ものづくり補助金平成24年度大阪府

多工程同時加工によって生産性を高めたホットプレス量産型の開発

株式会社ウチダ

この事例のポイント

  • ホットプレスは冷間プレスと比べて依然数倍の時間がかかり、生産性の課題が山積している。
  • フォーミングとトリムの不要部分除去を同一工程で行う多工程同時加工により、ホットプレス量産型の金型を開発した。
  • 多工程同時加工により生産効率が上がり、金型数が減ることで製造コストの低下にもつながると見込まれる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ウチダ
所在地大阪府 大東市
業種金属製品製造業
技術分野動力伝達
従業員数124人
資本金3,000万円
設立1964年

事業の背景

1964年の設立以来、国内大手自動車部品メーカーを主要取引先として、普通乗用車や軽自動車のボディ部品のプレス金型の設計・製作を続けてきた。超ハイテン材のセンターピラーやフロントピラーなど約400点のボディ補強材の金型を生産している。国内自動車市場の縮小と生産拠点のグローバル化が進み、国内金型メーカーの淘汰も進みつつある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力ホットプレスは冷間プレスと比べて依然数倍の時間がかかり、生産性の課題が山積している。
  • 新製品・新技術高強度と軽量化を両立する部品のニーズが高まる一方、日本車へのホットプレス部品の採用はまだ少ない。
  • 新製品・新技術国内の各部品メーカーがホットプレス関連の設備投資に踏み切れず、同社の金型受注を広げるには差別化された新技術が必要だった。

やったこと

フォーミングとトリムの不要部分除去を同一工程で行う多工程同時加工により、ホットプレス量産型の金型を開発した。ホットプレス専用シミュレーションで水冷却の最適化を行い、大阪府立産業技術総合研究所の試験装置で共同試験を実施して温度ひずみ速度の依存性データを得た。そのデータをもとに自社で金型の検証を繰り返し、量産金型用のホットプレスシミュレーション手法を確立した。試作を重ねるなかで、フォームとトリムを1型で同時加工する手法も確立した。

新しい製品・サービス:多工程同時加工によるホットプレス量産型金型

事業の効果

多工程同時加工により生産効率が上がり、金型数が減ることで製造コストの低下にもつながると見込まれる。ホットプレス量産金型の技術を確立し、材料特性を把握したことで営業展開上の強みを得た。冷却配管の最適化の目処もついたため、将来の更なる高強度化の要求にもホットプレスで対応できるようになった。今後は加熱炉や冷却水供給装置などの付帯装置の商品展開も視野に入れている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性国内自動車市場の縮小と海外移転に触れ、材料特性の把握が他社には再現困難で営業上の強みになると述べ、強み・弱みを踏まえた記述がある。
  • 4
    課題の認識と解決ホットプレスは冷間プレスより数倍時間がかかる生産性の課題を挙げ、多工程同時加工で生産性を高める具体的な解決策と展開計画が示されている。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標1型2,500万円で開始し、2年目2型、3年目3型、4年目4型、5年目10型へ拡大する数値目標が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

伸びしろがあった観点

  • 2
    波及効果・雇用自動車部品の高強度・軽量化ニーズに触れるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由の具体的記述は限られる。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    1964年の設立以来右肩上がりで成長し、ボディ補強材の金型を約400点生産してきた実績が書かれ、ホットプレス金型は既存事業の延長として位置付けられている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内自動車市場の縮小と海外移転に触れ、材料特性の把握が他社には再現困難で営業上の強みになると述べ、強み・弱みを踏まえた記述がある。

  • 課題の認識と解決4

    ホットプレスは冷間プレスより数倍時間がかかる生産性の課題を挙げ、多工程同時加工で生産性を高める具体的な解決策と展開計画が示されている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    1型2,500万円で開始し、2年目2型、3年目3型、4年目4型、5年目10型へ拡大する数値目標が示されている。ただし付加価値額や賃上げの目標は書かれていない。

  • 事業を進める体制3

    大阪府立産業技術総合研究所との共同試験や品質管理責任者のコメントはあるが、補助事業を遂行する人員体制や事務処理能力の記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車の衝突安全性と軽量化のニーズ、先行する欧州車に比べ採用が少ない状況を挙げ、他社と差別化した金型を提供する理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    シミュレーションとトライアルを重ねる方針や製品展開の段階は示されているが、遂行スケジュールや課題の解決方法の詳細は薄い。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ホットプレス採用は欧州車に比べ日本車で少なく、市場性の薄い材料を使う点や、他社が再現しにくい差別化された金型である点が書かれている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用2

    自動車部品の高強度・軽量化ニーズに触れるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由の具体的記述は限られる。

  • 費用対効果3

    金型数の減少による製造コスト低下と生産効率向上が期待できると書かれているが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    シミュレーション手法の確立は書かれているが、デジタル技術を活用したサプライチェーン全体へのイノベーション貢献は読み取りにくい。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    自動車の高強度・軽量化という成長分野の需要に触れているが、日本経済の構造転換に資するという記述は見当たらない。

  • 地域経済への波及2

    大東市に本社があることは分かるが、地域の特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は読み取れない。

今後の展望

今後もホットプレスの採用は拡大する見通しで、本シミュレーションを用いてさらなる新技術の開発につなげたいとしている。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。