製造業で省力化投資補助金を使うには?カタログ注文型と一般型の選び方

この記事の要点

製造業は省力化投資補助金の対象で、登録済みの設備を1台入れるならカタログ注文型、専用設備やラインなら一般型を選びます。公募要領をもとに、2つの型の補助上限の違いと審査の観点、新事業進出・ものづくり補助金との使い分けを整理しました。

この記事の目次
  1. 製造業向けカテゴリは工作機械から検査装置まで
  2. カタログ注文型と一般型で補助上限はどう違う?
  3. ライン全体を変えるならオーダーメイド設備
  4. 審査で見られる省力化指数と投資回収期間
  5. 新事業進出・ものづくり補助金との使い分け
  6. 工場の採択事例はどちらの型で何を減らした?
  7. 間違えやすい点
  8. 専門家から見た製造業の省力化投資のポイント
  9. よくある質問
結論

製造業は省力化投資補助金の対象で、登録済みの工作機械・溶接ロボット・検査装置を1台入れるならカタログ注文型、工程に合わせて設計した専用の設備やラインを入れるなら一般型を使います。

一般型は補助上限が大きい代わりに、省力化指数や投資回収期間を示す事業計画書の審査があります。新しい製品づくりが目的の投資は、新事業進出・ものづくり補助金のほうが合います。

工場の人手不足や熟練者の引退に備えて設備を入れたいとき、省力化投資補助金のカタログ注文型と一般型のどちらを使えばよいか、審査で何を求められるかを知りたい方に向けた記事です。

中小企業省力化投資補助金(以下、省力化投資補助金)について、製造業が選べる製品カテゴリ、2つの型の補助上限の違い、一般型のオーダーメイド設備と審査の観点、新事業進出・ものづくり補助金との使い分けを、公募要領と製品カタログで整理します。

製造業向けカテゴリは工作機械から検査装置まで

製品カタログで「主に製造業」に分けられたカテゴリは、板金・鋳造・切削・成形・縫製・検査・溶接まで工程ごとにあり、加工の現場で使う機械の多くが選べます。

工程 製造業が対象の主なカテゴリ
プレス・板金 プレス用多関節ロボット、プレスブレーキ用ロボットシステム、板金機械用材料シート自動搬入・搬出装置
鋳造 鋳造用自動注湯機、鋳物用自動バリ取り装置、鋳造用ブラスト装置
切削・研削 5軸制御マシニングセンタ、複合加工機、ローダ付きNC旋盤、全自動CNC工具研削盤
樹脂成形 後工程自動化機能付成形品取出しロボット、原材料自動計量混合搬送装置
縫製 自動裁断機、自動延反機、コンピュータ横編み機
検査・測定 AI外観検査用画像処理システム、CNC三次元測定機、インライン非破壊検査装置
溶接 アーク溶接ロボット、ファイバーレーザ溶接ロボットシステム
食品製造 食品包覆機、食品スライサ・カッタ、飲食料品充填・吐出機

出典:省力化投資補助金 カタログ注文型 製品カタログ p.275〜 p.432『主に製造業』台帳で見る

機械装置の購入に使えるほかの補助金と比べたい場合は機械装置等費に使える補助金で取り上げています。

御社がこの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。

AIで対象か確認する

カタログ注文型と一般型で補助上限はどう違う?

同じ従業員数でも、一般型の補助上限はカタログ注文型より大きく、従業員が多い工場ほど差が広がります。

従業員数 カタログ注文型の補助上限 一般型の補助上限
5人以下 従業員5人以下:500万円(大幅な賃上げを行う場合750万円) 従業員5人以下:750万円(大幅賃上げ特例適用時1,000万円)
6〜20人 従業員6~20人:750万円(大幅な賃上げを行う場合1,000万円) 従業員6~20人:1,500万円(特例適用時2,000万円)
21〜50人 従業員21人以上:1,000万円(大幅な賃上げを行う場合1,500万円) 従業員21~50人:3,000万円(特例適用時4,000万円)
51〜100人 従業員51~100人:5,000万円(特例適用時6,500万円)
101人以上 従業員101人以上:8,000万円(特例適用時1億円)

出典:省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.9『1-4(1)② 補助上限額』台帳で見る
省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領 p.7『2-1(1) 補助率及び補助上限額』台帳で見る

一般型の補助率は、中小企業が「中小企業 1/2(最低賃金引き上げ特例適用時 2/3)」、小規模企業者が「小規模企業者・小規模事業者、再生事業者 2/3」です。製造業で小規模企業者に当たるのは、常勤従業員が20人以下の会社です。

2つの型の申請の流れの違いは省力化投資補助金の申請類型で取り上げています。

ライン全体を変えるならオーダーメイド設備

一般型で補助を受けられるのは、自社の工程に合わせて設計したオーダーメイド設備で、カタログにある汎用の機械を1台だけ入れる計画は対象外です。

一般型の公募要領は、この要件を「人手不足の解消に向けてオーダーメイド設備等を導入する事業計画。汎用設備を単体で導入する事業は対象外(組み合わせ等で高い効果を生む場合はオーダーメイド設備とみなす)」と書いています1。マシニングセンタにロボットとワーク自動交換装置を組み合わせ、夜間の無人運転まで作り込む計画は、組み合わせで効果を生む例に当たります。

一般型の審査では、カタログのカテゴリに当たる製品を自社向けに組み合わせて入れる計画は、省力化の効果が見込める計画として評価されやすいとされています。カタログ製品をそのまま入れるだけなら、カタログ注文型で申請します。

一般型の締切と公募の情報は一般型の公募の情報で確かめられます。

審査で見られる省力化指数と投資回収期間

一般型の技術面の審査では、省力化指数・投資回収期間・付加価値額・オーダーメイド設備の4つが見られ、どれも算出の根拠まで問われます。

省力化指数とは、設備で減る作業時間の割合のことで、公募要領では「省力化指数=(設備導入で削減される業務に要していた時間-設備導入後に発生する業務の時間)÷設備導入で削減される業務に要していた時間。新規出店では潜在的・将来的な人手の削減時間も組み込める」と定められています。技術面の観点は「書面審査(2) 技術面:省力化指数、投資回収期間、付加価値額、オーダーメイド設備の4つの観点」です2。

製造業では、段取り替え・材料の投入・検査の記録など、工程ごとの作業時間を測っておくと、省力化指数の根拠をそのまま示せます。日報や生産管理の記録から、導入前の1か月分の時間を拾い出しておきます。

口頭審査や採択後の流れは一般型の審査と採択後の流れで取り上げています。

省力化補助金の採択データ

中小企業省力化投資補助金(一般型)の第6回の採択率は63.9%でした。採択事例では製造業が39%と最も多く、経費はカタログ掲載の省力化製品が57%の事例で使われています。

採択率の推移

第6回63.9%
直近5回の平均64.5%

採択事例 28件採択事例を見る ›

出典(1件)
  1. 中小企業庁「採択結果」・ミラサポplus(第2回〜第6回)
採択率は採択数÷応募数で計算しています。業種・経費は、国・省庁などが公開している採択事例28件を数えた割合です(1つの事例で複数使うため、合計は100%を超えることがあります)。

新事業進出・ものづくり補助金との使い分け

今の製品を少ない人数で作るための投資は省力化投資補助金、新しい製品やサービスを生み出すための投資は新事業進出・ものづくり補助金、と目的で分けます。

カタログ注文型では、ものづくり補助金を最近受けた会社は申請できない期間があり、公募要領は「ものづくり補助金の交付決定から10か月を経過していない事業者、過去3年間に2回以上ものづくり補助金の交付決定を受けた事業者は対象外」と定めています3。一般型でも、国のほかの補助金と経費が重なる事業は対象外です。

新製品の試作と量産設備を同じ年に計画している会社は、どの設備をどちらの補助金に充てるかを、公募回の締切と合わせて先に決めておきます。

新事業進出・ものづくり補助金の枠と補助率は新事業進出・ものづくり補助金とはで取り上げています。

工場の採択事例はどちらの型で何を減らした?

製造業の採択事例では、決まった作業を1台で置き換えるならカタログ注文型、検査や裁断の工程を作り直すなら一般型と、減らしたい作業の大きさで型が分かれています。

工場(型) 入れた設備 成果
福島県の和菓子の製造販売(カタログ注文型) スチームコンベクションオーブン マカロンの焼成が1人で2時間から1時間に(事例ページ)
東京都の手帳・書籍の受託印刷(カタログ注文型) 印刷用紙の高積装置 薄紙の紙積みのロスが3人で合計6時間からなくなった(事例ページ)
大阪府の精密加工部品の製造(一般型) CNC三次元測定機と成績書の自動作成ソフト 1日の検査工数が40時間から7.5時間に(事例ページ)
岐阜県の椅子・ソファの革張り(一般型) 自動革裁断機とCAD 裁断が1枚60分から15分になり、残業が月30時間から3時間に(事例ページ)
北海道の食品加工機械の製造(一般型) 自動追従装置付きの折曲げ機 大きな鋼板の曲げが4名から2名になり、加工時間が約7割減少(事例ページ)

一般型の3件は、熟練者しかできなかった作業を誰でもできる形に変えた点も成果に入れています。

間違えやすい点

製造業の申請で間違えやすいのは、工事の費用、自社で作るシステム、発注の時期の3つです。

  1. 一般型では、機械を据え付ける場所の基礎工事や床の整備工事は補助の対象外です。対象になる据付けは、機械の設置と一体の軽い作業に限られます。

  2. 一般型の事業計画書作成の参考ガイドは、自社で開発するシステムを対象外としています。生産管理システムを社内で作る費用は、補助の対象になりません。

  3. 交付決定より前に機械を発注すると、その機械は補助の対象から外れます。納期の長い工作機械は、見積と仕様の確認を先に済ませ、発注は交付決定のあとにします。

交付決定から入金までの資金の用意は補助金の入金時期で取り上げています。

どこで評価が分かれるかは、事業の中身によって変わります。御社の計画でどう書けばよいかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

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専門家から見た製造業の省力化投資のポイント

製造業の申請では、人手不足だけでなく品質や技術の継承まで一緒に解く計画にすると、省力化で浮いた人をどこに回すかまで筋の通った事業計画になります。省力化投資補助金の製造業の採択事例では、課題に「品質・技術」を挙げた事例が54.5%ありました。また、一般型に採択された法人のうち、ものづくり補助金にも採択されたことがある会社は24.6%です。

カタログ注文型が向いている工場

工程の一部、たとえばバリ取りや検査だけを機械に任せたい工場です。カタログに当てはまる製品があれば、事業計画書の審査を待たずに、販売事業者と組んで随時申請できます。

一般型で計画したほうがよい工場

熟練者の手作業に頼る工程が多く、ロボットとセンサーを組み合わせて工程を作り直したい工場です。SIerと一緒に作業時間を測り、省力化指数と投資回収期間を数字で示せれば、大きな補助上限を生かせます。一般型の手順は一般型の申請ガイドで順に追えます。

よくある質問

中古の工作機械も対象になりますか?

対象になりません。カタログ注文型も一般型も、中古品の購入費は補助の対象外です。

一般型とカタログ注文型を同時に使えますか?

同じ経費に両方を使うことはできませんが、別の設備であれば併用できます。

生成AIのソフトだけを入れても補助されますか?

カタログ注文型では補助されません。対象は機械装置と、機械と一体で使う専用のソフトウェアです。

口頭審査は誰が受けますか?

一般型の口頭審査は、代表者など申請する会社自身が受けます。計画づくりを手伝った外部の支援者は同席できません。

製造業に限らない疑問は補助金のよくある質問でも答えています。

ほかの質問も見る省力化投資補助金のよくある質問
出典(3件)
  1. 省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.12『1-5(2)④ その他の要件』
  2. 省力化投資補助金 一般型 第8回 公募要領 p.30『5-1(2) 書面審査 技術面』
  3. 省力化投資補助金 カタログ注文型 公募要領 p.13『2-4 補助金等の重複について』

いま申請できる回

中小企業省力化投資補助金

公募回
第9回
締切
2026年12月下旬(予定)

公募要領の台帳より(2026年10月31日確認)

よく採択されているテーマ

中小企業省力化投資補助金で採択された計画7,432件を、やりたいことで分けました。

中小企業省力化投資補助金では「設備導入」が70%で一番多く、次が「業務システム・IT」(23%)です。

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「設備導入」で採択された計画名の例

  • 老朽化した下水道管を守る!非開削工法による省力化事業
  • 専用農機の複合導入による水稲栽培方法の転換と効率化
  • 限界生産性が高い道央圏向け鉄骨加工量増加のための省力化投資

この補助金の採択事例

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製造業で、実際に採択された会社です。

申請枠:カタログ注文型

VOICE

この補助金を使った人の声

出典:国・省庁などの公開情報をもとに加工

中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

この記事の更新履歴
  • 最新の公募要領と照らして、数字や制度名を直しました

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