ものづくり補助金平成24年度愛知県

水中可視光通信を利用した音声および映像転送装置の開発

東洋電機株式会社

この事例のポイント

  • 水中で映像を無線で送りたいという要望があったが、潮流の激しい場所では有線ケーブルは破損の危険があった。
  • 関連論文を読み込み、青色の可視光を使えば水中での無線通信が可能だと考えて開発を始めた。
  • 試作した装置は2台1セットで、向かい合わせに設置して光通信で接続し、水中で映像を撮影してモニターでリアルタイムに確認できる。

事業者のプロフィール

事業者名東洋電機株式会社
所在地愛知県 春日井市
業種情報通信機械器具製造業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数230人
資本金103.708億円
設立1947年

事業の背景

平成23年ごろ、東洋電機に水中の様子を映像でリアルタイムに見たいという情報が入った。同社は長年、目に見えない赤外線を使った通信装置を専門に扱ってきたメーカーである。水中で無線通信を行う技術を持つ会社は他にもあったが、音声のみに対応しており映像という大容量のデータは扱えていなかった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術水中で映像を無線で送りたいという要望があったが、潮流の激しい場所では有線ケーブルは破損の危険があった。
  • 新製品・新技術同社は赤外線通信を専門としてきたため、水中での可視光通信の技術は持っていなかった。
  • 新製品・新技術他社の水中無線通信は音声のみで、映像のような大容量データの通信にはまだ対応できていなかった。

やったこと

関連論文を読み込み、青色の可視光を使えば水中での無線通信が可能だと考えて開発を始めた。日本放送協会、太陽誘電と3社で共同開発し、各社のノウハウや技術を盛り込んだ。水中で透過率の高い波長を独自に絞り込み、濃青から緑色の中から水質に応じて最適な色を選べるようにした。水中実験を繰り返して得たデータでシミュレータを修正し、試作品は2台1セットとしてイーサネットで通信速度の向上を図った。試作品を展示会に出展したところ予想以上の注目を集めた。

新しい製品・サービス:水中可視光通信を利用した音声および映像転送装置

事業の効果

試作した装置は2台1セットで、向かい合わせに設置して光通信で接続し、水中で映像を撮影してモニターでリアルタイムに確認できる。水中の光の透過率によるが最長15メートル以上の通信が可能で、水深30メートルまで耐えられる。本体は直径250ミリメートル、長さ450ミリメートルの円柱形で、受注設計・受注生産として顧客の要望する通信距離に応じて大きさが変わる。1セットは販売済みで、多方面から声がかかるなど好調な滑り出しを見せている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性2

    平成23年ごろ、水中映像のリアルタイム取得という顧客の要望を受けて開発を始めたと書かれ、過去の取組との一貫性は読み取れない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    水中無線の映像通信は他社が音声のみにとどまっていたと書かれ、競争上の差別化の方向性はうかがえるが、強み分析は具体的でない。

  • 課題の認識と解決2

    潮流での有線ケーブル破損の危険という課題は書かれているが、事業計画としての高付加価値化の道筋は詳しく示されていない。

事業の実現可能性64%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    最長15メートル以上、水深30メートルまで、1セット販売済みと数字はあるが、付加価値や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    開発は東洋電機と日本放送協会、太陽誘電の3社共同で行ったとあるが、体制や事務処理能力の詳細は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    音声と映像を水中で伝送できる点、展示会での注目、1セット販売済みと書かれ、ターゲットとニーズの裏付けが読み取れる。

  • 事業化までの道筋4

    水中実験を繰り返しシミュレータを修正した経緯と、延伸目標100メートルや再生技術向上という課題解決の方向が具体的に書かれている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    水中での透過率の高い波長はこれまで研究が進んでいない分野だったと書かれ、新市場の開拓性が読み取れる。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    潮流の激しい場所での撮影ニーズは書かれるが、国が補助する経済波及や雇用創出の記述は見当たらない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献3

    光通信と水中映像の無線化という新技術の開発が書かれ、イノベーションへの貢献はうかがえるが、サプライチェーンへの言及は薄い。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    愛知県春日井市の企業であることは書かれるが、地域の特性を活かした雇用や成長への言及は乏しい。

今後の展望

今後は装置を高機能化して付加価値を高め、特に通信速度の高速化と通信の安定化に取り組む。ユーザーが使いやすい仕様へ改良を重ねる方針である。最長通信距離を100メートルまで延伸する目標を掲げており、そのために光信号の再生技術の向上に取り組む。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。