ものづくり補助金平成24年度福岡県

バチルス属菌を使用したネギ属重要4病害を抑制する複合的生物的防除剤の開発

中村産業開発株式会社

この事例のポイント

  • 既存の生物的防除剤は1種の病害にしか効かないため、病害ごとに使い分ける作業負担が大きい。
  • 福岡県工業技術センターとの共同研究で、約5,000株のバチルス属菌ライブラリから重要4病害に有効な菌株を実験室レベルで選抜した。
  • ポット試験により、選抜した6菌株を混合した試作品が、葉ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラの4種すべてに対して重要4病害に有効な複合パターンとなった。

事業者のプロフィール

事業者名中村産業開発株式会社
所在地福岡県 田川市
業種その他の卸売業
技術分野発酵
従業員数17人
資本金1,000万円

事業の背景

ネギ属作物は全国で約53,000 haの作付けがあり、病害で葉先が少し枯れるだけでも商品価値が大きく下がるため、畑作物の中でも防除剤の需要が高い。防除剤の市場規模は約106億円と推測され、その大半を化学的防除剤が占めている。生物的防除剤は食の安全や環境保全の面で優位性があるが、既存品は1種の病害にしか効かないという限界がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能既存の生物的防除剤は1種の病害にしか効かないため、病害ごとに使い分ける作業負担が大きい。
  • 品質・精度既存の生物的防除剤は効く病害が限られるため、病害を誤診した場合の損失も大きい。

やったこと

福岡県工業技術センターとの共同研究で、約5,000株のバチルス属菌ライブラリから重要4病害に有効な菌株を実験室レベルで選抜した。その後、鉢植えの作物を用いたポット試験により、葉ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラの4種に対して重要4病害の抑制効果を測定し、有効性が確認された40菌株から効能の高い6菌株を選抜した。選抜した6菌株は拮抗試験で互いの生育を阻害しないことを確認した。さらに6菌株の混合パターンを複数試作し、ポット試験で効果を測定した。併せて、安価な培養方法の開発と、拡散性・散布性・展着性・保存性に優れた補助剤の混合比の検討を行った。

新しい製品・サービス:ネギ属重要4病害を1剤で抑制する複合的生物的防除剤の試作品

事業の効果

ポット試験により、選抜した6菌株を混合した試作品が、葉ネギ、タマネギ、ニンニク、ニラの4種すべてに対して重要4病害に有効な複合パターンとなった。従来のバチルス属菌培地は魚肉エキスやペプトンを使うため高価だったが、同程度の効果を安価に得られる培養方法を開発した。拡散性、散布性、展着性、保存性に優れた補助剤の混合比も得た。安全性試験では6菌株すべてが下痢毒素を産出することが確認されたが、その他の懸念された毒性は安全性が確認された。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 5
    付加価値・賃上げの目標作付面積当たりのコストを既存品比50%程度に抑える目標と、5年目に九州でシェア9%を狙う数値目標が示されている。
  • 4
    課題の認識と解決既存品は1種の病害にのみ有効で作業負担大・誤診時の損失大と課題が明示され、重要4病害対応の複合剤で解決を図る点が具体的。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け4種の作物と重要4病害に有効な複合剤という価値、九州を当面のターゲットとする点が書かれている。ただし顧客ニーズの裏付けは薄い。

伸びしろがあった観点

  • 2
    イノベーションへの貢献菌株の選抜や培養法の開発はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の生物的防除剤の課題を踏まえた開発とあるが、過去の事業との一貫性や経営戦略上の位置付けは書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    市場規模約106億円、化学的防除剤が大半を占めると書かれ、外部環境は示されているが、自社の強みとの関係は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決4

    既存品は1種の病害にのみ有効で作業負担大・誤診時の損失大と課題が明示され、重要4病害対応の複合剤で解決を図る点が具体的。

事業の実現可能性3.8
  • 付加価値・賃上げの目標5

    作付面積当たりのコストを既存品比50%程度に抑える目標と、5年目に九州でシェア9%を狙う数値目標が示されている。

  • 事業を進める体制3

    福岡県工業技術センターとの共同研究、試験の一部を日本食品分析センターへ委託すると書かれるが、社内の人員体制や事務処理能力は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    4種の作物と重要4病害に有効な複合剤という価値、九州を当面のターゲットとする点が書かれている。ただし顧客ニーズの裏付けは薄い。

  • 事業化までの道筋4

    ポット試験、安全性試験、培養法開発、補助剤選定、試作、テスト販売3年と段階的な遂行方法が書かれ、残課題も示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    既存の生物的防除剤は1種の病害向けで、重要4病害を一剤で抑える複合剤は同分野で高付加価値を狙うものと読み取れる。

公的補助の必要性2.7
  • 波及効果・雇用3

    食の安全や環境保全面の優位性が述べられているが、雇用創出や波及効果への言及は薄い。

  • 費用対効果3

    作業負担の軽減と既存品比50%程度のコスト目標があるが、補助金額に対する付加価値増加の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    菌株の選抜や培養法の開発はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーンへの貢献は書かれていない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    化学防除剤から生物防除剤への移行を志向するとあり、食の安全・環境面の方向性がうかがえるが、構造転換への言及は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    福岡県工業技術センターとの連携や九州ターゲットから地域性がうかがえるが、地域の経済成長や雇用への貢献は書かれていない。

今後の展望

事業終了後3年間はテスト販売期間とし、ユーザーからのフィードバックをもとに改良を加える計画である。既存の化学的防除剤と比べた費用対効果や、作業負担と防除効果の実績データを収集する。当面は九州を販売対象とし、5年目に九州でのシェア9%を狙う。残課題は、検出された下痢毒素が農産物に与える影響を確認することである。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。