ものづくり補助金平成24年度神奈川県

半導体チップ(個片)への貫通電極形成技術開発

株式会社ザイキューブ

成果試作開発コスト 3,000万円→500万円

この事例のポイント

  • フルサイズのシリコンウエハに対するTSV電極形成加工を、個片チップレベルで行う技術は論理的には理解できても実際に実現できるか不明だった。
  • ものづくり補助金により、チップレベルTSV電極形成加工技術の実用化検証に必要な直接人件費と外注加工費の補助を受けた。
  • 試作開発コスト 3,000万円→500万円。今回確立した技術により顧客の試作コストを大幅に削減でき、顧客は何度も試行錯誤ができるようになる。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ザイキューブ
所在地神奈川県 横浜市
業種電子部品・デバイス・電子回路製造業
技術分野電子部品・デバイスの実装
従業員数6人
資本金3,400万円
設立2002年

事業の背景

株式会社ザイキューブは、中小企業基盤整備機構が運営する東工大ベンチャープラザ(横浜市)で半導体素子及びコンピュータシステムの研究・開発・製造・販売を行っている。サポイン事業を通じて国の支援を受け、技術の確立と特許取得を進めてきた。大手メーカーが通例担ってきた基礎技術研究開発を、近年は人員削減で研究開発費が減る中でベンチャー企業が担うようになっている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術フルサイズのシリコンウエハに対するTSV電極形成加工を、個片チップレベルで行う技術は論理的には理解できても実際に実現できるか不明だった。
  • 品質・精度微細な寸法を扱う加工で、求められる精度を本当に実現できるかが課題だった。
  • コスト・採算ターゲット顧客の加工要請は1枚数千万円、個片チップでも数十〜数百万円と高額になる場合があり、失敗は許されなかった。
  • 新製品・新技術高額な加工を確実に行える加工プロセスを確立できるかが問われており、実用化段階に進めることが必要だった。

やったこと

ものづくり補助金により、チップレベルTSV電極形成加工技術の実用化検証に必要な直接人件費と外注加工費の補助を受けた。既存技術と同等の精度を実現し、生産プロセスフローを確立した。チップを加工用キャリアに付ける接着剤の素材選定など、試行錯誤を重ねてノウハウを蓄積した。外注先の大手材料メーカー技術者と仕様検討や情報交換を行い、様々な材料特性や処理条件データを蓄積した。

新しい製品・サービス:チップレベルTSV電極形成加工技術(半導体チップ個片への貫通電極形成技術)

事業の効果

  • 試作開発コスト 3,000万円→500万円
  • 顧客の試作コストを1/5〜1/10まで削減できる

今回確立した技術により顧客の試作コストを大幅に削減でき、顧客は何度も試行錯誤ができるようになる。既存技術と同等の精度と生産プロセスフローを確立し、社員のスキルアップや人材育成にも貢献した。神奈川県の電子情報システムメーカーや研究開発機関への売り込みがしやすくなり、材料メーカーとの連携を通じて地域産業への貢献も進んでいる。セミコンジャパン出展などで認知度が高まり、試作案件の引合いが着実に増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    サポイン事業を通じた技術確立・特許取得の流れが書かれ、過去の取組との一貫性はうかがえるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    顧客の試作コストを1/5〜1/10に削減できること、神奈川県に顧客企業が多いことなど、市場と自社技術の強みが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    試作コスト上昇という顧客側の課題を認識しているが、高付加価値化・成長につながる計画の詳細は具体性が薄い。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの目標値は書かれておらず、試作コスト削減効果の数字のみで目標値の実現可能性は判断しにくい。

  • 事業を進める体制3

    社員のスキルアップや外注先大手材料メーカーとの連携が書かれるが、補助事業を遂行する体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    1回3000万円の試作を500万円に削減できる等の具体的な価値と、半導体試作を求める顧客ターゲットが示されている。

  • 事業化までの道筋3

    接着剤素材選定など試行錯誤の課題と解決過程は書かれるが、今後のスケジュールや中長期の遂行計画は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    世界にまだ存在しない技術の実用化として、既存技術と同等の精度実現と生産プロセス確立が具体的に書かれている。

公的補助の必要性67%
  • 波及効果・雇用4

    神奈川県の産業への波及、県内電子情報システムメーカーとの連携、地域産業への貢献が具体的に書かれている。

  • 費用対効果3

    試作コストの大幅削減という効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数字は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    半導体の微細加工技術で高度な製品試作に貢献するとあるが、デジタル技術の活用やサプライチェーンへの貢献の記述は限定的。

政策面70%
  • 成長分野への進出3

    半導体試作コスト削減と新規事業の後押しが書かれ、成長分野への進出はうかがえるが、構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及4

    神奈川県の産業集積を活かし、地域の研究機関や企業との循環を生んでいる点が具体的に書かれている。

事業者の声

当社がいなくなっただと困る企業が多くあるのではと自負しており、地域産業への貢献効果をとても感じております。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。