、特許申請を経て本試験を行う予定である。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社松丸建具店
所在地東京都 江戸川区
業種木材・木製品製造業(家具を除く)
技術分野組込みソフトウェア
従業員数2人
資本金3,000万円
設立2005年

事業の背景

有限会社松丸建具店は、7年ほど前に集成桐パネルを3層構造とした20分防火戸『ソフ戸』を開発している。建築物の開口部では建具の使用が予算で決まり、木製建具は安価なものに決められやすい。『ソフ戸』は防火性能を持つが、建物全体を網羅するには60分防火戸が必要とされていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • コスト・採算木製防火戸は防火性能を持たせるとコストが上がるため、建物全体から見て安価な建具に決められてしまい、採用されないことが多い。
  • 新製品・新技術従来の木製防火戸は木口に加熱発泡材を仕込んだ扉と木桟の組み合わせで、そのコストのかかる部分を減らす必要がある。
  • 品質・精度60分防火戸では鍵穴部、蝶番部、ドアクローザー取付部が非常時の弱点となりやすく、その部分の構造開発が必要である。

やったこと

集成桐パネルと不燃紙(グランデックス)を組み合わせ、基本パネルの厚みを9mmおよび12mmと定めて3層・4層・5層の構成を検討した。1200度のガスバーナーを使い、60分防火戸試験に値する試験方法を開発した。桐材と不燃紙と接着剤を組み合わせて多種類の試作品を作り、簡易評価テストを繰り返した。耐熱性の高い有機-無機複合型の接着剤を開発し、鍵穴部、蝶番部、ドアクローザー取付部の改良も行った。予備試験では、ナラ材(比重0.65)の試作品を1200度で燃やしたところ24分と35分で火が貫通したため、弱点部を意識した構成に変更した。扉の枠には比重0.2の桐材を木口方向に積層したものを試作し、扉・枠ともに同一の桐材で製品化できることを確認した。

新しい製品・サービス:60分木製防火戸『ハート』(ローコストタイプ)

事業の効果

  • 防火時間 24分→60分
  • 木枠・木扉の60分防火戸は製品構成の90%以上を桐材が占める。

桐材による予備試験2回で60分防火戸の開発に成功し、特許申請を経て本試験を行う予定である。国産桐材で製造することでエコマークが取得でき、利益率を重視して販売できる購買層への販売が可能になる。建材試験センターでの本試験後、一般住宅と高齢者住宅への展開を見込んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.7 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    『ソフ戸』(20分防火戸)を7年ほど前に開発し、その基礎を発展させて60分防火戸『ハート』を開発する流れが書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    桐材が製品の90%以上を占め、国産桐材で製造しエコマーク取得が可能と、素材面の強みと市場での差別化が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    木製防火戸はコスト高で採用されにくいという課題を認識し、ローコスト化で解決する方向が書かれているが、事業計画の数値は示されていない。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    特許取得や建材試験センター・加工専門業者との共同開発、担当分担が書かれており、体制の一部がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高齢者住宅、自治体、設計事務所など顧客ターゲットと、エコマーク・調湿効果という選ばれる理由が具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋4

    予備試験の結果を踏まえた対策と本試験・建材試験センターでの評価、その後の展開予定が段階的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    世界初の桐材による木製防火戸として開発し、高い防火性能を実現した点が明示され、新しい分野での高付加価値性が読み取れる。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    木製建具の普及による地域の環境対策や公的機関への導入働きかけがうかがえるが、経済波及効果や雇用創出の記述はない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    加熱発泡材を使わず桐材で構成する新しい素材活用がうかがえるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    国産桐材を使い、地元自治体への導入働きかけが書かれ、地域資源を活かす点はうかがえるが、雇用や地域経済成長の記述は薄い。

今後の展望

建材試験センター設定工場での本試験終了後、一般住宅と高齢者住宅へ展開する予定である。温暖化対策に取り組む自治体や公的機関、環境を重視する設計事務所への導入も働きかける。収納庫『蔵之介』は富裕層向けの製品として見込んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。