ものづくり補助金平成27年度建設業山口県

水に接触すると硬化する【固まるフレコンバッグ】の事業化

中村建設株式会社

この事例のポイント

  • 従来の大型土のうは紫外線劣化により半年から1年で袋が破れ、紫外線に強い素材でも耐用期間は3年程度が限界だった。
  • 水をかけるだけでスレート並の強度に固化する「固まるフレコンバッグ」の生産設備を自社で設計・開発した。
  • 本事業で水で固まるフレコンバッグの製造装置の開発が完了した。

事業者のプロフィール

事業者名中村建設株式会社
所在地山口県
業種総合工事業
技術分野複合・新機能材料

事業の背景

台風や集中豪雨により全国各地で河川堤防の被害が多発しており、災害現場では大型土のう(フレコンバッグ)による一時的な防災処置が行われているが、本復旧までに数年以上かかっている。当社は水で膨らむ高分子ポリマー土のう「水ピタ」を自社生産し、日本全国へ販売している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来の大型土のうは紫外線劣化により半年から1年で袋が破れ、紫外線に強い素材でも耐用期間は3年程度が限界だった。
  • 新製品・新技術既存の水ピタより耐用期間の長い大型土のう袋を求める強い要望があった。
  • 生産能力小型ラインでは目標とする1日の生産量と製品単価の達成が困難だった。

やったこと

水をかけるだけでスレート並の強度に固化する「固まるフレコンバッグ」の生産設備を自社で設計・開発した。設備は「立体ネット製造ライン」と「セメント含浸ライン」の2ラインからなる。立体ネット製造ラインでは、立体ネットと基礎シートを溶着させる最適な温度と稼働速度を確認した。セメント含浸ラインでは、セメント投下量、セメント過多分の掻き出し性能、転圧性能の3項目を検証し、セメントを投下した立体ネットに不織布を貼る際に過多のセメントを掻き出しスクリューで取り除く仕組みを構築した。各装置の試運転と性能検証を行った。

  • 加工機立体ネット製造ラインセメント含浸ライン

新しい製品・サービス:固まるフレコンバッグ(水をかけるだけでスレート並の強度に硬化し、10年以上の耐久性を備えた大型土のう)

事業の効果

本事業で水で固まるフレコンバッグの製造装置の開発が完了した。転圧性能に一部改良が残るものの、その他の項目では一定の成果を得た。2019年3月を目途に商品改良を済ませて検査機関による性能検査を受け、2019年5月の製品販売開始を目標としている。販売先は国内ゼネコンと中小建設会社を想定し、ベトナム、マレーシア、インドネシアなどの海外新興国についても販路開拓を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.3 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    顧客とニーズの裏付けスレート並の強度と10年以上の耐久性、従来品の耐用3年との比較、国内ゼネコン・中小建設会社への販売想定が具体的に書かれている。
  • 4
    これまでの取組との一貫性水ピタを自社生産・全国販売している実績があり、耐用期間の長い大型土のうへの要望から本事業に至った経緯が書かれている。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性半年〜1年で破損する従来品に対し10年以上の耐久性を示し、自社で生産設備を設計開発した点に強みがうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制体制や人材についての記述は乏しく、国内外の関係機関と連携して販路開拓を目指すという点のみうかがえる。
経営戦略との整合性4.0
  • これまでの取組との一貫性4

    水ピタを自社生産・全国販売している実績があり、耐用期間の長い大型土のうへの要望から本事業に至った経緯が書かれている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    半年〜1年で破損する従来品に対し10年以上の耐久性を示し、自社で生産設備を設計開発した点に強みがうかがえる。

  • 課題の認識と解決4

    小型ラインでは1日の生産量と製品単価の目標達成が困難という課題を認識し、2ライン設備で解決を図っている。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標3

    1日の生産量と製品単価の目標は示されているが、数値が書かれておらず付加価値額の目標や実現可能性の根拠は薄い。

  • 事業を進める体制2

    体制や人材についての記述は乏しく、国内外の関係機関と連携して販路開拓を目指すという点のみうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け5

    スレート並の強度と10年以上の耐久性、従来品の耐用3年との比較、国内ゼネコン・中小建設会社への販売想定が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋4

    2019年3月の商品改良、検査機関での性能検査、2019年5月の販売開始という時期が示され、転圧性能の一部改良も課題として挙がっている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    従来の数年の耐用期間に対し10年以上の耐久性を持つ高付加価値品として、既存の防災資材と差別化されている点が読み取れる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用4

    台風や集中豪雨による河川堤防被害の多発、本復旧に数年を要する現状、海外新興国への展開が公益性として示されている。

  • 費用対効果2

    投資額や付加価値額の増加、生産性向上の数値は示されておらず、耐久性の向上がわずかにうかがえるのみである。

  • イノベーションへの貢献2

    自社で生産設備を開発した点は読み取れるが、先端デジタル技術や新しいビジネスモデルへの言及は乏しい。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    防災分野の需要や海外展開にふれているが、市場成長や日本経済の構造転換との関係は明確に書かれていない。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

2019年5月の販売開始を目標に、国内ゼネコンや中小建設会社向けに販売し、関係機関と連携して海外新興国の販路開拓を進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。