ものづくり補助金における従業員数の定義を解説

ものづくり補助金

製造業の成長は、助成金や補助金の活用により加速されています。特に、ものづくり補助金は従業員数要件を満たすことが求められます。この要件には正社員だけでなく、アルバイトや契約社員も含まれます。従業員数の正確な把握は、補助金申請の成功にとって不可欠であり、事業者は従業員数要件を理解し、正しい申請書類を提出する必要があります。

従業員数の意味とは?

ものづくり補助金における従業員は下記の通り、定義されています。

常勤従業員は、中小企業基本法上の「常時使用する従業員」をいい、労働基準法第 20 条の規定に基づく「予め解雇の予告を必要とする者」と解されます。これには、日々雇い入れられる者、2 か月以内の期間を定めて使用される者、季節的業務に 4 か月以内の期間を定めて使用される者、試みの使用期間中の者は含まれません。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金公募要領(15次締切分)P5

中小企業基本法上の「常時使用する従業員」が従業員の定義となります。
また、労働基準法第20条の規定は下記の通り。

労働基準法(昭和22年法律第49号)
(解雇の予告)
第20条   使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。
2  前項の予告の日数は、1日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。
3  前条第2項の規定は、第1項但書の場合にこれを準用する。
第21条   前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。
但し、第1号に該当する者が1箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第2号若しくは第3号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第4号に該当する者が14日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。
一  日日雇い入れられる者
二  2箇月以内の期間を定めて使用される者
三  季節的業務に4箇月以内の期間を定めて使用される者
四  試の使用期間中の者

したがって、従業員に含まれるのは以下です。

従業員に含まれるケースは下記の通りです。

  • 正社員
  • アルバイト、パート
  • 契約社員

従業員数とは、申請する企業が現在雇用している正社員や非正規雇用者(パートタイムや契約社員)の総数を指します。大切なのは、正社員だけでなく非正規雇用者も含まれること。しっかり把握しておきましょう!

注意すべきポイント

  1. 雇用形態の把握が大切:非正規雇用者も含めて数えるので、正確な雇用形態を確認しましょう。
  2. 従業員数の変動に注意:申請後に従業員数が変わる可能性もあるので、定期的な人事情報の確認が必要です。
  3. 従業員要件の確認:従業員数に応じた補助率が設定されることも。成長に合わせて条件を確認しましょう。
  4. 範囲の明確化が必要:補助金の対象となる従業員数の範囲を把握し、申請条件を理解しましょう。

申請には労働者名簿の提出が必要です

労働者名簿には下記の事項を記載する必要があります。

  • 事業者名
  • 従業員の氏名
  • 従業員の生年月日
  • 従業員の雇入れ年月日
  • 従事する業務の種類

労働者名簿の様式は決まっていません。
しかしながら、上記の事項は記入必須となっています。
自社で作成した労働者名簿を提出する場合、必ず上記の事項がしっかり記入されているのかを確認しましょう。

労働者名簿はものづくり補助金でどういった時に必要?

労働者名簿は(応募申請時の従業員数が21名以上で、従業員数の確認資料における期末の従業員数が20名以下の場合のみで必要となります。つまりほとんどのケースでは不要です。
例えば、下記のような場合、労働者名簿は不要です。

  • 従業員が減っていない
  • 従業員が常に20名以下

といったケースの場合、労働者名簿は不要となります。

一方で、従業員の入れ替わりが激しい事業者は注意しなければなりません。知らぬ間に労働者名簿提出の対象者になっていたという事も。必ず従業員10名から30名の事業者は自社が労働者名簿の提出の対象者になっていないか確認しておきましょう。

労働者名簿はどこで入手可能?

ものづくり補助金の申請時に必要となる労働者名簿は、労働基準法により職場で必ず置かなければいけない書類として定められているものです。労働者名簿には原則、全社員の名前や情報が書かれており、入社退社等で常に更新されるべきものです。

労働者名簿は、特にどこかの機関に提出しなければいけないものではありませんが、例えばハローワークを通じて労働基準監督局から提出を求められることもあります。労働者名簿の書式は、厚生労働省のホームページ「厚生労働省|主要様式ダウンロードコーナー」からダウンロードできます。

まとめ

ものづくり補助金の申請においては、従業員数要件の理解とその満たし方が重要です。従業員数は正社員だけでなく、非正規の従業員も含めた全従業員数を基に判断されます。労働者名簿の提出が必要であり、この要件を満たすことで、製造業のさらなる成長と補助金の適切な利用が期待できます。

以上、ものづくり補助金の従業員数要件についてお届けしました。皆さんもこの機会に是非、ものづくり補助金を活用して事業の成長を目指してみてはいかがでしょうか!

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PROFILE

稲野 健夫(代表取締役)
稲野 健夫(代表取締役)
兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。

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