事業再構築補助金第10回公募から、新たに成長枠(旧通常枠)が設けられました。従業員数20人以下の企業でも最大2000万円の補助金額を受けられます。これまでの売上高減少要件が撤廃されたため、新設法人でも要件を満たせば対象となります。そこで本日は事業再構築補助金の成長枠について解説します。
目次
事業再構築補助金 成長枠とは
成長枠とは、『成長分野に向けた大胆な事業再構築に取り組む事業者を支援』する申請類型ですこれまでの「通常枠」が再編されて売上高減少要件が撤廃され、市場規模が拡大する業種への転換を支援するものです。
昨今の新型コロナウイルスや急速な円安による物価高騰の影響を受ける中小企業は67.3%と言われています。こうした経済環境の下、事業の構造改革及び新たな収益の柱となる新領域の模索は喫緊の課題です。通常枠の採択率は50%程度であることから、万全な準備をすれば採択されやすい補助金です。また設立間もない法人でも要件を満たせば補助対象となります。
成長枠の補助上限額・補助率
補助上限額
補助上限は、以下の通り従業員数によって変わります。また後述しますが、成長枠には一定の要件を満たすことで、補助率を引上げることができます。
事業再構築補助金で使える補助対象経費は以下で解説しています。
補助率
中小企業等の補助率は2/3、大規模な賃上げを行う場合は2/3になります。
中堅企業等の補助率は1/3、大規模な賃上げを行う場合は1/2になります。
補助率を引上げることも可能(補助率引上げ要件)
成長枠には一定の要件を満たせば、補助率を引上げることができます。補助率引上げを受けるには、数値計画において、下記2つを満たす事業計画を策定する必要があります。
- 補助事業期間内に給与支給総額を年平均 6%以上増加させること
- 補助事業期間内に事業場内最低賃金を年額 45 円以上の水準で引上げること
事業再構築補助金 成長枠の特徴
成長枠の特徴は以下の4つです。
- 売上高減少要件が撤廃された
- 市場拡大要件が追加された
- 補助上限が縮小された
- 補助率が縮小された
売上高減少要件が撤廃された
今までは業績が好調の企業は売上高等減少要件があったため、事業再構築補助金に申請することはできませんでした。 しかしながら、2023年度からは売上高が伸びている企業でも申請できるようになりました。 対象者が大幅に増加することが予想されます。
市場拡大要件が追加された
詳細は後述しますが、市場拡大要件の要件を満たすのは、原則として「取り組む事業が過去〜今後のいずれか10年間で、市場規模が10%拡大する業種・業態に属している業種・業態」になります。
補助上限額が減少した
第9回公募までの最大補助額は8,000万円でしたが、第10回から最大7,000万円になりました。
補助率が減少した
第9回公募までは、中小企業の補助率は2/3、中堅企業の補助率は1/2でしたが、今回の変更によって減少しました。しかし、補助率引上げ要件を適用すれば以前と同様の補助率で申請可能です。
事業再構築補助金 成長枠の必須要件
回復再生応援枠に申請するには4つの要件を満たす必要があります。確認方法が分からない場合は、専門家にご相談してみてください。
- 市場拡大要件
- 給与総額増加要件
- 事業再構築要件
- 認定支援機関要件
- 付加価値額要件
市場拡大要件
事業再構築補助金は「成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援」する補助金であるため、成長分野への進出する計画である必要があります。成長分野とは、市場拡大要件で定められた「取り組む事業が、過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上拡大する業種・業態に属していこと」を満たす分野です。
こちらに業種業態が指定されています。この指定の業種以外であっても上記の10年間・10%の条件を満たすことを客観的なデータ・統計等によって示し、事務局の審査に認められれば申請できます。詳細はこちらで解説しています。
給与総額増加要件
事業終了後3~5年で、給与支給総額を年率平均で2%以上増加させる必要があります。 なお、賃上げ加点を受ける事業者は3~5%の増加が必要です。 2.応募時に、賃金引上げ計画の誓約書を提出してください。
事業再構築要件
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であることが求められます。つまり、新分野展開、事業転換、業種転換、業態転換又は事業再編のいずれかに該当する計画でなければいけないという要件です。詳細はこちらで解説しています。
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること【事業再構築要件】
認定支援機関要件
認定支援機関要件とは、国に中小企業支援の知識・経験がある者として認められた認定支援機関に事業計画書を確認してもらわなければいけないという要件です。認定支援機関とは、中小企業支援の知識・経験がある者として、国の認定を受けた機関であり、士業や商工会、金融機関が多く認可されています。詳細はこちらで解説しています。
事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けていること。【認定支援機関要件】
https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/koubo.pdf
付加価値額要件
付加価値額とは、営業利益・人件費・減価償却費を足したものです。策定する事業計画において、3~5年で又は従業員の付加価値額の年 3.0%以上増加する計画にしなければいけません。こちらは事業計画作成時の対応範囲となります。
詳細はこちらで解説しています。
まとめ
成長枠は設立間もない法人や一人社長の会社でも活用できるため、非常におすすめの申請枠です。一方、申請までの手続きには、事業計画書の作成だけでなく必要書類の準備もあります。認定支援機関の選定も含めると、申請準備は1ヶ月以上かかることもあるので、余裕を持って準備を進めましょう。
事業再構築補助金 申請相談窓口
事業再構築補助金に関するご相談はこちらです。フォームを送信すると担当者が詳しい内容をご説明します。
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