事業再構築補助金 システム開発の採択事例と注意点を解説
この記事の要点
事業再構築補助金を利用したシステム開発の採択事例と注意点について解説。この補助金を通じてデジタルトランスフォーメーションを推進し、業務効率化を実現する方法を学びます。申請要件と適切な計画作成の重要性も解説しています。

この記事の目次
事業再構築補助金は第13回で新規の募集を終えています。募集していた当時は、プラットフォーム開発、クラウド型システム(SaaS)、ECサイト開発などのシステム開発が採択されていました。後継の制度は事業再構築補助金は終了した?と新事業進出・ものづくり補助金をご覧ください。
この記事では、事業再構築補助金でシステム開発に取り組んだ採択事例と、申請時の注意点がわかります。外注や無形資産が大半を占める計画では、理由書が必要でした。
事業再構築補助金はどんな補助金だった?
事業再構築補助金とは、中小企業などの事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を目指した補助金制度で、第13回で新規の募集を終えています。ポストコロナ・ウィズコロナの経済社会の変化に対応するために作られました。
事業再構築補助金は、建物費やシステム構築費など対象経費の区分が多く、補助上限が1.5億円・補助率は2/3の大型の制度でした。補助金は返済の必要がありません。
システム開発ではどんな事業が採択された?
事業再構築補助金では、プラットフォーム開発、クラウド型システム、ECサイト開発といったシステム開発の事業が採択されていました。
1.プラットフォーム開発
プラットフォーム開発は、主にサービス業や宿泊業、通信業で多く見られました。コロナ禍で対面の接触を避けるため、非対面型のビジネス・個人マッチングの需要が増えたことが背景にあります。採択事例には次のような事業がありました。
| 会社名 | 沖縄ツーリスト株式会社 |
| 事業計画概要 | 地域主導型観光ビジネスモデルとして、利用者が自由に組み合わせて予約できるプラットフォームを開発。補助事業では、システム開発とサーバー構築予定し、本事業を通して観光地が主体となって地域の魅力を発信することで沖縄の観光発展に寄与する。 |
2.クラウド型アプリケーション・システム開発(Saas等)
クラウド型のシステム開発は、主にサービス業やIT企業で多く見られました。コロナ禍でも安定した収益を確保するため、月額課金方式のサブスクリプションサービスが増えました。採択されたのは次のような事業です。
| 事業者名 | 事業計画名 |
|---|---|
| 株式会社クリーンソフト | EC店舗運営の業務効率に寄与するクラウド型受注管理システム事業 |
| 株式会社異文化交流企画 | 日本語教育機関向けのクラウド型学校管理システム |
| グレイスソフト株式会社 | 純国産電子メールクラウドサービス「フミヨイ」の展開 |
3.ECサイト開発
ECサイト開発は、主に飲食業や小売業で取り組まれていました。コロナ禍で消費のデジタルシフトが進み、自社の商品を販売するECサイトを開発する事業者が増えました。採択されたのは次のような事業です。
| 事業者名 | 事業計画名 |
|---|---|
| 株式会社望美 | 美味しい東アジア食品でより現地気分を味わう!EC事業への転換 |
| 株式会社ブロスティー | 道内産牛乳を使用したテイクアウト型スイーツ店&EC活用による販路拡大 |
| でん舎 | 獅子舞関連グッズのEC販売と体験教室で伝統文化の大衆化を目指す |
システム開発に向いていた理由は?
事業再構築補助金がシステム開発に向いていた理由は、システム構築費や外注費が対象経費だったこと、成長枠に申請できたこと、補助額が大きかったことの3つです。
①システム開発は補助対象経費
システム開発で最も費用がかかるのは人件費や外注費です。事業再構築補助金では、外注費やシステム開発の費用が補助の対象でした。
【事業再構築補助金の補助対象経費】
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝費
- 研修費
事業再構築補助金では、改装などの建物費のほか、システム開発費、広告宣伝費、外注費も対象経費でした。システム開発に必要な経費の多くを、補助の対象に入れられました。
②成長枠に申請できる
システム開発事業は、第10回公募で新設された成長枠の対象となる業種・業態に指定されていました。そのため、成長枠でシステム開発の経費を申請できました。
③初期投資を抑えられる
成長枠では、最大7,000万円まで最大2/3の補助を受けられました。持続化補助金の最大250万円、ものづくり補助金の最大1,250万円と比べて、補助される金額が大きい制度でした。
システム開発事業は、大きな初期投資が必要なビジネスモデルです。初期コストを金融機関の融資で賄う方法もありますが、事業再構築補助金では自己負担が最大1/4(75%減)になる可能性がありました。
事業再構築補助金は、システム構築費や外注費を対象にでき、補助金額の大きな成長枠にも申請できたため、システム開発に向いた補助金でした。
システム開発で補助対象外になりやすい計画は?
外注が事業の大半を占める計画、無形資産が経費の大半を占める計画、自社エンジニアの人件費を入れた計画は、補助対象外になる可能性がありました。
①補助事業の大半を外注している
事業の大半を外注しているケースは補助対象外となる可能性があり、公募要領にも明記されています。例えば、システムの企画だけを行い、開発や営業、サービス提供は外注する事業が当てはまります。もし大半に近く外注する場合は、事業計画書で書き方の工夫が必要です。
・以下に該当する場合には、不採択又は交付取消となります
具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
公募要領
②無形資産が対象経費の大半を占めている
また補助経費の内、システム開発や広告宣伝費等の無形資産が大半の場合も補助対象外となる可能性があります。バランスよく有形資産も含めることがポイントです。
基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていただく必要があります。このため、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。
公募要領
③自社のエンジニア人件費は補助対象外
事業再構築補助金では、自社の人件費は補助対象外でした。公募要領にも明記されていました。システム開発は、外部の開発会社に依頼する計画にする必要がありました。
以下の経費は、補助対象になりません
事業に係る自社の人件費、旅費
公募要領
外注費や無形資産が大半でも申請できた?
外注や無形資産が大半を占める場合でも、理由書を添付すれば申請できました。理由書とは、外注や無形資産が大半であることが妥当だと示す書類です。
理由書には独自の審査がありましたが、補助対象になる可能性はありました。理由書の内容は、認定支援機関と相談しながら固めます。
例えば、資産性のない経費のみを計上する事業や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の事由がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書を添付書類に追加して提出してください。
公募要領
システム開発ではどんな追加書類が必要だった?
システム開発では、仕様書や要件定義書、価格の分かるパンフレット、2社以上の相見積が必要になる場合がありました。
- 仕様書や要件定義書
- パンフレットや価格の分かる書類
- 2社以上からの相見積の取得
追加書類が必要となるタイミング
仕様書やパンフレットなどの追加書類は、公募申請時点での提出は求められません。しかし、採択候補者となり、交付申請手続きを行うときに提出を求められる可能性があります。なるべく早い段階から開発会社と準備を進めておきましょう。
また、相見積書については、1事業者あたりの価格が50万円以上の場合は提出が必須です。交付申請までに忘れずに取得するようにしましょう。
よくある質問
事業再構築補助金は今もシステム開発に使える?
使えません。事業再構築補助金は第13回で新規の募集を終えています。新しい事業のシステム開発には、後継の新事業進出・ものづくり補助金が使えるかを確かめます。
自社のエンジニアの人件費は対象になった?
対象になりませんでした。事業再構築補助金では、自社の人件費と旅費は補助対象外でした。システム開発は外部の開発会社に依頼する前提でした。
開発をほとんど外注しても申請できた?
理由書を添付すれば申請できました。ただし、企画だけを行い事業の大半を他社に外注・委託する事業は、不採択または交付取消になると公募要領に書かれていました。
相見積はいつ必要だった?
一定額以上の発注では、相見積書の提出が必須でした。仕様書やパンフレットとあわせて、交付申請の手続きで求められることがありました。
まとめ
事業再構築補助金は、中小企業などの事業再構築を支援した補助金で、第13回で新規の募集を終えています。システム開発では、外注や無形資産が大半の計画に理由書が必要で、自社の人件費は対象外でした。
これからシステム開発に補助金を使う場合は、後継の新事業進出・ものづくり補助金の要件を確かめます。
システム開発に使える補助金を相談する
後継の新事業進出・ものづくり補助金など、システム開発に使える制度のご相談を受け付けています。「この開発は補助対象経費になる?」といった疑問でもお気軽にお送りください。
中小企業診断士 神谷 恒一が内容を確認しました(2026年10月13日)
事業再構築補助金の関連記事
一覧へ公開 2025/5/6
要点状況:事業再構築補助金の新規受付は第13回公募(2025年3月26日締切)で終了 採択:第13回公募は応募3,100者・採択1,101者(2025年6月30日公表) 締切:後継の新事業進出・ものづくり補助金 第1回は2026年10月30日(金)18時
公開 2024/8/29
要点事業再構築補助金を活用してGXに挑戦する方法を解説します。中小企業のGX投資を後押しする成長分野進出類型(DX・GX)の概要や目的と、補助金の申請から活用までの流れを整理しています。
公開 2024/8/21
要点令和8年度に入り、これまで安定していた補助金の採択率に変化が訪れています。経済産業省が主導する「事業再構築補助金」「ものづくり補助金」「持続化補助金」などの採択率が軒並み減少しているのです。 では、なぜこのような事態が起…
公開 2024/2/4
要点元々、令和6年度1月に公募開始が予想されていた第12回公募ですが、実際のスケジュールや締切がいつになるのか気になっている経営者も多いのではないでしょうか。 そこで今回は、現在の状況を踏まえて、第12回公募の見通しについて…



