ものづくり補助金平成27年度製造業山口県

製品の曲りや外観不良等を抑えた高品質肉厚ポリエチレンパイプの開発

有限会社嶋村化成

この事例のポイント

  • ポリエチレンパイプは外観のばらつきや接着性に課題があった。
  • 新規設備を導入し、冷却工程を「バキュームバス方式」から「バキュームスプレーシャワー方式」へ変更した。
  • 冷却方式の変更により、冷却ムラが軽減され均一な冷却が可能になり、パイプの曲がりを一定規格以内に抑え、真円度もJIS規格以内のだ円度に改善できた。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社嶋村化成
所在地山口県
業種プラスチック製品製造業
技術分野製造環境

事業の背景

ポリエチレンパイプは安価で耐久性に優れ、耐薬品性や耐候性などの性能も高いため、様々な用途での活用が期待されている。近年、農業土木工事の給配水に使われる鋳鉄管や鋼管は価格が非常に高く、錆びることが課題となっていた。これをポリエチレンパイプに置き換えられれば課題が解消されるとともに、他分野での活用も見込める。顧客要望に積極的に応えるため、高品質で肉厚のポリエチレンパイプの開発に取り組むこととした。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ポリエチレンパイプは外観のばらつきや接着性に課題があった。
  • 品質・精度150mm前後の肉厚の高耐圧パイプでは曲がりや真円度が不足し、埋設時の接合部の隙間による水漏れや、接続時のずれの原因となっていた。
  • 品質・精度製造工程の冷却工程とスリーブ加工工程が上記の課題の原因となっていた。
  • 人手・技能スリーブ加工は作業員の熟練度に左右され、品質の均一性や外観不良の課題があった。

やったこと

新規設備を導入し、冷却工程を「バキュームバス方式」から「バキュームスプレーシャワー方式」へ変更した。これにより従来方式に比べ冷却ムラが軽減され均一な冷却が可能となり、パイプへの水圧が下がって小さな減圧でパイプを膨らませられるようになった。その結果、パイプの曲がりを一定規格以内に抑え、真円度もJIS規格以内のだ円度に改善した。またパイプ内壁のくぼみや縦筋も冷却精度の向上により解決した。さらにスリーブ加工を手動のスリーブによる加熱方法から自動電熱ヒーターによる加熱方法へ切り替え、品質の均一性や外観不良を自動化により改善した。

  • 加工機バキュームスプレーシャワー方式の冷却設備自動電熱ヒーター

新しい製品・サービス:150mm前後の肉厚の高耐圧ポリエチレンパイプ

事業の効果

冷却方式の変更により、冷却ムラが軽減され均一な冷却が可能になり、パイプの曲がりを一定規格以内に抑え、真円度もJIS規格以内のだ円度に改善できた。内壁のくぼみや縦筋も解決した。スリーブ加工の自動化により、作業員の熟練度に左右されていた品質の均一性や外観不良も改善された。これにより高品質で肉厚のポリエチレンパイプを製造できるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.7 / 514観点のうち11観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決曲り、真円度不足、冷却ムラ、外観不良という課題を認識し、冷却工程とスリーブ加工工程の改善で解決する方針が具体的に書かれている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け耐薬品性や軽量で取扱いが容易、比較的安価という製品の価値と、農業土木や土木工事、工場給排水の対象分野が整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    これまでの取組との一貫性既存のポリエチレンパイプ事業の延長として新分野開拓を目指すとあるが、過去の取組との具体的な関連は示されていない。
経営戦略との整合性3.0
  • これまでの取組との一貫性2

    既存のポリエチレンパイプ事業の延長として新分野開拓を目指すとあるが、過去の取組との具体的な関連は示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    農業土木・土木工事分野で強みを持つと記載があり、工場給排水分野へのシェア向上を見込むとあるが、数値の裏付けはない。

  • 課題の認識と解決4

    曲り、真円度不足、冷却ムラ、外観不良という課題を認識し、冷却工程とスリーブ加工工程の改善で解決する方針が具体的に書かれている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    シェア向上や付加価値向上への寄与は見込まれているが、具体的な目標値や数値は示されていない。

  • 事業を進める体制ー

    公開情報では判断できません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    耐薬品性や軽量で取扱いが容易、比較的安価という製品の価値と、農業土木や土木工事、工場給排水の対象分野が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    新規設備導入と工程方式の切り替えは記載があるが、実施スケジュールや中長期の検証内容は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    鋳鉄管や鋼管からの置き換えによる新用途開拓を狙うが、高価格化や高水準の付加価値化を示す記述は乏しい。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    環境にやさしいポリエチレン素材の活用に触れているが、国が補助する理由となる波及効果や雇用創出は書かれていない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献2

    自動電熱ヒーターによる自動化は記載があるが、デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は具体的に書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    他素材からの置き換えによる新用途開拓を見込むとあるが、日本経済の構造転換に資する具体的な成長分野への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及ー

    公開情報では判断できません。

今後の展望

ポリエチレンの利用促進と鋳鉄管や鋼管からの置き換えによる新用途開拓を見込んでいる。農業土木分野や土木工事分野に加え、工場給排水分野などでのシェア向上を見込んでいる。ポリエチレンの特徴を活かした品質改善で当該製品分野の発展と付加価値向上に寄与し、環境にやさしいポリエチレン素材を活用した事業展開も考えていく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成27年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。