ものづくり補助金平成24年度佐賀県

コンパクトで低価格な木質系バイオマスの低騒音粉砕機の試作研究開発

株式会社大橋

成果騒音値(7m、最良条件) 94dB→75dB

この事例のポイント

  • 既存の樹木粉砕機は作業中の騒音値が110dB/1mと高く、市街地での作業ができない。
  • 騒音測定の地点を測定機器メーカーと打ち合わせて決め、発生ポイントから7m、地上高1mを測定点とし、あわせて1・2・3・4・5・7・10mでも測定して測定条件によるばらつきを確認し…
  • 騒音値(7m、最良条件) 94dB→75dB。投入部の二重構造や吸音材の配置、刃の改良などにより、粉砕時の高音域の騒音が低減し、耳障りな音が減った。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社大橋
所在地佐賀県 神埼市
業種生産用機械器具製造業
技術分野切削加工
従業員数65人
資本金3,175万円

事業の背景

本産業分野はニッチ市場のため、大企業や製品開発力の乏しい中小・零細企業は進出しにくい分野である。世界的にCO2削減が求められ、樹木をチップ化して作る木質バイオマス燃料は化石燃料の代替エネルギーとして期待されている。日本国内だけでなく欧米でも環境負荷低減が強く叫ばれており、環境にやさしい低騒音粉砕機には需要があるが、ユーザーが望む機械の商品化は遅れている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術既存の樹木粉砕機は作業中の騒音値が110dB/1mと高く、市街地での作業ができない。
  • 新製品・新技術環境にやさしい低騒音粉砕機は需要があるが、ユーザーが望む機械の商品化が遅れている。
  • 販路・情報発信本産業分野はニッチ市場のため、大企業や製品開発力の乏しい中小・零細企業は進出しにくい。

やったこと

騒音測定の地点を測定機器メーカーと打ち合わせて決め、発生ポイントから7m、地上高1mを測定点とし、あわせて1・2・3・4・5・7・10mでも測定して測定条件によるばらつきを確認した。試験材は騒音が最も高くなる竹100mmで比較する計画だったが、竹は中が空洞で割れる音が高く騒音値が安定しなかったため、材料を45mm角材に変更して再テストした。現状機の基準値は1mで109dB、7mで94dBであった。投入部は開口部からの漏れ音を塞ぎ音を吸収する設計とし、二重構造にして外部に制振材を貼り、内部の吸音材は量産で使いにくいため耐火材を代用した結果、7mで86dBとなった。粉砕部の回転数を3840rpmから3200rpm、3000rpmへ下げると7mで89dB、86.5dBとなり、ビット式の分割刃に変えて8500rpmで行うと83dBとなった。刃を左右対称から片側をずらして常に1個の刃で粉砕するように配置すると81.8dB、刃物を斜めに研磨して点で切断するようにすると77.9dBとなった。飛散防止ガードの隙間は塩化ビニールから吸音材に替えて枚数と配置を変えたところ76.5dB、エンジン周りの破砕部との隙間と投入口側にも吸音材を付けると75dBとなった。竹100mmの粉砕では平均84dBで、角材45mmより9dB大きかった。

新しい製品・サービス:コンパクトで低価格な木質系バイオマス向けの低騒音破砕機(自走式、目標騒音値80dB/1m)

事業の効果

  • 騒音値(7m、最良条件) 94dB→75dB

投入部の二重構造や吸音材の配置、刃の改良などにより、粉砕時の高音域の騒音が低減し、耳障りな音が減った。直接音も大きく下がり、数値以上の効果が得られたと考えている。目標値の80dB/1mにはまだ届いていない。自走式で目標値を達成できれば、国内外で性能面の優位に立てる。市街地でも粉砕が可能になり、チップで運べる量が増えて運搬コストも下がる。生産は現状の生産ラインをそのまま使えるため、量産化も容易である。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.0 / 514観点のうち13観点で評価

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性騒音110dBから目標80dBへの低減、他社は定置式か数dB低減程度との比較が書かれ、競争優位の根拠が具体的に読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け市街地で使える低騒音機、チップ需要増、他社製品との違いが具体的に述べられ、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。
  • 4
    新しさ・高付加価値木質バイオマス分野はニッチ市場で大企業や中小が進出しにくいと記され、騒音80dBの自走式は他社に少ないとされる。

伸びしろがあった観点

  • 2
    付加価値・賃上げの目標目標80dBに対し現状84dBで未達とある。高付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    既存の樹木粉砕機の商品化遅れと、ベース機を基に改良する方針が書かれている。経営戦略上の位置付けは具体的に示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    騒音110dBから目標80dBへの低減、他社は定置式か数dB低減程度との比較が書かれ、競争優位の根拠が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    騒音が市街地作業の課題と整理されている。高付加価値化・成長への具体的な事業計画は薄い。

事業の実現可能性2.8
  • 付加価値・賃上げの目標2

    目標80dBに対し現状84dBで未達とある。高付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    試作の測定体制として測定機器メーカーとの打合せが触れられるが、人材や事務処理体制は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    市街地で使える低騒音機、チップ需要増、他社製品との違いが具体的に述べられ、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    破砕部・エンジン周り・カバーの対策を今後進める方針が示されるが、スケジュールや期限は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    木質バイオマス分野はニッチ市場で大企業や中小が進出しにくいと記され、騒音80dBの自走式は他社に少ないとされる。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用4

    CO2削減やバイオマス発電所の計画、欧米での環境負荷低減の需要など国の政策に関わる波及効果が述べられている。

  • 費用対効果2

    価格が100万円程度上がる見込みとあるが、補助金投入額に対する付加価値増や費用対効果の数値は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献ー

    公開情報では判断できません。

政策面2.5
  • 成長分野への進出3

    木質バイオマス燃料とチップ化によるCO2削減、化石燃料の代替として期待される分野への進出が書かれている。

  • 地域経済への波及2

    市街地での粉砕や運搬コスト削減に触れるが、地域の特性を活かした雇用や地域経済成長への言及は薄い。

今後の展望

破砕部、エンジン周り、カバーに対策を加え、目標値に近づけていく。チップ市場は今後の不足が見込まれ、市場の流れに合わせて本機を製品化したい。価格は現状より上がるが、付加価値が高く高価な機械ではないと考えている。

業種と困りごとが近い成果事例

宮城県平成24年度

超抗菌ニッケルめっきの事業化

神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。