ものづくり補助金平成30年度製造業愛知県

回転装置を活用した溶接ロボットによる生産性向上計画

株式会社建重製作所

成果溶接作業時間(20カ所) 6分→2分

この事例のポイント

  • デジタル技術の発達によりシミュレーション検証が増え、試作品を用いた検証が減少傾向にあった。
  • 平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を活用し、溶接ロボット1台と回転装置を増設した。
  • 溶接作業時間(20カ所) 6分→2分。性能確認車用部品の製造を始めたことで売上は約20%向上し、新たな事業の柱として成長している。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社建重製作所
所在地愛知県 豊田市
業種生産用機械器具製造業
技術分野精密加工,立体造形
従業員数34人
資本金1,000万円
設立1973年

事業の背景

株式会社建重製作所は、大手自動車メーカー向けにセンターピラーやバンパーなどプレス骨格部品の試作を手がけ、金型や治具の設計・製造から製品製作まで社内で一貫している。短納期での多品種少量生産が可能で、積極的に設備投資し高性能な加工機をそろえてきた。一方、デジタル技術の発達によりシミュレーション上の検証が増え、試作品を用いた検証は減少傾向にあった。そこで自動車が量産される前の性能確認段階に着目し、性能確認車用部品は試作品より生産数・発注数が多く売り上げの拡大が狙えると判断した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力デジタル技術の発達によりシミュレーション検証が増え、試作品を用いた検証が減少傾向にあった。
  • 生産能力性能確認車用部品は通常100個単位の量産が必要で、短納期に対応するにはスポット溶接の工程を効率化する必要があった。
  • 人手・技能熟練の職人が人手でスポット溶接しており、現状より作業時間を短縮するのが困難だった。
  • 生産能力骨格部品は大型化の傾向にあり、人力で溶接するのが難しい製品もあった。
  • 生産能力既設の溶接ロボットでは量産対応が困難で、納期に対応するには設備の増設が不可欠だった。
  • 品質・精度100個単位の製品の品質を安定させるノウハウがなく、溶接精度の安定化に試行錯誤が必要だった。
  • 生産能力試作は繰り返しがなく生産性を上げる必要がなかったため、各工程や加工の効率を検証する風土がなかった。

やったこと

平成30年度補正ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金を活用し、溶接ロボット1台と回転装置を増設した。回転装置で加工対象物(ワーク)を回転させることで、アームの移動範囲を超えた部分も含め同時に複数カ所の溶接が可能になった。専用治具を用いて正確な位置決めを行い、段取り時間を大幅に削減した。人手で溶接した場合に20カ所で約6分かかっていた作業を、ロボットと回転装置の活用で2分以内に短縮した。溶接精度の安定化のため製品の固定カ所を増やしてワークのズレを抑え、自社製治具で微修正を迅速に行った。ティーチングによりプログラムを改善し、顧客の指摘を受けて6分の加工を5分程度に短縮できると判明した。

ロボット溶接ロボット
加工機回転装置
金型専用治具

新しい製品・サービス:性能確認車用部品

事業の効果

  • 溶接作業時間(20カ所) 6分→2分

性能確認車用部品の製造を始めたことで売上は約20%向上し、新たな事業の柱として成長している。溶接ロボットと回転装置の導入により、20カ所の溶接作業は人手の約6分からおよそ2分以内に短縮された。工場の集約により移動時間がなくなり、職人の作業時間を確保するとともに大型部品の運搬コストも削減された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    試作部品の製作から性能確認車用部品へ参入し、既存の試作事業を拡張した経緯が書かれているが、経営戦略上の位置付けの明示は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    大手自動車メーカー向けの試作を社内一貫で手がける強みと、試作減少を受けて性能確認車用部品に着目した経緯が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    試作減少という課題に対し、性能確認車用部品への参入で売上約20%向上につながったと具体的に書かれている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    加工時間の数値目標は示されるが、20カ所約6分から2分以内への短縮など実績寄りで、賃上げや付加価値の目標値は読み取れない。

  • 事業を進める体制4

    自社で治具を製造でき、1年かけて溶接ノウハウを蓄積したことや社内教育の徹底が書かれ、遂行体制がうかがえる。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    大型骨格部品や性能確認車用部品という製品の特徴は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は限定的。

  • 事業化までの道筋4

    溶接精度の安定化に1年を要したことや、ティーチングで6分から5分程度に改善した課題解決の経緯が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性40%
  • 新しさ・高付加価値2

    自動車部品の試作・量産分野での高付加価値化をうかがわせる記述はあるが、普及度や高水準の価格設定は明示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    地域の自動車産業のサプライチェーンに関わる記述はあるが、雇用創出や波及効果の定量的な記載はない。

  • 費用対効果3

    既設1台に加え溶接ロボット1台と回転装置を増設し、加工時間短縮と売上向上の効果が書かれているが、費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    ロボットと回転装置による溶接自動化で、大型部品の溶接を可能にした点は読み取れるが、デジタル技術の活用度は限定的。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    EV部品や大型部品への受注拡大を志向する記述があり、自動車分野の構造転換への関連がうかがえる程度。

  • 地域経済への波及2

    愛知県豊田市の企業であることは示されるが、地域特性を活かした付加価値創出の記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

1つの性能確認車用部品のオーダー数は増加する傾向にある。将来を見据えてEV部品や大型部品を積極的に受注しつつ、生産の効率化を図る方針である。新素材にも対応できるよう環境を整えていく。

  • 目標:性能確認車向け部品製造を始めたことで売上げは約20%向上
  • 目標:移動時間 60分/日→0分/日

事業者の声

将来を見据えて電気自動車(EV)部品や大型部品を積極的に受注しつつ、より生産の効率化を図りたい

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。