ものづくり補助金が不採択になる原因は?審査の段階と出し直しの対策

この記事の要点

ものづくり補助金で不採択になる原因は、書類の不備、申請できない会社への該当、書面審査の点不足、過去の補助金利用による減点の4つに分かれます。公募要領をもとに、審査の段階ごとの原因と出し直しの対策を整理しました。

この記事の目次
  1. 審査の前に門前払いになる申請とは?
  2. 申請できない会社に当てはまっていないか
  3. 書面審査で点が伸びない計画の共通点
  4. 過去の補助金の利用で減点される場合
  5. 採択された計画は課題と設備をどうつないだ?
  6. 間違えやすい点
  7. 専門家から見た不採択を避けるポイント
  8. よくある質問
結論

ものづくり補助金(今の新事業進出・ものづくり補助金)で不採択になる原因は、書類の不備で審査に進めない、申請できない会社に当てはまる、書面審査で点が足りない、過去の補助金の利用で減点される、の4つに分かれます。

前の2つは申請前の点検で防げます。点が足りない原因の多くは、新しい事業であることと数字の根拠が計画書から読み取れないことなので、審査項目ごとに根拠を書き足します。

不採択の通知を受けて次の回に出し直したい方や、初めての申請で不採択になる原因を先につぶしておきたい方に向けた記事です。

以前のものづくり補助金の公募は終わり、2026年からは新事業進出補助金と1つになった新事業進出・ものづくり補助金の公募が始まっています。不採択の理由は開示されないため、この記事では今の公募要領の要件・審査項目・減点項目から、不採択になる原因を段階ごとに整理します。

審査の前に門前払いになる申請とは?

審査の前に外されるのは、必須の添付書類が欠けている申請、書類の形式が決まりと違う申請、申請者自身が申請していない申請です。中身が良くても、審査委員の評価を受ける前に不採択になります。

公募要領は「申請内容は外部有識者からなる審査委員会が審査・評価する。補助対象者・事業に当たらないなど要領に沿わない場合や、書類に不備・不足がある場合は審査対象とならず不採択」と書いています1。必須の書類は、直近3期分の決算書、労働者名簿の写し、確定申告書の控えの3つです。

  • 確定申告書の控え:電子申告なら受付日時と受付番号が載ったもの、紙の申告なら収受日付印のあるものか納税証明書(その2)が要ります。
  • 決算書:1期分を1つのファイルにまとめ、3期分をそろえます。創業から3期たっていない会社は、今期までのすべての決算書を付けます。
  • GビズID:取得が遅れても締切は延びません。登録には日数がかかるので、計画づくりと同時に申し込みます。

電子申請に必要なIDの準備はGビズIDプライムの取得方法で取り上げています。

御社がこの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。

AIで対象か確認する

申請できない会社に当てはまっていないか

申請できない会社に当てはまると、計画の出来に関係なく不採択になり、採択後に分かれば取り消されます。よく見落とされるのは、直近の採択、過去3年の利用回数、みなし大企業、従業員0名の4つです。

当てはまると申請できない条件 見落としやすい場面
締切から16か月以内に、新事業進出・ものづくり補助金や以前の制度で採択された、または締切の時点で補助事業を実施中 前の回で採択され、まだ事業を進めている
過去3年に、新事業進出・ものづくり・事業再構築(終了した以前の制度)の交付決定を合計2回以上受けた グループ会社の利用も数に入る
大企業が株式の1/2以上を持つなどのみなし大企業 取引先の大企業から出資を受けている
応募申請の時点で従業員が0名 社長と役員だけの会社
直近3年の課税所得の年平均が15億円を超える 利益の大きい年が続いた
以前のものづくり補助金などで採択取消・交付決定取消を受け、または報告や返還が済んでいない 以前の補助事業の事業化状況報告を出していない

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.21『1-4-2. 補助対象外となる事業者』台帳で見る

役員は従業員に数えないので、役員だけの会社は従業員0名として扱われます。申請のためだけに一時的に減資や人員の調整をすることも、対象外とされています。

グループ会社の数え方はみなし同一法人の判定で詳しく取り上げています。

書面審査で点が伸びない計画の共通点

書面審査で点が伸びない計画は、既存事業の設備更新に見える、売上の根拠が書かれていない、会社の経営戦略とつながっていない、の3つのどれかに当てはまっています。審査は7つの項目で行われ、どれかが空白だと、そこで点を落とします。

審査項目は「書面審査:(1)補助対象事業としての適格性(2)経営戦略との整合性(3)事業の実現可能性(4)新市場性・高付加価値性(新事業進出枠)(5)公的補助の必要性(6)政策面(7)大規模な賃上げ計画の妥当性(賃上げ特例希望者)」です2。革新的新製品・サービス枠では、既存の製品の作り方を良くするだけの事業や、同業で広く使われている設備を入れるだけの事業は、そもそも対象になりません。

  • 設備更新に見える計画:「古い機械を新しくして生産性を上げる」だけでは、新しい製品・サービスの開発にあたりません。新しい機械で何を新しく作り、誰に売るかを先に書きます。
  • 根拠の無い売上計画:「市場が伸びている」だけでは足りず、見込み客の数、単価、引き合いの件数など、数字のもとを示します。
  • 経営戦略と切れた計画:これまでの取組や強みと、新しい事業がどうつながるかを書かないと、なぜ御社がやるのかが伝わりません。

審査項目ごとの書き方は新事業進出・ものづくり補助金の審査項目と加点で取り上げています。

申請の流れは、資料で先につかめます。

過去の補助金の利用で減点される場合

以前にものづくり補助金や新事業進出補助金を使った会社は、3年以内の利用、事業化が進んでいないこと、賃上げの要件や加点の約束を守れなかったことで減点されます。計画の中身とは別に点が引かれるので、出し直しの前に確かめます。

減点の理由 当てはまる会社
複数回の利用 締切から過去3年に、ものづくり補助金か新事業進出補助金の交付決定を1回受けている
事業化が進んでいない 以前の補助事業の事業化の段階が、第3段階(1つ以上販売した)以下にとどまっている
補助の要件の未達 交付決定を受けた補助事業で、賃上げ要件や事業場内最賃水準要件を達成できなかった
加点の約束の未達 賃上げの加点で採択され、達成できなかったと報告してから18か月以内
過剰投資 同じ時期に似たテーマ・設備の申請が集中した

出典:新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.49『3-1. 書面審査(9)減点項目』台帳で見る

以前の補助事業で作った製品がまだ売れていない会社は、事業化の段階を上げてから申請するほうが、減点を受けずに済みます。2回目の申請の条件はものづくり補助金の2回目の申請で取り上げています。

採択された計画は課題と設備をどうつないだ?

採択された計画は、困っている工程と入れる設備と成果の数字が1本の線でつながっています。書面審査で点が伸びない計画は、この線のどこかが切れています。

1静岡県の精密板金加工の事業者

3通常枠|島根県の餅の製造業

出し直すときは、御社の計画を「課題」「設備」「成果の数字」の3列に書き出し、空いた欄が無いかを確かめます。

間違えやすい点

間違えやすいのは、不採択の理由の問い合わせ、締切直前の申請、加点の時点の3つです。

  1. 採択・不採択の理由は開示されず、異議申し立ても受け付けられていません。事務局に問い合わせて理由を聞く前提で出し直しの計画を立てないでください。

  2. 電子申請の入力には数時間かかり、締切の直前は申請が集中します。最終日に始めると、書類の添付の誤りに気づいても直す時間がありません。

  3. 加点は申請締切日の時点で条件を満たしている必要があります。締切後に認定を受けても、その回の加点にはなりません。

締切までに間に合う加点は補助金の加点一覧と取得までの日数で確かめられます。

どこで評価が分かれるかは、事業の中身によって変わります。御社の計画でどう書けばよいかは、専門家に無料で相談して確かめられます。

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専門家から見た不採択を避けるポイント

不採択を避けるいちばんの近道は、申請できない条件と書類の点検を締切の1か月前に終え、残りの時間を「新しい事業であること」と「数字の根拠」を書き足すことに使うことです。採択率を見ても、半数以上が不採択になる回が続いていて、要件を満たすだけでは届きません。

以前のものづくり補助金の最新の公表回(23次)の採択率は35.1%で、応募1,275件に対して採択は448件でした。公募回ごとの採択率の推移は次のとおりです。

ものづくり補助金の採択データ

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金の23次の採択率は35.1%でした。採択事例では製造業が77%と最も多く、設備は食品加工・包装が18%の事例で使われています。

採択率の推移

23次35.1%
直近5回の平均34.4%

よく導入された設備

  • 食品加工・包装18%(1,265件)
  • 金属の切削15%(1,057件)
  • 検査・測定14%(1,012件)

採択事例 7,197件採択事例を見る ›

出典(1件)
  1. ものづくり補助金 事務局「採択結果」・中小企業庁「採択結果」(19次〜23次)
採択率は採択数÷応募数で計算しています。業種・設備は、国・省庁などが公開している採択事例7,201件を数えた割合です(1つの事例で複数使うため、合計は100%を超えることがあります)。

採択事例を見ると、品質や技術を課題に挙げた事例が39.2%ありました。採択された計画は、課題を1つに絞り、その課題を新しい製品や設備でどう解くかを順に書いています。

出し直しで採択に近づきやすい会社

書類の不備や、売上の根拠の書き不足で不採択になった会社です。不採択の理由は開示されませんが、審査項目ごとに自分の計画の該当箇所に印を付けると、空白の項目が見つかります。そこに数字と根拠を足せば、同じ事業でも評価は変わります。

出し直す前に計画を見直したい会社

計画の中心が古い設備の入れ替えになっている会社です。新しい製品・サービスを開発する事業に組み直すか、人手不足を補う設備の導入が目的なら省力化投資補助金のような別の補助金を検討します。

採択された会社の課題と設備の傾向は採択事例のデータから業種別に探せます。

よくある質問

不採択の原因について、相談でよく聞かれる問いと答えです。

不採択の理由は教えてもらえますか?

教えてもらえません。結果の理由の開示と異議申し立ては受け付けないと公募要領に書かれています。

不採択になったら、次の回に出し直せますか?

出し直せます。不採択の会社は、事業計画を見直したうえで再度申請できます。不採択は交付決定ではないので、利用回数の減点にも数えられません。

同じ計画をそのまま出し直してもいいですか?

出せますが、前回と同じ評価になる可能性が高いです。審査項目ごとに根拠の足りない箇所を書き足してから出します。

採択されたあとに補助金が出ないこともありますか?

あります。採択は交付の候補に選ばれた段階で、交付申請、交付決定、実績報告、確定検査を経て金額が決まります。対象外の経費や手続きの遅れがあると減額されます。

ほかの「よくある質問」を見る

ほかの質問も見るものづくり・新事業進出補助金のよくある質問
出典(2件)
  1. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.38『2-2.(3)審査結果の通知・公表』
  2. 新事業進出・ものづくり補助金 第1回 公募要領 p.44『3-1. 書面審査』

公募の受付状況

新事業進出・ものづくり補助金

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公募要領の台帳より(2026年10月30日確認)

よく採択されているテーマ

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ものづくり補助金では「設備導入」が24%で一番多く、次が「新事業・研究開発」(17%)です。

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「設備導入」で採択された計画名の例

  • ウォーターPPP対応の下水道管理・運営サービス向け設備の導入
  • 匠の技の技術承継と自動化による生産性向上を実現する
  • 最新ベンダー導入によるボイラー向け大型特殊煙道の製品化事業

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VOICE

この補助金を使った人の声

出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工

中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。

まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。

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