ものづくり補助金平成24年度鹿児島県

シラス(火山灰)を用いた微小な高強度バルーンの試作開発

株式会社井川産業

この事例のポイント

  • 従来のシラスバルーンは30μm未満の中空粒子の製造が極めて困難だった。
  • 従来のシラスを膨らませる方法ではなく、シラスを溶融させて球状粒子を製造する新しい製造方法を考案し、確立した。
  • 溶融による製造方法により、従来は困難だった微小な中空粒子を真球に近い形状で作れるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社井川産業
所在地鹿児島県 薩摩郡さつま町
業種一般機械器具製造業
技術分野溶射・蒸着
従業員数57人
資本金3,000万円
設立1982年

事業の背景

火山噴出物のシラスを焼成して作るシラスバルーンは、耐熱性・耐薬品性に優れた天然素材の軽量フィラーである。一方で中空粒子としての強度が不足し、天然素材ゆえに規格化や高品質化が難しく、用途が限られていた。市場ではシラスに限らず中空・球状粒子が年間数百キロから数百トン規模で用途ごとに広く使われており、自動車の樹脂・塗料・ゴムへの添加や化粧品への配合などで需要がある。メーカーはより小さく球状化した製品を求めている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度従来のシラスバルーンは30μm未満の中空粒子の製造が極めて困難だった。
  • 品質・精度中空粒子の壁厚をコントロールできず、これが強度不足の一因となっていた。
  • 品質・精度粒子の真球度が低く複合化時の抵抗が大きいため流動性が悪く、壊れやすかった。
  • 品質・精度粒子内部の水分の量や位置が均一でなく、形状がいびつになりやすく微小化が困難だった。
  • 品質・精度膜厚を制御できず、膨らませる過程で膜が薄くなり中空粒子の強度が弱くなっていた。

やったこと

従来のシラスを膨らませる方法ではなく、シラスを溶融させて球状粒子を製造する新しい製造方法を考案し、確立した。この方法により粒子の形状を真球に近づけ、粒子径を数μmから十数μmの微小なものにできた。従来品と試作品の表面を200倍、断面を従来品1,000倍・試作品5,000倍で観察し、形状と構造を比較した。その結果、微小で高強度な高強度バルーンを製造することが可能となった。

新しい製品・サービス:微小で高強度な高強度シラスバルーン(試作品)

事業の効果

溶融による製造方法により、従来は困難だった微小な中空粒子を真球に近い形状で作れるようになった。粒子が微小化し強度も高まったことで、従来の天然素材の軽量フィラーとしての弱点を克服できた。これにより自動車や化粧品など様々な市場で活用できる高品質な製品としての展開が見込めるようになった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.8 / 514観点のうち11観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    課題の認識と解決従来品は30μm未満の製造が困難で壁厚も制御できず強度不足だったという課題を明示し、溶融による球状化で解決を図ったと具体的に書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値シラスバルーンより小さく球状化した製品をメーカーが求めていると書かれ、従来品より高水準の製品を目指す点がうかがえる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標粒子径が数μm〜十数μmになると書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    シラスバルーンの製造を続けてきた事業の延長として開発に取り組んだことは読み取れるが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    自動車や化粧品などの市場で活用可能な高品質・微小な製品を目指したと書かれているが、競争優位の根拠となる数字や比較は示されていない。

  • 課題の認識と解決4

    従来品は30μm未満の製造が困難で壁厚も制御できず強度不足だったという課題を明示し、溶融による球状化で解決を図ったと具体的に書かれている。

事業の実現可能性2.5
  • 付加価値・賃上げの目標2

    粒子径が数μm〜十数μmになると書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制ー

    公開情報では判断できません。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    自動車の樹脂・塗料・ゴムへの添加や化粧品での洗浄効果など用途は書かれているが、顧客ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋2

    技術開発の経緯は書かれているが、今後の遂行スケジュールや課題解決の方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    シラスバルーンより小さく球状化した製品をメーカーが求めていると書かれ、従来品より高水準の製品を目指す点がうかがえる。

公的補助の必要性2.0
  • 波及効果・雇用2

    自動車や化粧品など幅広い市場で需要増大が期待できるとあるが、波及効果や雇用創出の具体的な記述はない。

  • 費用対効果ー

    公開情報では判断できません。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    中空・球状粒子の需要増大が見込まれると書かれているが、日本経済の構造転換との関係は書かれていない。

  • 地域経済への波及3

    鹿児島県薩摩郡さつま町の天然素材シラスを活用した事業と読み取れるが、地域の雇用や成長への寄与は具体的に書かれていない。

今後の展望

メーカーはより小さく球状化した製品を求めており、今後の需要増大が期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。