ものづくり補助金平成29年度製造業北海道

自動ハーネス分離処理装置の導入による生産性の向上と収益の増加

石上車輌株式会社

この事例のポイント

  • 手作業によるマテリアルリサイクルでは作業効率が上がらず、解体作業の効率化が課題だった。
  • 恵庭工場に倉庫兼部品生産ラインを備えたマテリアル作業棟を新設し、ワイヤーハーネスを粉砕して銅と被覆部に選別するハーネスナゲットプラントを導入した。
  • プラントの導入により、ハーネスの被覆のプラスチックやビニールを的確かつ効率的に除去できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名石上車輌株式会社
所在地北海道
業種非鉄金属製造業
技術分野製造環境
設立1971年

事業の背景

石上車輌は1971年に創業し、自動車リサイクルと中古部品販売を主要事業としている。使用済み車の解体処理やリビルト部品の製造を恵庭工場などで行っている。1980年代後半から中国は安い人件費を背景に、日本の使用済み自動車のワイヤーハーネスを輸入し、主に手作業で分別してマテリアルリサイクルしてきた。しかし近年は中国が廃棄物の輸入規制を進めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力手作業によるマテリアルリサイクルでは作業効率が上がらず、解体作業の効率化が課題だった。
  • 人手・技能手作業での分別は労働環境に負担が大きく、その改善が必要だった。
  • コスト・採算ワイヤーハーネスの被覆に使われるプラスチックやビニールの処理コストが難点となっていた。
  • その他2018年に廃棄物の輸入禁止リストに自動車スクラップが追加され、ワイヤーハーネスの処理問題が浮上した。

やったこと

恵庭工場に倉庫兼部品生産ラインを備えたマテリアル作業棟を新設し、ワイヤーハーネスを粉砕して銅と被覆部に選別するハーネスナゲットプラントを導入した。ナゲット処理とはハーネスの被覆を取り除き、中身の銅線をチップ化する工程である。銅ナゲットで販売すると、ハーネスのままで販売するより価格が倍以上になるという。解体作業工程では、抜き取ったハーネスがナゲット処理設備の前に落とし込まれるようにラインを組んだ。

  • 加工機ハーネスナゲットプラント

事業の効果

プラントの導入により、ハーネスの被覆のプラスチックやビニールを的確かつ効率的に除去できるようになった。高品質な銅の回収が可能になり、付加価値の高い出荷ができるようになった。手作業と比べて作業の効率化と労働環境の改善が実現し、生産性も高まった。国内向け原材料として安定供給が可能になり、環境負荷低減の取り組み強化にもつながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    これまでの取組との一貫性1971年創業の自動車リサイクル事業の延長として、恵庭工場に解体とハーネス処理のプラントを新設しており、既存事業との一貫性が読み取れる。
  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性銅ナゲットで販売するとハーネスのままより倍以上の価格になると記載があり、中国の輸入規制を見越して国内で高度な銅回収を行う優位性が示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け銅ナゲットは価格が倍以上になり、EVやハイブリッド車の普及によるモーター用銅素材の需要増を見込むなど、製品価値と需要の裏付けが示されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標生産性向上と収益増加を掲げているが、目標とする付加価値額や賃上げの数値目標は記載がなく、実現可能性は判断しにくい。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性4

    1971年創業の自動車リサイクル事業の延長として、恵庭工場に解体とハーネス処理のプラントを新設しており、既存事業との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    銅ナゲットで販売するとハーネスのままより倍以上の価格になると記載があり、中国の輸入規制を見越して国内で高度な銅回収を行う優位性が示されている。

  • 課題の認識と解決3

    ハーネス被覆の処理コストや手作業分別の課題を認識し、ナゲット処理プラントの導入で効率化と高付加価値出荷につなげる流れが整理されている。

事業の実現可能性2.6
  • 付加価値・賃上げの目標2

    生産性向上と収益増加を掲げているが、目標とする付加価値額や賃上げの数値目標は記載がなく、実現可能性は判断しにくい。

  • 事業を進める体制2

    社員教育や内部体制の再構築に触れているが、本事業を遂行する人員配置や事務体制の具体的な記述は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    銅ナゲットは価格が倍以上になり、EVやハイブリッド車の普及によるモーター用銅素材の需要増を見込むなど、製品価値と需要の裏付けが示されている。

  • 事業化までの道筋2

    プラント導入と稼働の経緯は書かれているが、導入後の段階的な遂行方法やスケジュール、課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性3.0
  • 新しさ・高付加価値3

    銅ナゲットの販売価格がハーネスのままの倍以上になるとあり、同分野の中で高付加価値化を図る取組であることが読み取れる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    国内向け原材料として安定供給が可能になり、中国の輸入規制を受けた国内資源循環の体制づくりに貢献する点が示されている。

  • 費用対効果2

    生産性や作業効率の向上に触れているが、投入額に対する付加価値増加などの費用対効果を示す数字は記載されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    ハーネスの粉砕と銅の選別という設備導入は示されているが、先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの記述はほぼない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    電気自動車やハイブリッド車の普及によるモーター用銅需要の増加を見据え、リサイクル材の高度回収という成長分野への対応が示されている。

  • 地域経済への波及2

    道内でリサイクル事業を展開する企業であることは分かるが、地域の雇用創出や地域経済への波及効果は具体的に示されていない。

今後の展望

電気自動車やハイブリッド自動車の普及が進み、モーター用などの銅素材の需要増に伴うリサイクル材の価格上昇が見込まれるため、その先高感を見込んだ対応でもある。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成29年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。