「ものづくり補助金なくなるの?」、そう不安に感じている経営者の方は多いと思います。
結論から言うと、なくなるのではなく「統合・進化」します。 2026年度から、ものづくり補助金と新事業進出補助金は1つの制度に再編されます。
この記事では、統合の背景・3つの申請枠の違い・補助率の目安・「今すぐ申請すべきか待つべきか」の判断基準まで、現時点でわかる情報を整理して解説します。
⚠ 注意: 新制度の公募要領は2026年6月公開予定です。本記事は中小企業庁が公表した資料をもとに作成していますが、補助率・補助上限・要件の詳細は公募要領で必ずご確認ください。
目次
新事業進出・ものづくり商業サービス補助金とは?
2026年度より、旧「ものづくり補助金」と旧「中小企業新事業進出補助金」は1つの補助金に統合され、予算規模約2,960億円の大型制度として生まれ変わります。
【重要】2026年度からの統合について 旧「ものづくり補助金」と旧「中小企業新事業進出補助金」は、2026年度より「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」として1本化される予定です。制度の目的・補助水準は旧制度と同水準で維持される見込みです。公募要領は2026年6月公開予定。最新情報は中小企業庁の公募情報ページでご確認ください。
なぜ統合されるのか
中小企業庁は2025年12月、ものづくり補助金と新事業進出補助金を統合する方針を公表しました。背景にある政策的な意図は以下の通りです。
- 国内市場の縮小・人手不足・デジタル化の加速という構造変化
- 中小企業が「現在の事業を強化する」だけでなく「新しい市場に打って出る」ことへの支援強化
- 補助金制度を整理・集約して、使いやすく・わかりやすくする
「補助金が増えすぎてどれを使えばいいかわからない」という経営者の声に応える意味合いもあります。
正式名称と予算規模
正式な事業名は以下のとおりです。
【正式名称】
ものづくり商業サービス省力化・革新的開発・
新事業・海外展開促進事業
【通称】
新事業進出・ものづくり補助金
【予算規模】
約2,960億円(既存基金を活用)
「廃止」ではなく「統合・進化」
ものづくり補助金は廃止されるわけではありません。旧制度の対象・目的・補助水準はそのまま引き継がれ、新しい枠組みの中に組み込まれます。「使い慣れた制度がなくなる」という心配は不要です。むしろ、グローバル枠の拡充など、補助水準が上がる部分もあります。
3つの申請枠を比較解説
結論:統合後の制度は3つの枠に整理されます。自社の目的で選ぶ枠が変わります。
| 申請枠 | 補助上限額()は大幅賃上げ特例 | 補助率 |
|---|---|---|
| 革新的新製品・サービス枠 | 5人以下:750万円(850万円) 6〜20人:1,000万円(1,250万円) 21〜50人:1,500万円(2,500万円) 51人以上:2,500万円(3,500万円) |
1/2 小規模・再生:2/3 賃金特例:2/3に引上げ |
| 新事業進出枠 | 20人以下:2,500万円(3,000万円) 21〜50人:4,000万円(5,000万円) 51〜100人:5,500万円(7,000万円) 101人以上:7,000万円(9,000万円) |
1/2 賃金特例:2/3に引上げ |
| グローバル枠 | 2/3 |
出典:中小企業庁
「革新的新製品・サービス枠」はものづくり補助金と同程度、「新事業進出枠」は新事業進出補助金と同程度の補助率・上限額が設定されています。特にグローバル枠は補助上限額が従業員規模別に設定され、最大7,000万円(特例時は9,000万円)と大幅に引き上げられる点が注目されます(旧ものづくり補助金のグローバル枠は最大3,000万円)。
補助率・補助上限額の目安
①革新的新製品・サービス枠(旧ものづくり補助金の後継)
「いつものものづくり補助金と同じように使いたい」という企業向けの枠です。新製品・新サービスの開発、生産性向上のための設備導入が対象です。技術的な革新性が審査で重視される点も旧制度と同様です。過去にものづくり補助金を活用してきた企業にとって、最も馴染みやすい枠です。
②新事業進出枠(旧新事業進出補助金の後継)
「今の事業から飛び出して、新しい市場に挑戦したい」企業向けの枠です。自社にとって新しい製品・サービスを、新しい顧客に提供する取り組みが対象です。補助上限が大きく、賃上げ要件が求められるなど、旧新事業進出補助金の要件が引き継がれる見込みです。
③グローバル枠(新設・大幅拡充)
この枠が最も大きく変わるポイントです。海外市場開拓・輸出体制強化に取り組む企業を支援する枠で、旧ものづくり補助金のグローバル枠(最大3,000万円)から、最大7,000万円(特例時9,000万円)へと大幅に拡充される予定です。海外展開を検討している企業にとって、過去最大規模の支援となります。
結論:補助率・補助上限は旧制度と概ね同水準で、グローバル枠のみ大幅に引き上げられる見込みです。
参考:旧制度の補助水準
確定値は公募要領待ちのため、旧制度の水準を参考値として示します。
旧ものづくり補助金(参考)
- 補助率:1/2(小規模事業者・回復型賃上げ等は2/3)
- 補助上限:750万円〜4,000万円(類型・従業員数による)
旧新事業進出補助金(参考)
- 補助率:1/2(特例時2/3)
- 補助上限:2,500万円〜9,000万円(従業員数による)
賃上げ要件について
統合後も賃上げ要件が課される見込みです。旧制度では補助事業終了後に一定の賃上げ目標を達成できない場合、補助金の一部返還が求められました。新制度でも同様の仕組みが継続される可能性が高いため、申請前に自社の賃上げ計画を確認しておくことが重要です。
⚠ 補助率・補助上限・賃上げ要件の詳細は2026年6月公開予定の公募要領でご確認ください。現時点での数値はあくまで旧制度の参考値です。
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公募スケジュール・採択件数の見通し
最新の情報で公表されている統合後のスケジュール概要は以下のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採択予定件数 | 約6,000件程度 |
| 公募要領の公開予定 | 令和8年(2026年)6月 |
| 申請受付開始予定 | 令和8年(2026年)8月 |
| 公募回数 | 3回程度(予定) |
参考記事:新事業進出・ものづくり補助金 第1回公募はいつ? 公募時期・内容を先読み解説【2026年】
補助対象事業者・補助対象経費
結論:中小企業・小規模事業者が対象で、個人事業主も申請できます。
補助対象事業者
旧制度と同様、以下の事業者が対象になる見込みです。
製造業・建設業・運輸業
└ 資本金3億円以下 または 従業員300人以下
卸売業
└ 資本金1億円以下 または 従業員100人以下
サービス業
└ 資本金5,000万円以下 または 従業員100人以下
小売業
└ 資本金5,000万円以下 または 従業員50人以下
資本金・従業員数のいずれかが基準を満たせば中小企業者として認定されます。個人事業主も対象です。
補助対象経費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
補助対象外となる経費(注意)
- 交付決定前に発注・支払いをした費用(最重要)
- 汎用性の高い消耗品・備品
- 不動産の取得費・賃借料(一部例外あり)
- 人件費(直接的な給与)
今すぐ旧制度で申請すべきか?新制度を待つべきか?
結論:「今年度中に動きたい」なら旧制度の最終公募が最後のチャンス。「準備が整っていない」なら新制度を待つのが現実的です。
現行制度の最終公募スケジュール
ものづくり補助金
第23次公募:2026年4月3日(木)〜5月8日(木)
※この回が旧制度として申請できる最終の可能性が高い
新事業進出補助金
第4回公募(最終):2026年5月19日(火)〜6月19日(金)
※第4回をもって現行制度での公募は終了
新制度の公募開始予定
- 公募要領の公開:2026年6月予定
- 公募開始:2026年夏頃の見込み(詳細未定)
判断フローチャート
事業計画書の準備は整っているか?
│
├─ YES
│ └─ 投資規模・目的は旧制度の要件に合致するか?
│ │
│ ├─ YES → 【今すぐ旧制度で申請】
│ │ ものづくり:第23次(〜5/8)
│ │ 新事業進出:第4回(〜6/19)
│ │
│ └─ NO → 新制度の公募要領(6月)を確認後に判断
│
└─ NO
└─ 新制度の公募要領(6月公開予定)を待って準備
└─ GビズIDだけは今すぐ取得しておく
「今すぐ申請」を選ぶべき人
- すでに事業計画書の骨格ができている
- 旧制度の要件を満たしていることが確認済み
- 設備投資・システム開発のスケジュールが決まっている
- 新事業進出補助金の賃上げ要件(年平均3.5%以上)を満たせる見込みがある
「新制度を待つ」を選ぶべき人
- 事業計画の策定がまだ途中
- 海外展開を検討しており、グローバル枠の詳細を確認したい
- 現時点で旧制度の要件を満たせるか不明
⚠ スケジュールは変更される可能性があります。必ず中小企業庁・各事務局の最新情報をご確認ください。
よくある疑問・FAQ
Q1. ものづくり補助金はなくなるのですか?
A. なくなりません。「新事業進出・ものづくり補助金」として統合・継続されます。旧制度の役割は「革新的新製品・サービス枠」として引き継がれる見込みです。
Q2. 旧制度との一番の違いは?
A. 最大の変化は「グローバル枠の拡充」です。上限が大幅に引き上げられる予定で、より大型投資にも対応しやすくなります。
Q3. すでに採択された事業者への影響は?
A. 一定期間の申請制限(申請除外期間)が設けられる可能性があります。詳細は今後の公募要領で確定します。
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まとめ:今押さえるべき3つのポイント
ポイント①:廃止ではなく「統合・進化」
ものづくり補助金も新事業進出補助金も、制度の目的・補助水準を引き継いで「新事業進出・ものづくり補助金」に生まれ変わります。「なくなる」という心配は不要です。
ポイント②:旧制度の最終公募を見逃さない
ものづくり補助金 第23次:〜2026年5月8日(木)
新事業進出補助金 第4回:〜2026年6月19日(金)
準備が整っている企業は、この最終公募への申請を検討してください。新制度の公募開始は夏頃になる見込みのため、数ヶ月のタイムラグが生じます。
ポイント③:新制度の公募要領は2026年6月に確認
補助率・補助上限・詳細な要件は、公募要領が公開されて初めて確定します。特にグローバル枠を検討している企業は、6月の公開情報を必ずチェックしてください。
いずれにせよ、GビズIDの取得だけは今すぐ始めることを強く推奨します。 取得に時間がかかり、これだけで締切に間に合わないケースが毎年発生しています。
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出典:中小企業庁「ものづくり商業サービス省力化・革新的開発・新事業・海外展開促進事業」関連資料(2025年12月公表)、各補助金公募要領 ※本記事は2026年5月時点の公表情報をもとに作成しています。制度の詳細・確定値は2026年6月公開予定の公募要領でご確認ください。内容は予告なく変更される場合があります。
PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「Googleや審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。



