ものづくり補助金平成24年度兵庫県

癒しの「吸音ソファ」の開発

谷水加工板工業株式会社

この事例のポイント

  • 船舶の国際条約で居住区域の騒音規制が厳しくなったが、基準を満たす船舶用の遮音パネルがなかった。
  • 船舶用の仕切り防音パネル「おとのん」を開発した。
  • 船舶用パネル「おとのん」は厚さを抑えながら遮音性能が高く、線路際で人の声が聞き取れない騒音を会話ができる程度まで減衰できる。

事業者のプロフィール

事業者名谷水加工板工業株式会社
所在地兵庫県 丹波市
業種窯業・土石製品製造業
技術分野繊維加工
従業員数16人
資本金1,000万円
設立1969年

事業の背景

谷水加工板工業は木毛セメント板の生産工場として起業し、昭和49年に日本工業規格の許可工場となって、大手ハウスメーカーに外壁材を供給してきた。平成9年には品質認証を取得し、住宅用の内装・断熱パネルを製造している。製造の中で複合材料をパネルに仕上げる技術を蓄積し、組立式防音室や産業用不燃系防音室を商品化して販路を広げていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術船舶の国際条約で居住区域の騒音規制が厳しくなったが、基準を満たす船舶用の遮音パネルがなかった。
  • コスト・採算船舶用パネルは、低コストと品質を両立した量産品として提供する必要があった。
  • 新製品・新技術家庭向け吸音パネルの売り上げは伸びていたが、百貨店から求められたインテリア性の高い吸音商品がなかった。

やったこと

船舶用の仕切り防音パネル「おとのん」を開発した。ロックウールと人造硬質石膏ボードを主素材とし、それぞれの吸音・遮音特性を評価して低コストで高性能な材料を選んだ。パネルの厚みを38mmに抑え、継ぎ目部分は塩ビ化粧鋼板を貼って強化した。試験で遮音・火災試験に合格し、日本海事協会の型式承認を得た後、海上公試などの実績を積み上げている。また吸音ソファ「Sound clear sofa」の商品コンセプトを定め、音の評価技術を開発し、仮説と検証を繰り返して機能性と意匠性を備えたソファを作った。

新しい製品・サービス:船舶用間仕切り遮音パネル「おとのん」と吸音ソファ「Sound clear sofa」

事業の効果

船舶用パネル「おとのん」は厚さを抑えながら遮音性能が高く、線路際で人の声が聞き取れない騒音を会話ができる程度まで減衰できる。船内の居住空間に使うことで乗組員の音環境の改善が期待される。吸音ソファは一般的な吸音パネル16枚分の吸音能力を一台に備え、室内の余分な音の反射を抑えて心地よい音環境をつくる。百貨店との商談を通じて新しい分野の商品を展開し、売上の拡大につながる見込みである。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性木毛セメント板の生産から防音室・遮音パネルへと複合材料の技術を蓄積してきた経緯が示され、船舶用パネルは既存の延長線上にある。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け船舶用「おとのん」は遮音性能と厚み、吸音ソファは吸音パネル16枚分の能力と、製品価値と顧客像が具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値国内で少ない船舶用遮音パネルの国産開発や、同社の複合化技術による高機能な吸音ソファという新分野への挑戦が書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標船舶用パネルは厚み38mmで遮音等級Dr35を達成とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性4

    木毛セメント板の生産から防音室・遮音パネルへと複合材料の技術を蓄積してきた経緯が示され、船舶用パネルは既存の延長線上にある。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    船舶の国際条約による騒音規制の厳格化に対応した点は読み取れるが、競合や市場規模との比較による優位性の記述は薄い。

  • 課題の認識と解決3

    家庭向け吸音パネルの売上増やバイヤーからの要望といった課題認識はあるが、事業計画全体の数値目標や成長見通しは示されていない。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    船舶用パネルは厚み38mmで遮音等級Dr35を達成とあるが、付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    従業員16人の企業で設計部長が登場するが、補助事業を遂行する人材配置や事務体制の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    船舶用「おとのん」は遮音性能と厚み、吸音ソファは吸音パネル16枚分の能力と、製品価値と顧客像が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    日本海事協会の型式承認を経て海上公試等の実績を積む段階とあるが、今後の遂行スケジュールや課題解決方法は詳しく示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    国内で少ない船舶用遮音パネルの国産開発や、同社の複合化技術による高機能な吸音ソファという新分野への挑戦が書かれている。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    船舶の騒音規制対応による乗組員の音環境改善が期待されると書かれるが、波及効果や雇用創出への言及は乏しい。

  • 費用対効果2

    厚み抑制と低コスト材料選択の工夫は記載があるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    船舶用や一般向け吸音製品への進出が新分野挑戦として書かれるが、日本経済の構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及3

    兵庫県丹波市の地域企業として製品開発を進めている点は読み取れるが、地域の特性を活かした経済成長への具体的な効果は薄い。

今後の展望

船舶用パネルは海上公試などの実績を積み上げており、今後の展開が期待される。

事業者の声

静かに暮らす幸せと音が選べるぜいたくを大勢の人に届ける

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。