ものづくり補助金平成24年度三重県

多様化する顧客ニーズに応えジルコニア素材での競争優位性がある技工物を内製化

株式会社ファインデンタル

成果総作業時間 286分→256分

この事例のポイント

  • ジルコニア技工物の色表現が陶材を盛る工法で行われ、陶材とジルコニア部分の剥離や欠けが生じて再製が発生していた。
  • ジルコニア素材の技工物をCAD/CAMで設計し、最終形態に近い形状に削り出したうえで、焼結・着色・最終仕上げまでを自社で行う体制を構築した。
  • 総作業時間 286分→256分。フルジルコニアクラウンの製作を自社で行えるようになり、自費の差し歯やインプラントのCAD/CAM製作本数は1年間で1.…

事業者のプロフィール

事業者名株式会社ファインデンタル
所在地三重県 名張市
業種医療業
技術分野粉末治金
従業員数15人
資本金1,700万円

事業の背景

歯科業界ではデジタル化が進み、口腔内を直接スキャンして製作する工程へと変わりつつある。使用素材は高騰する金属に代わって、審美性や強度に優れたジルコニアが広がっている。当社は創立から30年を経た15名の技工所で、ジルコニア技工物の工程見直しと製作本数の増加を課題としていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ジルコニア技工物の色表現が陶材を盛る工法で行われ、陶材とジルコニア部分の剥離や欠けが生じて再製が発生していた。
  • 生産能力金属からジルコニアへの素材転換で製作本数が増えるため、ジルコニア技工物の生産体制を再構築する必要があった。
  • コスト・採算多数歯欠損の症例では1本あたりの外注費が売上の38%を占め、利益が見込めない状態だった。
  • 品質・精度歯科医院から再製返却される割合(再製率)を下げることが課題の一つだった。
  • 人手・技能技工技術が個々の技術者に蓄積されており、技術の共有と多能工化が求められていた。

やったこと

ジルコニア素材の技工物をCAD/CAMで設計し、最終形態に近い形状に削り出したうえで、焼結・着色・最終仕上げまでを自社で行う体制を構築した。ゼノテックファイヤー(焼結炉)を導入し、ジルコニアに直接浸透させる着色で色再現の自由度を高めた。フルジルコニアクラウンの全工程を自社で製作して従来工法との違いを確認し、各工程の作業時間を測定して平均786分と把握した。歯科医院から求められる色合いを導き出す早見表と16色の色見本を作成し、規則性を整理した。技術者間のディスカッションを重ねて「作業手順書」「作業要領書」を作成し、多能工化と技術共有を進めた。

  • その他ゼノテックファイヤー焼結炉
  • ソフトCAD/CAMシステム
  • 加工機ミリングマシンジルコニア削り出し機

新しい製品・サービス:フルジルコニアクラウン(独自の直接着色による色再現技術)

事業の効果

  • 総作業時間 286分→256分
  • 総工程数 17工程→13工程
  • 製作日数 15日→8日

フルジルコニアクラウンの製作を自社で行えるようになり、自費の差し歯やインプラントのCAD/CAM製作本数は1年間で1.4倍に増えた。総作業時間は286分から256分、製作日数は15日から8日に短縮され、工程数も17から13に減った。外注費の内製化によって約12%のコストダウンが実現し、色再現技術は他社との差別化につながった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来の陶材手法の課題から内製化へ取り組んだ経緯は読めるが、事業の経営戦略上の位置づけは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    高騰する金属から審美性・強度に優れるジルコニアへの市場変化を踏まえ、独自の色表現で他社との差別化を図る内容が具体的。

  • 課題の認識と解決4

    外注費が売上の38%を占める課題を把握し、内製化で約12%のコストダウンを実現した点が数字で示されている。

事業の実現可能性68%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    製作日数15日から8日、総工程数17から13など数値目標と結果が示され、実現性の裏付けがある。

  • 事業を進める体制4

    技術者間の議論や作業手順書の作成で多能工化を図り、体制整備に取り組んだ具体的記述がある。

  • 顧客とニーズの裏付け3

    歯科医院から求められる色合いの早見表と16色見本を作成したとあるが、ターゲットや選ばれる理由の整理は薄い。

  • 事業化までの道筋3

    取り組みの目標と工程ごとの作業時間把握、改善への言及はあるが、中長期のスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    グラデーション着色のジルコニアを既製品として差別化し、高い表現力を持つ技工物を製作する点が具体的。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用2

    地域の雇用や波及効果への直接的記述はなく、歯科のデジタル化への貢献がわずかにうかがえる程度。

  • 費用対効果3

    製作本数が1.4倍、製作日数の短縮、コスト削減など効果は示されるが、補助金額との費用対効果は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献4

    CAD/CAMとジルコニア内製化によりデジタル技術を活用し、口腔内スキャンで歯科医院とデジタルにつながる構想が示されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出3

    歯科業界のデジタル化の流れに対応する取り組みとして位置づけられ、構造転換への言及がうかがえる。

  • 地域経済への波及1

    公開されている事例からは読み取れません。

今後の展望

ジルコニア材料の製品は自社の主力製品に成長し、細かい表現力への需要は安定している。今後は口腔内スキャンなどで歯科医院とデジタル情報で直接つながる関係を構築していく計画である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。