近年、小規模事業者持続化補助金の採択率は低下傾向にあり、特に第16回公募では過去最低の37.2%を記録しました。このような状況下で申請を成功させるためには、書類不備の防止や事業計画の精緻化が不可欠です。本記事では、不採択や書類不備を避けるための具体的なポイントを解説します。
目次
小規模事業者持続化補助金とは
小規模事業者持続化補助金は、事業者の集客や業務効率化等のいわゆる「販路開拓」を支援する補助金です。下記のように複数の申請類型(枠)に分かれており補助上限は最大250万円、補助率は最大3/4で補助を受けられます。
持続化補助金は中小企業の生産性向上を目指す「中小企業生産性革命推進事業」としてここ数年は実施されていて、令和6年度予算は3400億円です。毎回、申請社数も1万社を超え、採択率も50~60%と安定しているため人気の補助金です。
たとえば以下のような取り組みが対象です。
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ホームページ・ECサイト制作
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チラシ・パンフレットの制作・配布
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展示会出展
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店舗改装や看板設置
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新しい機器の導入 など
【2025年・令和7年度】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!

小規模事業者持続化補助金の採択率の推移
小規模事業者持続化補助金の採択率は回を重ねるごとに変動しています。以下に、過去数回の採択率をまとめます。
公募回 | 申請件数 | 採択件数 | 採択率 |
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第14回 | 13,597件 | 8,497件 | 62.5% |
第15回 | 13,336件 | 5,580件 | 41.8% |
第16回 | 7,371件 | 2,741件 | 37.2% |
このように、第14回から第16回にかけて採択率が大幅に低下しており、申請の難易度が高まっていることがわかります。
持続化補助金第17回で注意すべきポイント
小規模事業者持続化補助金の申請において、不採択や書類不備を避けるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
1. 必要書類の完全な準備
申請時には、確定申告書、貸借対照表、損益計算書など、必要な書類をすべて揃える必要があります。これらの書類が一つでも欠けていると、不採択の原因となります。
2. 事業支援計画書(様式4)の取得
この書類は商工会や商工会議所で発行されます。発行には時間がかかる場合があるため、早めに相談し、取得することが求められます。
3. 正確なファイル名での提出
電子申請時には、公募要領で指定されたファイル名で書類をアップロードする必要があります。指定されたファイル名と異なる場合、書類不備と判断される可能性があります。
4. 指定された書類の提出
公募要領で指定された書類と類似の別書類を提出すると、不備と見なされることがあります。例えば、「履歴事項全部証明書」の指定がある場合、「履歴事項一部証明書」を提出すると不備となります。
5. 実績報告時の証憑書類の整備
採択後の実績報告では、見積書、発注書、納品書、領収書などの証憑書類をすべて揃える必要があります。これらが欠けていると、補助金の支給に影響を及ぼす可能性があります。 <低感染リスク型ビジネス枠>小規模事業者持続化補助金
これらのポイントを踏まえ、申請前には公募要領を熟読し、必要書類を漏れなく準備することが、持続化補助金の採択率向上につながります。
🔔申請スケジュール(第17回)
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申請受付開始:2025年5月1日(木)予定
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事業支援計画書(様式4)発行締切:2025年6月3日(火)
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申請受付締切:2025年6月13日(金)17:00まで
※申請には「事業支援計画書(様式4)」が必要になります。商工会・商工会議所での発行に時間がかかることもあるため、早めに相談を開始しましょう。
詳細な情報や最新の公募情報については、独立行政法人中小企業基盤整備機構の公式ウェブサイトをご確認ください。
申請までに準備すべきこと【3ステップ】
STEP1|GビズIDプライムを取得しよう
電子申請にはGビズIDプライムが必須。
取得には1週間ほどかかるため、まだの方はすぐに申請を!
STEP2|商工会・商工会議所に相談しよう
申請には「事業支援計画書(様式4)」が必要。
地域の商工会または商工会議所に相談し、発行手続きを進めましょう。
STEP3|必要書類をそろえよう
主に以下の書類が必要です。
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申請書(様式1)
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経営計画書兼補助事業計画書①(様式2)
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補助事業計画書②(様式3)
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事業支援計画書(様式4)
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宣誓・同意書(様式6)
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見積書・相見積り など
採択後・報告時の注意点
小規模事業者持続化補助金の採択後、補助金を受け取るまでには以下の点に注意が必要です。
1. 交付決定通知書の受領前に事業を開始しない
交付決定通知書が届く前に発注や契約を行うと、その経費は補助対象外となります。必ず交付決定通知書を受け取ってから事業を開始してください。ものづくりニッポン!補助金応援隊 – ものづくり製造業のためのお役立ちマガジン
2. 補助事業の実施期間を厳守する
交付決定通知書に記載された実施期間内に、発注、納品、支払いを完了させる必要があります。期間外の経費は補助対象外となるため、スケジュール管理を徹底しましょう。
3. 支払いは銀行振込で行う
補助対象経費の支払いは、原則として銀行振込が求められます。現金払いは認められない場合が多いため、注意が必要です。
4. 必要な証拠書類を適切に保管する
見積書、発注書、納品書、請求書、領収書などの証拠書類は、実績報告時に必要となります。これらを適切に保管し、紛失しないよう管理してください。
5. 事業内容や経費の変更は事前に承認を得る
申請時の計画から事業内容や経費の配分を変更する場合、事前に変更承認申請書を提出し、承認を受ける必要があります。無断での変更は補助金の減額や取消しの原因となります。
6. 実績報告書を期限内に提出する
補助事業完了後、定められた期限内に実績報告書を提出しなければなりません。期限を過ぎると補助金を受け取れなくなる可能性があるため、余裕を持って準備しましょう。
7. 補助金受領後も報告義務がある場合がある
補助金を受け取った後も、事業の進捗や成果について定期的な報告が求められる場合があります。事務局からの指示に従い、適切な報告を行ってください。
これらのポイントを遵守することで、補助金の適正な受領と活用が可能となります。手続きや書類管理に不安がある場合は、専門家に相談することも検討してください。
PROFILE

- 稲野 健夫(代表取締役)
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兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。