デジタル化・AI導入補助金2026【複数者連携デジタル化・AI導入枠】補助率・対象経費・申請の要件

デジタル化・AI導入補助金(旧IT導入補助金)

複数者連携デジタル化・AI導入枠は、他の4枠と根本的に性質が異なります。個社単位で申請する枠ではなく、サプライチェーンや商業集積地に属する複数の中小企業・小規模事業者がコンソーシアムを組んで連携申請する枠です。

補助率は通常枠より引き上げられており、コーディネート費や外部専門家への謝金など、個社申請では対象にならない経費も含まれます。この記事では、対象者・補助率・対象経費の構造を公式資料に基づいて解説します。

デジタル化・AI導入補助金2026とは?

デジタル化・AI導入補助金は、小規模事業者持続化補助金ものづくり補助金新事業進出補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3〜4回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。

デジタル化・AI導入補助金、2026年3月30日に申請受付開始 | ツギノジダイ

デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者・個人事業主が業務効率化・生産性向上のためにITツールやAIシステムを導入する際の費用を国が補助する制度です。2026年より従来の「IT導入補助金」から名称が変更され、生成AI対応ツールへの補助が明確化されました。

詳しくはこちら:【2026年最新】デジタル化・AI導入補助金の新枠・対象・採択ポイントを徹底解説

複数者連携デジタル化・AI導入枠とは?

複数者連携デジタル化・AI導入枠は、商店街・サプライチェーンなどに属する複数の中小企業・小規模事業者が連携してITツールを導入する取り組みを支援する枠です。

申請主体は商工会議所・商店街振興組合・まちづくり会社・コンソーシアムなどの団体で、個社が単独で申請することはできません。補助率はインボイス対応類型と同水準で設定されており、個社申請では対象にならないコーディネート費・専門家謝金・消費動向分析経費も補助対象に含まれます。地域や業界全体でデジタル化を面的に進めたい場合に活用する枠です。

補助対象者

この枠の申請主体(代表申請者)になれるのは以下の団体です。

  • 商工団体等(商店街振興組合・商工会議所・商工会・事業協同組合など)
  • まちづくり会社、観光地域づくり法人(DMO)など、地域の商業活性化・観光振興等の担い手
  • 複数の中小企業・小規模事業者等により形成されるコンソーシアム

ITツールを実際に導入する個社(グループ構成員)は中小企業・小規模事業者が対象で、上記の団体が取りまとめ役として代表申請する形式です。個社単独での申請はできません。

出典:中小企業デジタル化・AI導入支援事業「複数者連携デジタル化・AI導入枠」公式ページ 

補助率と補助額

経費の種類によって補助率・補助上限が異なります。「基盤導入経費」「消費動向等分析経費」「その他経費」の3区分で構成されています。

経費区分 補助率 補助上限
基盤導入経費(ソフト)50万円以下/構成員 3/4(小規模事業者4/5) 50万円×構成員数、合計3,000万円上限
基盤導入経費(ソフト)50万円超/構成員 2/3 350万円×構成員数、合計3,000万円上限
基盤導入経費(PC・タブレット等) 1/2 10万円/構成員
基盤導入経費(レジ・券売機等) 1/2 20万円/構成員
消費動向等分析経費 2/3 50万円/構成員(グループ全体上限)
その他経費(コーディネート費・専門家謝金) 2/3 基盤導入+消費動向分析の合計×10%×2/3、もしくは200万円の小さい方

出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」令和8年4月 / 複数者連携デジタル化・AI導入枠公式ページ

基盤導入経費の補助率は、インボイス対応類型と同じ段階構造になっています。構成員数が多いほど合計補助額が大きくなる仕組みです。


対象経費の内容

基盤導入経費:会計・受発注・決済の機能を持つソフトウェアとオプション・役務、およびそれらの使用に資するハードウェア。インボイス対応類型の対象経費と同様の内容です。

消費動向等分析経費:異業種間の連携や地域の人流分析・商取引のデジタル化に資するソフトウェア・ハードウェア。AIカメラ・ビーコン・POSデータ分析システムなどが具体的な例として挙げられています。個社申請の枠では認められない経費です。

その他経費:参画事業者のとりまとめに係る事務費、外部専門家への謝金。補助額上限は「基盤導入経費と消費動向等分析経費の合計×10%×2/3」または200万円の小さい方です。コンソーシアム運営コストを補助金でまかなえる点は、この枠固有の強みです。

公式が示している活用イメージは以下の3パターンです。

  • 地域にAIカメラ+個店にPOSデータ分析システム:来街者の属性・回遊データと店舗の購買データを組み合わせて商品構成を最適化
  • 地域にビーコン+個店にAIカメラ:ターゲット層への効果的な情報発信
  • 地域に電子地域通貨+個店に分析アプリ:地域内消費の循環促進

いずれも、個社単独では実現しにくい「面的なデジタル化」を想定した取り組みです。

デジタル化・AI導入補助金 採択率

中小企業庁の公表資料をもとに、枠別の採択率をまとめました。

申請枠 2024年 申請数 2024年 採択数 2024年 採択率 2025年 採択率
通常枠 23,672件 8,936件 約37.8% 約65.8%
インボイス枠(対応類型) 56,029件 25,900件 約46.2% 約72.1%
セキュリティ対策推進枠 730件 360件 約49.3% 約85.3%
複数社連携枠 8件 6件 約75.0% 約57.1%

(出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」令和8年4月)

通常枠の採択率は2024年の37.8%から2025年の65.8%へ大幅に上昇しています。インボイス対応類型も2025年は72.1%と高水準です。一方、セキュリティ対策推進枠は申請件数そのものが少なく、競争率の目安が読みにくい状況です。採択率が高まっているとはいえ、申請内容の質(事業計画の整合性・ツール選定の妥当性)は引き続き審査されます。特に通常枠は申請件数が多く、計画書の完成度が採否を分けるケースがあります。

申請の流れと注意点

この枠は他の4枠と申請フローが異なります。個社申請と同じ感覚で進めると手続きで詰まる可能性があるため、以下の点を事前に確認してください。

① 申請主体はコンソーシアム(代表者が申請)

個社が直接申請するのではなく、商工団体やコンソーシアムの代表者が申請します。グループ構成員の取りまとめや合意形成が先行して必要になるため、申請準備の期間が他の枠より長くなります。

② 申請ポータルが異なる

複数者連携デジタル化・AI導入枠の交付申請は、通常枠・インボイス枠・セキュリティ枠とは別の申請ポータルを使用します。公募要領「3.交付申請方法」の手順に従って進める必要があります。

③ 交付決定後の手続きも異なる

申請フローだけでなく、交付決定後の手続きも他の枠と異なります。実績報告・効果報告の方法や期限が別途定められているため、事務局への事前確認が不可欠です。

④ 構成員数の下限は確認が必要

他の資料では「10者以上の連携」という記述も見られますが、2026年度の公募要領で最新の構成員数要件を確認してください。要件は変更になる場合があります。

よくある質問

Q1. 商工会・商工会議所の会員でなくても参加できますか?

コンソーシアム形成の要件を満たせば、商工会・商工会議所の会員でなくても構成員として参加できます。ただし、代表申請者になれる主体が限定されているため、コンソーシアムの組成方法はIT導入支援事業者または事務局に相談してください。

Q2. 個社として参加する場合、自社で準備することは何ですか?

グループ構成員として参加する場合も、GビズIDの取得とSECURITY ACTION宣言(★一つ星以上)は個社ごとに必要です。代表申請者がとりまとめますが、各社の事前準備が遅れると申請全体のスケジュールに影響します。

Q3. 通常枠と同時に申請できますか?

公募要領での確認が必要ですが、複数者連携枠は他の枠とは独立した申請体系のため、同一事業者が通常枠と重複して同一経費を申請することはできません。IT導入支援事業者または事務局に確認してください。

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参考・引用資料

本記事は以下の公式資料をもとに作成しています。


免責事項

本記事について

本記事は、中小企業庁・独立行政法人中小企業基盤整備機構・デジタル庁等が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択や補助金受給を保証・推奨するものではありません。

制度変更について

デジタル化・AI導入関連補助金は、公募回ごとに補助率・補助上限額・対象経費・申請要件・スケジュール等が変更される場合があります。制度内容は予告なく変更される可能性があるため、申請前に必ず最新の公募要領・公式サイトをご確認ください。

申請の際は必ずご確認ください

  • デジタル化・AI導入補助金公式サイトに掲載されている最新公募要領
  • AIツール・ITツールの補助対象可否
  • GビズIDプライムアカウントの取得状況
  • 認定支援機関・IT導入支援事業者等への相談

著作権

本記事の文章・構成の著作権は leon-strategy.com に帰属します。引用・転載の際は出典を明記してください。

本記事の情報は2026年5月時点のものです。補助率・対象サービス・SECURITY ACTIONの手続きは変更になる場合があります。申請前に必ず最新の公募要領およびIPA公式サイトをご確認ください。 出典:中小企業庁「デジタル化・AI導入補助金2026の概要」令和8年4月 / セキュリティ対策推進枠公式ページ https://it-shien.smrj.go.jp/applicant/subsidy/security/ / IPA「SECURITY ACTION」 https://www.ipa.go.jp/security/security-action/

PROFILE

神谷 恒一
神谷 恒一
中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。

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