ものづくり補助金を申請する際には、特定の条件が満たされていないと不採択や交付取消のリスクがあります。この記事では、これらの要件を明確に理解し、スムーズに申請を行うためのポイントを解説します。
目次
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金は、小規模事業者持続化補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
ものづくり補助金は、中小企業等の革新的サービス開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
詳しくはこちら:【最新】ものづくり補助金とは?補助額や申請要件、採択傾向を解説!
ものづくり補助金の申請枠
ものづくり補助金第24次には、革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化を目指す「製品・サービス高付加価値化枠」と、海外事業の実施による国内の生産性向上を目指す「グローバル枠」の2つあります。それぞれの対象や補助率・補助上限、対象経費は以下の通りです。
※1 大幅賃上げ特例を適用する場合、()内の補助金額が上限となります。
※2 最低賃金引上げ特例を適用する場合、中小企業も補助率2/3となります。
※3 以下の定義に該当する小規模事業者・再生事業者は補助率2/3が適用されますが、補助金交付候補者としての採択から交付決定までの間や、交付決定後から補助事業完了後までの間に、以下の定義に該当しなくなった場合は、補助率1/2となります。
補助上限・補助率
製品・サービス高付加価値化枠
- 補助上限:
5人以下750万円(850万円)
6~20人1000万円(1250万円)
21~50人1500万円(2500万円)
51人以上2500万円(3500万円) - 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 補助事業実施期間:交付決定日から10か月(ただし採択発表日から12か月後の日まで)
詳しくはこちら:【2026年】製品・サービス高付加価値化枠を解説
グローバル枠
- 補助上限:3,000万円
- 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 補助事業実施期間:交付決定日から12か月(ただし採択発表日から14か月後の日まで)
詳しくはこちら:【2026年】 ものづくり補助金 グローバル枠を解説
ものづくり補助金 不採択・採択取消とは?
ものづくり補助金では、公募申請を行い採択されても、補助金の交付が確定したわけではありません。交付申請、確定検査を経て、補助対象経費に対する補助金額が確定します。事業者には、補助金の採択後から補助金が清算されるまでに気を付けるべきポイントがいくつかあります。下記の項目に該当すると、最悪の場合は不採択又は採択取消となる可能性があります。
不採択又は採択取消リスク
ものづくり補助金にはすべての申請枠に共通してある不採択又は交付取消となる要件があります。これから申請をご検討の方、すでに申請をしてしまった方でも、こちらは必ずご確認いただきたい点ですので、ご留意ください。
1. 事業実績報告の重要性
応募締切日前10ヶ月以内に同一のものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業の交付決定を受けた事業者や、同じ事業の補助事業実績報告書を未提出の事業者は注意が必要です。過去3年間に2回以上同一事業の交付決定を受けた事業者も同様に注意が求められます。
2. 大企業との関係
以下の条件に該当する中小企業者は、所定の要件に注意する必要があります。発行済株式の半分以上を大企業が所有している場合や、大企業の役員や職員が中小企業の役員総数の半分以上を占める場合は、補助金の対象外となる可能性があります。
- 発行済株式の半分以上を大企業が所有
- 発行済株式の3分の2以上を大企業が所有
- 大企業の役員や職員が中小企業の役員総数の半分以上を占める
- 上記条件を満たす中小企業者が他の中小企業者の株式を所有
3. 不適切な関係の確認
暴力団や暴力団員との関係がある事業者は補助金の対象外となります。
4. 重複申請の禁止
同一法人・事業者が同一の締切回に複数申請を行うことは「みなし同一法人」の制度により制限されています。また、他の補助金との重複申請や類似内容の事業を申請することも禁止されています。
5. 虚偽申請の警告
虚偽の内容で申請したことが発覚した場合、次回以降の公募への申請ができなくなります。
6. 事業内容の変更
一時的に資本金や従業員数を変更して補助対象事業者となることを目的とする行為は禁止されています。
ものづくり補助金 要件解説
こちらはものづくり補助金の公募要領に記載されている不採択・採択取消に関する要件です。とても重要ですので、確認しておくことがおすすめです。
- 応募締切日前10ヶ月以内に、ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業(以下、同一事業とします。)の交付決定を受けた事業者及び応募締切日時点で同一事業の補助事業実績報告書を未提出の事業者・過去3年間に、2回以上ものづくり・商業・サービス生産性向上促進事業の交付決定を受けた事業者
- 次の(1)~(5)のいずれかに該当する事業者(みなし大企業)
(1)発行済株式の総額の2分の1以上を同一の大企業が所有している中小企業者
(2)発行済株式の総数又は出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している中小企業者
(3)大企業の役員又は職員を兼ねている者が役員総数の2分の1以上を占めている中小企業者
(4)発行済株式の総数又は出資価格の総額を(1)~(3)に該当する中小企業者が所有している中小企業者- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条に規定する暴力団又は暴力団員と関係がある事業者
- 同一法人・事業者が同一の締切回において複数申請を行っている事業者
- 国等が助成する制度との重複を含む事業を申請する事業者。
すなわち、補助対象経費の重複に限らず、テーマや事業内容から判断し、本事業を含む補助金若しくは委託費と同一若しくは類似内容の事業(交付決定を受けていない過去の申請を除く)、又は公的医療保険・介護保険からの診療報酬・介護報酬、固定価格買取制度等との重複がある事業を申請する事業者は補助対象とならない。なお、これまでに交付を受けた補助金及び委託費の実績については、必ず応募申請書に記載してください。申請する事業が、これらとの重複を含んでいないか事前によく確認してください。- 中小企業生産性革命推進事業の他の補助金(小規模事業者持続化補助金等)や、中小企業事業再構築補助金と同一の補助対象を含む事業者・他の中小企業・小規模事業者等から提出された事業と同一若しくは極めて類似した内容の事業を申請する事業者
※1 他社の事業計画を流用したり、他社に流用されたりしないようご注意ください。
※2 他の法人・事業者と同一又は酷似した内容の事業を申請した場合、1回目は次回公募の申請不可、2回目以降は次回と次々回の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意下さい。- 申請時に虚偽の内容を提出した事業者
※ 虚偽の内容で故意又は重過失により申請した場合、次回以降の公募への申請ができなくなりますので、十分ご注意下さい。- 平成27~30年度、令和元年度~令和3年度補正ものづくり・商業・サービス補助事業の採択
- 事業者のうち、「事業化状況・知的財産権等報告書」を未提出の事業者
- 応募申請時点において、一時的に資本金の減額や従業員数の削減を行い、補助事業実施期間終了後に資本金の増額や従業員数の増加を行うなど、専ら本事業の対象事業者となることのみを目的として、資本金、従業員数等を変更していると認められる事業者
ものづくり補助金 業種別採択事例
制度の概要だけでは「自社でも使えるイメージが湧かない」という声をよく聞きます。ここでは、ものづくり補助金の公式グッドプラクティス集・成果事例集をもとに、業種別の活用事例を紹介します。直近の採択率は第19次31.8%・第20次33.6%・第21次34.1%と3社に1社程度の厳しい審査です。採択された事業者の事例を読むことで、どのような計画が評価されるのかを把握することができます。
事例① 洋菓子製造業|自動化で品質安定を実現- 課題: 手作業中心の製造ラインで、繁忙期に生産量が追いつかず、品質のばらつきも課題になっていた。
- 取り組み: 大型ミキサーや自動整列機を導入し、製造工程の一部を自動化。設備投資にものづくり補助金を活用した。
- 成果: 製造時間の短縮と省人化を実現。繁忙期の生産能力が向上し、安定した品質での供給体制が整った。
- 採択のポイント: 単に「設備を入れたい」ではなく、数値で示したことが評価につながった。
- 課題: 既存設備では対応できない高精度加工の受注機会を逃しており、スクラップ率(損失)も高止まりしていた。
- 取り組み: 最新鋭の加工設備を導入し、人材配置も見直すことで生産プロセスを全体的に刷新した。
- 成果: 付加価値が従来比10%増大し、加工ミスや損失コスト(損金)の削減にも成功した。
- 採択のポイント:改善効果を具体的な数字とグラフで表現することで、事業計画書の説得力を高めたことが採択につながった。
- 課題: 熟練の職人による手作業に依存した裁断工程がボトルネックとなっており、受注増加への対応と技術継承が課題だった。
- 取り組み: 新工場への移転に合わせて自動裁断機を導入。手作業で行っていた裁断工程の機械化を推進した。
- 成果: 旧来の機械と比較して作業効率が約30%向上。職人の技術に依存していた工程が標準化され、安定生産が可能になった。
- 採択のポイント:設備導入で「どう標準化するか」という革新性と、具体的な効率化数値を示したことが評価された。
- 課題: インフラ点検の足場組み作業に伴う墜落リスクと、点検に要する長い所要時間が経営上の制約になっていた。
- 取り組み: 高性能ドローンと撮影データを管理するクラウドシステムを導入し、点検業務の安全性向上と効率化を実現した。
- 成果: 足場組みが不要になることで危険作業が大幅に減少。点検所要時間も短縮し、1チームあたりの対応件数が増加した。
- 採択のポイント: 定量的な効率改善効果を事業計画書で丁寧に説明したことが採択につながった。
- 課題: 瓶詰や火入れ(殺菌)工程が手作業中心で、外気温の影響による品質ブレが生じていた。
- 取り組み: 瓶詰や火入れといった工程の全自動化を実現し、外気温に触れる前に充填できる設備を導入。
- 成果: 品質の安定化と衛生管理水準の向上を達成。輸出対応可能な品質基準を満たせるようになり、販路が国内から海外へと広がった。
- 採択のポイント:ものづくり補助金の「政策面」の審査基準に強く合致していた点が評価された。
上記の事例は弊社の申請サポートにより実際に採択された事例をベースにご紹介しています。申請をご検討の方はぜひ一度ご相談ください。
事例から見える「採択される計画書」の共通点
5つの事例を通じて見えてくる共通点があります。それは、「設備を入れたい」ではなく「課題を解決する手段として設備が必要」という論理構造になっている。 「機械設備が古くなったから更新したい」という理由では補助対象にならない。事業計画書は技術面・事業化面・政策面の3つの審査軸から評価されるため、どの軸でも説得力のある記述が求められます。
自社の業種や規模に近い採択事例は、ものづくり補助金 公式サイトの成果事例検索から6,000件以上の事例を検索できます。申請前に必ず確認することをおすすめします。
ものづくり補助金 直近採択率
ものづくり補助金は申請したら必ず活用できる補助金ではなく、申請後に事務局から採択されなければ活用することはできません。以下では、過去のものづくり補助金の採択率を確認していきましょう。
かつては採択率50%前後の回もありましたが、直近では30〜35%程度まで低下しており、「とりあえず申請すれば通る補助金」ではなくなっています。実際、直近の第19次〜第21次公募では、高付加価値化枠の採択率は約32〜35%前後で推移しています。
ものづくり補助金 審査観点
ものづくり補助金の審査項目について見ていきましょう。すべての審査観点を網羅する必要はありませんが、バランスの良い事業計画書を作成しなければ採択はできません。
(1)技術面
- 新商品や新サービスは革新的な取り組みか
- 課題が明確で、課題を解決させる事業であるか
- 事業に取り組めるだけのリソースがあるか
(2)事業化面
- 人材・財務状況は十分か
- 新事業のマーケティングができているか
- 無理なく事業を行えるスケジュールか
- コストパフォーマンスは高いか
(3)政策面
- 地域貢献できる事業か
- ニッチな分野で高いシェアを確保できるか
- 難しい課題について各連携帯で協力し解決できるか
- 新しいデジタル技術やビジネスモデルを活用しているか
- コロナに対応した事業か
採択率を上げる5つの実務ポイント
申請検討中・希望の方
補助金申請は膨大な時間と労力をかけても、採択されなければ一円も入ってきません。だからこそ、採択の可能性を最大限に高めるためには、“経験ある専門家の力を借りる”ことが最も合理的な選択肢です。
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参考・引用資料
本記事は以下の公式資料をもとに作成しています。
免責事項・ご注意
本記事について
本記事は、中小企業庁およびものづくり補助金事務局が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択を保証・推奨するものではありません。
制度変更について
ものづくり補助金は、公募回ごとに補助率・補助上限額・対象要件・スケジュール等が変更される場合があります。また、2026年度以降は「新事業進出・ものづくり補助金」として制度再編が行われる可能性もあります。制度内容は予告なく変更される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
申請の際は必ずご確認ください
- ものづくり補助金総合サイトに掲載されている最新公募要領
- GビズIDプライムアカウントの取得状況
- 認定支援機関または中小企業診断士等の専門家への相談
損害免責
本記事の情報に基づいて生じた損害・損失・不利益について、当社は一切の責任を負いかねます。
著作権
本記事の文章・構成の著作権は leon-strategy.com に帰属します。引用・転載の際は出典を明記してください。
PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「Googleや審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。






