事業再構築補助金を活用してシステム開発を行うことで、事業の効率化や競争力向上が期待できます。本記事では、事業再構築補助金を利用してシステム開発を進める際の採択事例と注意点について詳しく解説します。システム開発は事業のデジタルトランスフォーメーションを実現し、業務プロセスを効率化する重要なステップですが、事業再構築補助金を利用する際には申請要件を理解し、適切な計画と準備が重要です。
目次
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金とは、ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を目的とした補助金制度です。
この補助金は、補助対象となる経費の範囲が広く、補助上限が1.5億円・補助率も2/3の大型の制度です。また、補助金は返済の必要がないため、上手に活用すれば、ビジネスのコスト軽減が可能です。
【最新】事業再構築補助金とは?補助額や申請要件、採択傾向を解説
事業再構築補助金 システム開発の採択事例
事業再構築補助金はシステム開発に使うことができます。実際の採択事例を見てみましょう。
1.プラットフォーム開発
プラットフォーム開発は主にサービス業や宿泊業、通信業に多く見られます。コロナ渦では対面の接触を避けるため、非対面型のビジネス・個人マッチングの需要が増加したこと等が背景にあります。実際の採択事例には下記のような補助事業がありました。

会社名 | 沖縄ツーリスト株式会社 |
事業計画概要 | 地域主導型観光ビジネスモデルとして、利用者が自由に組み合わせて予約できるプラットフォームを開発。補助事業では、システム開発とサーバー構築予定し、本事業を通して観光地が主体となって地域の魅力を発信することで沖縄の観光発展に寄与する。 |
2.クラウド型アプリケーション・システム開発(Saas等)
クラウド型のシステム開発は、主にサービス業やIT企業に多いです。コロナ渦でも安定した収益を確保するため、月額課金方式のサブスクリプションサービスが増えました。実際に採択されたのは下記のような事業です。
事業者名 | 事業計画名 |
---|---|
株式会社クリーンソフト | EC店舗運営の業務効率に寄与するクラウド型受注管理システム事業 |
株式会社異文化交流企画 | 日本語教育機関向けのクラウド型学校管理システム |
グレイスソフト株式会社 | 純国産電子メールクラウドサービス「フミヨイ」の展開 |
3.ECサイト開発
ECサイト開発は主に飲食業や小売業で取り組まれています。コロナ渦によって消費のデジタルシフトが加速した昨今、自社の商品を販売するECサイトを開発する事業者が増えています。実際に採択されたのは下記のような事業です。
事業者名 | 事業計画名 |
---|---|
株式会社望美 | 美味しい東アジア食品でより現地気分を味わう!EC事業への転換 |
株式会社ブロスティー | 道内産牛乳を使用したテイクアウト型スイーツ店&EC活用による販路拡大 |
でん舎 | 獅子舞関連グッズのEC販売と体験教室で伝統文化の大衆化を目指す |
システム開発なら事業再構築補助金がおすすめ
全国には事業に活用できる補助金が沢山ありますが、システム開発なら事業再構築補助金のご活用を強くおすすめします。その理由は以下の3つです。
①システム開発は補助対象経費
システム開発で最も費用がかかるのは人件費や外注費です。事業再構築補助金では外注費用やシステム開発費用は補助の対象となるので、非常に大きな支援を得ることができます。
【事業再構築補助金の補助対象経費】
- 建物費
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝費
- 研修費
上記の通り、事業再構築補助金では経費として、改装費以外にもシステム開発費や広告宣伝費、外注費なども認められます。補助対象経費として認められる経費が多く、チャットGPTを開始するにあたって必要な経費の大部分が補助されるため、大変心強いサポートになるでしょう。
②成長枠に申請できる
システム開発事業は、第10回公募から新設された事業再構築補助金の成長枠において対象となる業種・業態に指定されています。つまり、成長枠でシステム開発の経費は申請可能です。市場拡大する根拠として、下記の資料が公表されています。システム開発を検討されている方は、事業環境の分析やカスタマーニーズの把握、ビジネスモデル検討の参考にご活用ください。
③初期投資を抑えられる
先述の成長枠なら最大7,000万円が最大2/3補助されます。他の代表的な補助金である持続化補助金は最大250万円、ものづくり補助金は最大1,250万円のため、事業再構築補助金では補助される金額が非常に大きいと言えます。さらに、システム開発事業は大きな初期投資が必要となるビジネスモデルです。初期コストを金融機関の融資などで乗り切ることも検討可能ですが、事業再構築補助金なら自己負担が最大1/4(75%減)となる可能性があります。
上記の通り、事業再構築補助金であれば必要な経費が幅広いだけでなく、補助金額の大きな成長枠にも申請できるためのシステム開発に適した補助金です。
事業再構築補助金 システム開発の注意点
①補助事業の大半を外注している
事業の大半を外注しているケースは補助対象外となる可能性があり、公募要領にも明記されています。例えば、システムの企画だけを行い、開発や営業、サービス提供は外注する事業が当てはまります。もし大半に近く外注する場合は、事業計画書で書き方の工夫が必要です。
・以下に該当する場合には、不採択又は交付取消となります
具体的な事業再構築の実施の大半を他社に外注又は委託し、企画だけを行う事業
公募要領
②無形資産が対象経費の大半を占めている
また補助経費の内、システム開発や広告宣伝費等の無形資産が大半の場合も補助対象外となる可能性があります。バランスよく有形資産も含めることがポイントです。
基本的に、事業拡大につながる事業資産(有形・無形)への相応規模の投資をしていただく必要があります。このため、一過性の支出と認められるような支出が補助対象経費の大半を占めるような場合には、本事業の支援対象にはなりません。
公募要領
③自社のエンジニア人件費は補助対象外
事業再構築補助金では自社の人件費は補助対象外となります。公募要領の中でも明記されています。
システム開発には外部の開発会社に依頼しましょう。
以下の経費は、補助対象になりません
事業に係る自社の人件費、旅費
公募要領
外注費と無形資産が大半を占める場合
たとえ、前述のケース①と②に該当した場合でも申請は可能です。その場合は理由書の添付が必要です。理由書とは、外注や無形資産が大半であることが妥当であることを示す書類です。独自審査が設けられていますが、補助対象になる可能性は大いにあります。認定支援機関と相談しながら進めて下さい。
例えば、資産性のない経費のみを計上する事業や、1つの経費区分だけに大半の経費を計上する事業等、特段の事由がある場合には、応募申請時に、その理由を明らかにした理由書を添付書類に追加して提出してください。
公募要領
事業再構築補助金 システム開発時の追加書類
- 仕様書や要件定義書
- パンフレットや価格の分かる書類
- 2社以上からの相見積の取得
追加書類が必要となるタイミング
仕様書やパンフレットなどの追加書類は、公募申請時点での提出は求められません。しかし、採択候補者となり、交付申請手続きを行うときに提出を求められる可能性があります。なるべく早い段階から開発会社と準備を進めておきましょう。
また、相見積書については、1事業者あたりの価格が50万円以上の場合は提出が必須です。交付申請までに忘れずに取得するようにしましょう。
まとめ
事業再構築補助金は、ポストコロナ時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の事業再構築を支援し、日本経済の構造転換を目的とした補助金制度です。補助額は最大1.5億円、補助率は最大3/4まで補助されます。事業再構築補助金を利用することで、新たなシステム開発を通じてビジネスのコスト軽減と効率化が可能になります。申請要件や補助対象経費の範囲を理解し、適切な計画と準備を行い、採択を目指していきましょう。
事業再構築補助金 システム開発相談窓口
「○○事業でのシステム開発は補助対象経費?」など些細な疑問でもお気軽にお申し付けください。
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PROFILE

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兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。
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