ものづくり補助金平成24年度大分県

高炉羽口用 回転調節式微粉炭吹き込みバーナーの開発

株式会社トライテック

成果消耗品であるランスパイプの寿命は約1.5倍以上に伸びた。

この事例のポイント

  • 高炉の羽口から微粉炭を吹き込むPCバーナーの先端が高温で自重により熱変形し、吹き込みが効率よくできなかった。
  • 回転調節機能を付加したPCバーナーを開発し、現在は特許を取得している。
  • 消耗品であるランスパイプの寿命は約1.5倍以上に伸びた。操業中にランスパイプの位置を回転調節できるため、PCの最適な燃焼が得られ、高価なコークスを使わずにPCの比率を上げて生…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社トライテック
所在地大分県 大分市
業種金属製品製造業
技術分野金属プレス加工
従業員数14人
設立2005年

事業の背景

株式会社トライテックは2005年に設立された金属製品製造業の会社で、製鉄所に特化した特殊工具の製造を手がけている。同社の製品は新日鐵大分製鉄所との取引をきっかけに広がった。高炉の心臓部であるPCバーナーは業界で触れてはいけない設備という固定観念があり、従来品は高温による熱変形と水冷管の損傷に悩まされていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度高炉の羽口から微粉炭を吹き込むPCバーナーの先端が高温で自重により熱変形し、吹き込みが効率よくできなかった。
  • コスト・採算PCバーナーの水冷管がPCに損傷されて水が漏えいする事故が多発し、1時間当たり数億円単位ともいわれる損害が生じていた。
  • 生産能力熱変形を防ぐためにランスパイプの吹き込みを順次停止していたため、高炉内の熱バランスが崩れて生産効率が著しく低下し、CO2排出量も増えていた。
  • 品質・精度今後は、PCバーナー先端部の耐熱性の向上とフランジ接合部の密閉性の向上が課題となっていた。

やったこと

回転調節機能を付加したPCバーナーを開発し、現在は特許を取得している。メタルタッチ回転調節部の接合部に傾斜面を設け、熱で先端が垂れ下がってきたときに回転させて変形を防止する仕組みとした。この回転は操業中にも行える。メタルタッチ部がシール材を兼ねるため、熱に弱いパッキンは使わなくなった。ランスパイプ先端部には特殊耐熱コーティングを施し、2,000℃の高温にも耐えられるようにした。

新しい製品・サービス:回転調節式PCバーナー

事業の効果

  • 消耗品であるランスパイプの寿命は約1.5倍以上に伸びた。

操業中にランスパイプの位置を回転調節できるため、PCの最適な燃焼が得られ、高価なコークスを使わずにPCの比率を上げて生産コストを大幅に下げられるようになった。PCバーナー起因の水冷管損傷事故をなくし、微粉炭の安定供給を実現した。熱風や一酸化炭素の漏風を防いで災害防止にもつながり、ランスパイプ熱変形による羽口の損傷も減って突発的な操業停止を回避でき、作業者の負担も軽減した。寿命が伸びたことで鉄の生産効率が上がり、CO2排出量の削減にも貢献するとしている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性特許取得済みで業界の固定観念を覆したと具体的に書かれ、国内シェア20%超、10高炉導入の実績もあり強みは読み取れる。
  • 4
    課題の認識と解決PCアタックで億単位の損害、ランスパイプ寿命1.5倍以上、12カ月ごと交換などの課題と効果が数字で示されている。
  • 4
    顧客とニーズの裏付け製鉄所特化の製品で、ランスパイプ寿命延長や損害防止など顧客が選ぶ理由が事例に具体的に整理されている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    事業を進める体制社員数14人と記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的説明は見当たらない。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    新日鐵大分での出銚開孔用ドリル提案が取引の起点で、製鉄所向け特殊工具の継続開発が続いていると読めるが、本件位置付けの説明は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    特許取得済みで業界の固定観念を覆したと具体的に書かれ、国内シェア20%超、10高炉導入の実績もあり強みは読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    PCアタックで億単位の損害、ランスパイプ寿命1.5倍以上、12カ月ごと交換などの課題と効果が数字で示されている。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標3

    寿命1.5倍以上やシェア20%超という数値はあるが、補助事業期間中の付加価値額や賃上げの目標値は書かれていない。

  • 事業を進める体制2

    社員数14人と記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力の具体的説明は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    製鉄所特化の製品で、ランスパイプ寿命延長や損害防止など顧客が選ぶ理由が事例に具体的に整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    耐熱性向上とフランジ密閉性向上を試作開発で目指すとあるが、スケジュールや検証方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    製鉄所向けPCバーナーは従来の固定観念を覆す製品で、高付加価値化と独自性が事例に具体的に書かれている。

公的補助の必要性3.0
  • 波及効果・雇用3

    鉄の生産効率向上によるCO2排出削減への貢献は書かれるが、波及効果や雇用創出への言及は薄い。

  • 費用対効果4

    損害額の抑制、生産コスト大幅低下、寿命1.5倍以上など費用対効果を示す効果が数字付きで書かれている。

  • イノベーションへの貢献2

    回転調節機構による高炉操業改善は書かれるが、デジタル技術やビジネスモデル面での新しさはうかがえない。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    製鉄所の安定操業と効率化に寄与する旨はうかがえるが、日本経済の構造転換への言及はない。

  • 地域経済への波及2

    大分の地域ベンチャーとして表彰を受けた点は書かれるが、地域の雇用や経済成長への牽引は具体的に書かれていない。

今後の展望

新日鐵住金大分への納品を足がかりに、神戸製鋼など国内高炉メーカー各社へ販路を広げ、10高炉への導入を実現した。国内シェアは既に20%を超えるという。今後は海外高炉メーカーへの営業展開を進め、アジアから欧米諸国へ販路を開拓する計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。