ものづくり補助金平成24年度大阪府

一般住宅用ローコストの簡易型浸水防止装置の試作開発

株式会社マルテン商会

成果取付け工事費を入れても7〜5万円以下という試作品の完成に至った。

この事例のポイント

  • 一般住宅は浸水対策が少なく、ビル向けの止水板装置は高価で施工費も高いため、一般住宅には役立ちにくい。
  • 止水板装置、浸水防止壁、排水装置の3つで構成する浸水防止装置を開発した。
  • 取付け工事費を入れても7〜5万円以下という試作品の完成に至った。一般住宅に取り付けられる低コストの浸水防止装置の試作品が完成し、目標とした24時間にわたり1m程度の水を防ぐ性能を満た…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社マルテン商会
所在地大阪府 大阪市北区
業種その他の専門サービス業
技術分野塗装
従業員数9人
資本金1,000万円
設立1919年

事業の背景

同社は1919年創業の帆布・テント製造の老舗で、テント設置工事や内装工事を手掛けてきた。テント設置と内装工事の両事業で安定した営業基盤を持つ。近年は台風や局地的集中豪雨により全国で住宅の浸水被害が増加しており、ビル・企業向けの取付け用止水板装置は平均50万円ほどで、取付け施工費が100万円以上かかるものが多い。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • その他一般住宅は浸水対策が少なく、ビル向けの止水板装置は高価で施工費も高いため、一般住宅には役立ちにくい。
  • コスト・採算浸水被害者から求められている、一般住宅向けのローコストな簡易型浸水防止装置がなかった。

やったこと

止水板装置、浸水防止壁、排水装置の3つで構成する浸水防止装置を開発した。止水板装置は門や玄関などの開口部に設置し、床面と端面をゴム製の防水膜構造とし、水深が増すほど防水機能が強くなるよう設計した。浸水防止壁は住宅の周囲をカバーし、防水帆布をマジックテープで固定する膜状構造を採用して平常時の収納を容易にした。排水装置は緩い傾斜を付けたU字溝と安価なポンプを組み合わせ、雨水を外部へ排出する。目標性能は24時間にわたり1m程度の高さの水を防御できることとし、各装置の試作・機能テスト、取付け工事を含む試作を実施した。

新しい製品・サービス:一般住宅用ローコスト浸水防止装置(止水板装置、浸水防止壁、排水装置で構成)

事業の効果

  • 取付け工事費を入れても7〜5万円以下という試作品の完成に至った。

一般住宅に取り付けられる低コストの浸水防止装置の試作品が完成し、目標とした24時間にわたり1m程度の水を防ぐ性能を満たした。提供価格は通常の浸水防止工事の約30分の1程度に抑えられる見込みである。一方、実際の洪水状況下での機能検査は未実施で、評価試験には半年以上の準備と約1千万円の費用が課題となっている。また、社内では新しいものづくりへの取り組みを通じて従業員間の情報共有と社内活性化にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 514観点のうち12観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性ビル向け止水板が平均50万円・施工100万円超なのに対し、一般住宅向けに提供価格を通常工事の1/30程度に抑えた点で、外部環境と自社の防水帆布技術を踏まえた優位性が具体的に読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決浸水被害の増加と住民の声を課題として認識し、浸水防止壁や排水装置を組み合わせた具体的な解決策を示している。事業計画としての高付加価値化・成長までは書かれていない。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けゲリラ豪雨による住宅浸水への不安と、一般住宅向けの低コスト製品という顧客ターゲットが明確で、ニーズの裏付けとして大阪府内2,000〜3,000世帯の被害推計が示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制従業員9人で新しいものづくりに取り組んだ旨はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は乏しい。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    1919年創業の帆布・テント事業と内装工事を基盤に、防水帆布の技術を住宅浸水防止へ展開しており、過去の強みとの連続性は読み取れるが、経営戦略上の明確な位置づけは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    ビル向け止水板が平均50万円・施工100万円超なのに対し、一般住宅向けに提供価格を通常工事の1/30程度に抑えた点で、外部環境と自社の防水帆布技術を踏まえた優位性が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    浸水被害の増加と住民の声を課題として認識し、浸水防止壁や排水装置を組み合わせた具体的な解決策を示している。事業計画としての高付加価値化・成長までは書かれていない。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    24時間で1m程度の水を防御、取付け込み7-5万円以下という目標と試作品完成は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員9人で新しいものづくりに取り組んだ旨はうかがえるが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述は乏しい。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ゲリラ豪雨による住宅浸水への不安と、一般住宅向けの低コスト製品という顧客ターゲットが明確で、ニーズの裏付けとして大阪府内2,000〜3,000世帯の被害推計が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    実環境での機能検査が未実施で、準備に半年以上、試験に1千万円近くかかる課題と改良継続が示されているが、解決の具体的スケジュールは乏しい。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    一般住宅向け浸水防止は比較的ニッチな分野とされる一方、既存のビル向け製品より低コストで住宅に特化しており、同分野で高付加価値化を図る内容が読み取れる。

公的補助の必要性2.5
  • 波及効果・雇用2

    住宅浸水被害の増加という社会課題への対応はうかがえるが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的な理由は書かれていない。

  • 費用対効果3

    取付け込み7-5万円以下に抑えた低コスト化と、ビル向けの1/30程度という価格差は示されているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.0
  • 成長分野への進出ー

    公開情報では判断できません。

  • 地域経済への波及2

    大阪市北区の企業として浸水被害の多い地域へ提供する方向はうかがえるが、地域の特性を活かした雇用や経済成長への言及は乏しい。

今後の展望

国交省によると大阪府内だけでも2,000〜3,000世帯が3〜4年に一度程度の浸水被害に遭うとされ、全国では数万件の需要が想定される。ニッチ市場ではあるが潜在ニーズは高く、一般住宅に特化したコスト・機能面の優位性で競争優位のビジネスモデルを構築したいと考えている。

事業者の声

「新しいものづくり」と社内活性化の両面で大きな成果があったと思います。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。