【令和6年度】総合経済対策から2024年の中小企業向け補助金を解説

補助金

2023年11月2日、政府は賃金の上昇と国内投資の活性化を主目的とする画期的な総合経済対策を臨時閣議で承認しました。この新しい取り組みのもと、2024年度(令和6年度)に向けた中小企業支援の新たな動向を探ってみます。

本記事では、この総合経済対策を通じて明らかになった、来年度の中小企業向け補助金の方向性に焦点を当てて考察します。

経産省 令和6年度 総合経済対策とは

「総合経済対策」とは、日本の経済を活性化させ、持続的な成長を促進するための一連の政策です。この対策は、以下の主要な点に焦点を当てています:

  1. 中小企業の成長: 国内投資の拡大を支援し、社会課題への対応やイノベーションの促進を通じて経済社会の持続可能性を高めます。また、人口減少に伴う人手不足問題に対処するため、デジタル技術を活用した社会変革を推進します​​。
  2. 労働力の強化: 賃上げを促進し、それによる経済の好循環を実現するために、企業の稼ぐ力を強化します。これには、賃上げ促進税制の検討、価格転嫁対策、省人化・省力化投資の支援などが含まれます​​。
  3. 国民への還元: 物価高騰に追いついていない賃金上昇の状況を踏まえ、不安定な経済状況を安定させるために、所得税と個人住民税の減税、低所得者への給付措置、燃料油価格や電気・ガス料金の激変緩和措置などが含まれます​​​​。

経産省 総合経済対策の内容

2023年11月2日総合経済対策(正式名称:デフレ完全脱却のための総合経済対策)に関する閣議決定の資料は下記になります。

当該資料の中から、中小企業に高い人気のものづくり補助金(生産性革命推進事業)や事業再構築補助金に関しての陳述箇所をピックアップしてみます。

事業再構築補助金(令和6年度)

事業再構築補助金における賃上げ支援

①地域別最低賃金の改正と補助金の役割

地域間格差の是正: 総合経済対策において、地域別の最低賃金の最高額と最低額の比率を引き上げることにより、地域間格差の是正が図られます。

事業再構築と業務改善への支援: 最低賃金の継続的な引き上げに対応するため、事業再構築や業務改善を行う企業に対する支援措置が充実します。

②事業再構築補助金における賃上げの優遇措置

賃上げによる補助率の引き上げ: 事業再構築補助金では、賃上げを行う企業に対して優遇措置が設けられており、これには最低賃金枠の設定や賃上げに伴う補助率の引き上げが含まれます。

政府による賃上げの促進: これらの措置は、賃上げを促進するという政府の方針を反映しており、次年度の予算でも拡充される可能性があります。

応募件数の動向: 一方で、応募件数の減少傾向を踏まえると、大幅な増加は期待できない可能性もあります。

③人手不足対策への支援

中小企業・小規模事業者の支援: 事業再構築補助金では、人手不足に悩む中小企業や小規模事業者を支援する措置が検討されています。

ものづくり補助金について(令和6年度)

中小企業の成長を支援するため、政府はものづくり補助金を提供しています。この補助金は、設備の更新や販路の拡大、情報通信技術の導入、さらには海外市場への進出など、幅広い分野に対しての援助を目的としています。特に注目されるのは、新しいインボイス制度への適応を含む情報通信機器とソフトウェアの導入です。

この補助金は、生産性を向上させることを目的とした生産性革命推進事業の一環として運用されています。予算拡充の計画により、中小企業の競争力をさらに高めるための支援が今後も継続される見込みです。

その他新たな補助金についての展望(令和6年度)

最近の政府の動きから、新しい形の補助金が導入される可能性が高まっています。具体的には、「中堅・中小企業の持続的賃上げと大規模な成長投資の促進」を目的としたものです。この補助金は、特に地方での賃上げを可能にするために、工場の新設や大規模な設備投資に対する支援を提供することを目指しています。

経済産業省は、従業員数が2,000人以下の企業を「中堅企業」として位置づける新方針を発表しました。この方針は、従業員数が増えることで生産性が向上するという考えに基づいています。具体的な「大規模な設備投資」の規模はまだ明らかにされていませんが、補助金の上限額も大きくなると予想されるため、事業規模の拡大を目指す企業にとっては非常に魅力的な支援策となるでしょう。

まとめ:2024年の補助金の展望

2023年11月2日、政府は総合経済対策を承認し、2024年度に向けた中小企業支援策を強化しました。この対策は、中小企業の成長、労働力の強化、国民への還元に焦点を当てています。

具体的には、賃金上昇の促進、国内投資の拡大、デジタル技術による社会変革、税制減税、給付措置、エネルギー価格対策などが含まれます。

また、事業再構築補助金とものづくり補助金が特に強化され、新たな補助金として中堅・中小企業の大規模投資支援が計画されています。これにより、企業の競争力強化と賃上げが促進される見込みです。

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PROFILE

稲野 健夫(代表取締役)
稲野 健夫(代表取締役)
兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。

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