ものづくり補助金平成24年度宮城県

超抗菌ニッケルめっきの事業化

株式会社ケディカ

この事例のポイント

  • 抗菌アルマイトやポーラス抗菌表面処理は色調や密着性に難があり、試作レベルにとどまっている。
  • 神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。
  • 超抗菌ニッケルめっきの事業化に向けて、抗菌製品の試作と性能評価で高い抗菌性を確認した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ケディカ
所在地宮城県 仙台市
業種金属製品製造業
技術分野位置決め
従業員数150人
資本金4,800万円
設立1946年

事業の背景

当社は表面処理技術の開発を通じて地域の産業振興に貢献してきた。東日本大震災後、被災地が衛生面の問題を抱えていることを受け、衛生・清潔ニーズにマッチする抗菌・防カビ・防藻・抗ウイルス市場の開拓に着手した。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術抗菌アルマイトやポーラス抗菌表面処理は色調や密着性に難があり、試作レベルにとどまっている。
  • 新製品・新技術抗菌粉末の製造では、ニッケル金属粉末への直接めっき法では均一粒径の粉末が得られず、抗菌めっき箔粉砕法では塗料としての色調に難があり、サブミクロン粉末の生成が課題となっている。
  • 販路・情報発信震災で衛生面に問題を抱える被災地に向け、抗菌製品の市場を開拓する必要があった。

やったこと

神戸製鋼所の抗菌めっき技術を導入し、自社で性能検証を行ったうえで、試作設備(100L槽と付帯設備)を設置・稼働させた。その設備で「抗菌板」「抗菌メッシュ」「ダディ政宗(靴べら状銅板)」「抗菌仙臺四郎(鋳物)」「抗菌ボール」などを製作した。また抗菌アルマイトやポーラスめっきも実施し、抗菌粉末を2種類の方法で製造することも試みた。評価としてJIS Z2801-2010準拠の大腸菌培養試験、水生植物の長期浸漬観察、金魚水槽、最終排水、工業用水、塗装ブーストラップ水などへの投入試験、実使用条件での評価を行い、いずれも抗菌活性が十分に示された。ハロー試験では抗菌めっきが銀・銅などより優位であることを確認した。

加工機試作設備(100L槽と付帯設備)

新しい製品・サービス:超抗菌ニッケル合金めっき技術を用いた抗菌板、抗菌メッシュ、抗菌ボール、抗菌仙臺四郎などの抗菌製品

事業の効果

超抗菌ニッケルめっきの事業化に向けて、抗菌製品の試作と性能評価で高い抗菌性を確認した。現時点では試作段階にあり、建築系メーカーから試作品の依頼があるほか、一般消費者からの問い合わせも出ている。今後は建築系を中心に、調理や医療などの分野へ展開していく。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性53%
  • これまでの取組との一貫性2

    表面処理事業と環境配慮の経営方針はうかがえるが、抗菌めっきの経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    抗菌めっき特許技術と試作設備導入は読み取れるが、市場動向や競合に対する優位性の分析は具体的に書かれていない。

  • 課題の認識と解決3

    試作段階で事業化に至らなかった課題は示されており、B to B用パンフレットで対応している。ただし高付加価値化や成長への数値目標は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    従業員150人、表面処理・超精密加工の事業者であることは読み取れるが、補助事業を担う体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    抗菌ボールや抗菌板など製品を挙げ、建築系メーカーからの試作依頼や問い合わせがあることが書かれ、ターゲットと需要の裏付けがうかがえる。

  • 事業化までの道筋3

    抗菌粉末の課題やサブミクロン化の検討、建築系・調理・医療分野への展開が示されているが、スケジュールは書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    抗菌めっきは銀・銅より優位と試験で確認されたとあり、既存分野で高水準の性能を示す点が読み取れる。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    被災地の衛生環境改善への貢献という社会的意義は示されているが、波及効果や雇用創出の数値は書かれていない。

  • 費用対効果2

    試作設備の導入は書かれているが、補助金額に対する付加価値額や生産性の効果は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    抗菌めっきの新技術で衛生分野のイノベーションに関わる可能性はうかがえるが、サプライチェーンへの貢献は具体的ではない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    衛生・清潔ニーズに合う抗菌市場の開拓がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとは明記されていない。

  • 地域経済への波及3

    宮城県や被災地の衛生環境改善への取組は読み取れるが、地域の経済成長を牽引する具体的な記述は薄い。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

建築系を中心に、衛生管理面で需要が見込まれる調理・医療などの分野へ幅広くアプローチし、B to Cでの展開も期待している。

  • 目標:乾式ではφ8μmセンターの分布を持つ粉体が得られた
  • 目標:湿式ではφ2μmセンターの分布を持つ粉体が得られた

事業者の声

震災の影響で、避難所や仮設住宅など、不衛生な環境で暮らすことを余儀なくされた方々へ、本事業で当社がオリジナルで開発した「抗菌ボール」を配布させていただきました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。