デジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型|補助率と対象機器
この記事の要点
デジタル化・AI導入補助金のインボイス対応類型は、5つの枠の中で補助率が最も高く、会計・受発注・決済のツール導入に使えます。公募要領をもとに、対象のツールと補助率の考え方、申請で気をつけることを整理しました。
この記事の目次
インボイス対応類型は、会計・受発注・決済のソフトを入れる費用に、補助額の境目の額までは高い補助率、それを超える部分は低い補助率をかけて補助する枠で、小規模事業者は境目までの率がさらに上がります。
上限いっぱいまで申請するには2つ以上の機能を持つソフトが必要で、パソコンやPOSレジはソフトと一緒に入れる場合だけ対象です。
インボイス制度に合わせて会計ソフトやレジを入れ替えるときに、いくら補助されるのか、何を一緒に申請できるのかを知りたい方に向けた記事です。
補助率が2段階になる計算のしかた、機能の数による上限の違い、ハードウェアの条件、インボイス未登録の会社の加点、通常枠との併願の扱いを、インボイス対応類型の公募要領で整理します。5つの枠の全体像はデジタル化・AI導入補助金の5つの枠で取り上げています。
インボイス対応類型とは?
インボイス対応類型は、インボイス制度に合わせて会計・受発注・決済のソフトや、PC・タブレット・レジなどの機器を入れる会社のための申請類型です。インボイス枠の中の1つで、取引先にアカウントを渡す電子取引類型とは申請する人も対象の経費も違います。電子取引類型のしくみは電子取引類型の記事で取り上げています。
御社がこの補助金の対象になるかは、会社のURLを入れるだけでAIが確かめます。
補助率が2段階に分かれる計算のしかた
インボイス対応類型の補助額は、境目の額までの部分とそれを超える部分に分けて、それぞれ別の補助率をかけて足した額になります。補助率は「補助額50万円以下の部分は3/4以内(小規模事業者は4/5以内)、50万円超の部分は2/3以内」です1。
計算は3つの手順で進めます。まず見積からソフト・オプション・役務の対象経費を出し、次に補助額が境目の額に届くまでの部分を高い率で計算し、最後に残りの経費に低い率をかけて足します。
小規模事業者かどうかで境目までの部分の率が変わるため、従業員の数え方を先に確かめます。常時使用する従業員に役員や事業主本人は含まれないので、家族経営の店の多くは小規模事業者に当たります。率のかけ方の基本は補助率と自己負担の計算で取り上げています。
会計・受発注・決済の機能の数で上限が変わる
ソフトが会計・受発注・決済のうち1つの機能しか持たない場合は低い上限で止まり、2つ以上の機能を持つ場合に表の上限まで申請できます。1機能の扱いは「「会計」「受発注」「決済」の機能を1つのみ有する場合、補助上限額は50万円」です。
| 経費 | 補助の上限(今の公募回) | 補助率 |
|---|---|---|
| ソフトウェア購入費・導入関連費 | ソフトウェア購入費・導入関連費:下限なし~350万円(1機能のみは上限50万円、2機能以上は350万円) | 境目の額までの部分と超える部分で異なる |
| パソコン・タブレット等 | PC・タブレット等:下限なし~10万円、補助率1/2以内 | |
| レジ・券売機 | レジ・券売機:下限なし~20万円、補助率1/2以内 | |
| 役務(導入設定・保守など) | 大分類Ⅲ 役務(導入コンサル・導入設定・保守サポート等)。補助対象経費は200万円が上限 | |
出典:デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版) p.15『2-3 補助対象経費、補助率及び補助額』台帳で見る
たとえば会計ソフトだけなら1機能、会計ソフトと請求書の発行・入金管理がつながる製品なら2機能として扱われます。どの機能で登録されているかはツールごとに違うので、支援事業者に登録内容の画面を見せてもらいます。登録内容の確かめ方はIT導入支援事業者の選び方で取り上げています。
パソコンやレジを一緒に入れるときの条件
パソコン・タブレット・複合機とPOSレジ・券売機は、補助の対象になるソフトと一緒に買う場合に限って申請でき、機器だけの申請はできません。対象の範囲は「大分類Ⅳ ハードウェア(PC・タブレット・プリンター・スキャナー・複合機、POSレジ・モバイルPOSレジ・券売機)。ソフトウェアの導入とあわせて購入する場合に限る」です。
事務局のよくある質問は、機器だけの申請ができない理由を、生産性向上とインボイス対応を見据えたソフトの導入を支援する補助金だからと説明しています(デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型) よくあるご質問 p.1『全般/補助対象(No.8)』)。付属品は、ソフトを使い続けるのに要る最低限の機器一式までです。
実績報告では、機器の納品書と設置した状態の写真、ラベルを貼った写真を全台分出します。報告で出す書類の全体はデジタル化・AI導入補助金の申請手順で取り上げています。
インボイス未登録の会社が取れる加点
交付申請の日にまだ適格請求書発行事業者の登録をしていない会社は、実績報告の日までに登録すると約束することで加点を受けられます。免税事業者が、ツールの導入を機に登録へ進む場合を想定した加点です。
公募要領は条件を「交付申請日時点でインボイス未登録、かつ実績報告日までに登録し登録通知書を提出することを約束(未登録のままなら原則交付決定取消し)」と書いています2。すでに登録を済ませている会社がこの加点を選ぶと、交付決定の取消しにつながります。
ほかに、スマートレジを選ぶことと、決済機能を持つクラウド製品を選ぶことも、インボイス対応類型だけの加点です。加点の全体は補助金の加点一覧で取り上げています。
通常枠と同じ年に申請すると減点される
インボイス対応類型と通常枠は別々に申請できますが、同じ年に両方へ申請すると減点され、同じ機能のツールを両方に入れるとさらに減点されます。
- 通常枠との併願:2026年に通常枠で申請中又は交付決定を受けた事業者は減点(同一機能のツールは更に減点)
- 前のインボイス枠の採択者:IT導入補助金2022・2023のデジタル化基盤導入枠(デジタル化基盤導入類型、商流一括インボイス対応類型)、IT導入補助金2024・2025のインボイス枠で交付決定を受けた事業者は対象外
- 申請できる回数:インボイス枠は1法人・1個人事業主当たり1回のみ。同時に他枠への交付申請は可能
過去のデジタル化基盤導入枠やインボイス枠で交付決定を受けた会社は、そもそも申請の対象外です3。業務全般のソフトを入れたい場合は、通常枠の補助額と対象ツールと比べて、どちらか1つに絞ります。
会計やレジを入れ替えた採択事例は?
インボイス対応類型ができる前の類型でも、会計・決済・請求のソフトを入れた事例が採択されています。今の公募で同じ組み合わせを申請するなら、インボイス対応類型の対象になる機能です。
- 会計の1機能:沖縄県の建設機械レンタル会社(従業員25名)は、会計ソフトで複数のExcelに分かれていたデータを一つにまとめ、体感で月3日ほどの作業が減りました(建設機械レンタル会社の事例)。
- 決済とレジ:和歌山県の弁当店(従業員41名)は、セルフレジを入れて会計ミスが約9割減り、おすすめメニューの自動表示で客単価が約2割上がりました(弁当店の事例)。
- 請求と入金の管理:山口県の駅前商業施設の運営会社(従業員126名)は、請求書の発行をシステムに移し、請求業務の郵送コストが約6割減りました(商業施設の運営会社の事例)。
弁当店のようにレジと会計を一緒に替える場合は2機能以上、建設機械レンタル会社のように会計だけなら1機能として上限が決まります。どの機能の製品かは、IT導入支援事業者の登録内容で確かめます。
間違えやすい点
間違えやすいのは、補助率のかけ方、加点の選び方、機器の数え方の3つです。
経費の全額に高い補助率をかけて補助額を見積もると、境目の額を超える部分の分だけ実際の補助額より多く見込んでしまいます。資金計画は、2つの率に分けて計算した額で立てます。
インボイス未登録の加点は、交付申請の日に登録していないことが条件です。登録済みの会社がこの加点を選ぶと、交付決定の取消しの対象になります。
パソコンやレジは、実績報告で全台の設置写真とラベルの写真が要ります。複数の店舗に置く場合は、納品の日に店舗ごとに写真を撮っておきます。
機器の写真や支払いの証拠が欠けて補助額が減る例は採択後に補助金が減額になるケースにまとめています。
どこで評価が分かれるかは、事業の中身によって変わります。御社の計画でどう書けばよいかは、専門家に無料で相談して確かめられます。
専門家から見たインボイス対応類型のポイント
インボイス対応類型は、ソフトだけの入れ替えなら1機能で十分な会社が多く、レジや端末まで替えるかどうかで申請の組み立てが変わります。採択事例では、クラウド利用料を使った事例が10.8%です。
2機能以上のソフトを選ぶとよい会社
飲食店や小売店で、レジの売上を会計に自動で流し、請求と入金の管理も1つにまとめたい会社です。決済と会計の両方を持つ製品なら上限が上がり、レジ本体もソフトと一緒に申請できます。
採択事例でも宿泊・飲食サービス業の事例が8.1%あり、レジと会計の連携は現場の締め作業を減らす使い方として選ばれています。
1機能のソフトだけで足りる会社
請求書の発行と記帳だけを整えたい個人事業主や小さな会社です。会計ソフト1本とその設定なら費用が小さく収まりやすく、補助額の前半にかかる高い補助率だけで計算できることが多くなります。
業種やツールごとの採択事例は採択事例のデータから探せます。
よくある質問
インボイス対応類型について、相談でよく聞かれる問いと答えです。
電子取引類型と同時に申請できますか?
できません。インボイス対応類型と電子取引類型は重複して申請できない決まりです。通常枠とセキュリティ対策推進枠にはそれぞれ申請できます。
すでに使っている会計ソフトの利用料も対象ですか?
交付決定より前に契約していた分は対象外です。交付決定のあとに新しく契約するツールの費用だけが補助されます。
パソコンだけ、レジだけで申請できますか?
できません。会計・受発注・決済のいずれかの機能を持つソフトと一緒に入れる場合だけ、機器も対象になります。
インボイス登録の加点を受けたのに登録が間に合わなかったら?
実績報告の日までに登録できなかった場合は、原則として交付決定が取り消され、補助金を受け取れません。税務署の登録にかかる期間を見込んで申請します。
ほかの質問はよくある質問にまとめています。
出典(3件)
- デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版) p.15『2-3【補足3】』
- デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版) p.22『3-3(2)① 加点項目について』
- デジタル化・AI導入補助金2026 インボイス枠(インボイス対応類型)公募要領(改訂版) p.11『2-1-2 申請の対象外となる事業者(4)』
いま申請できる回
デジタル化・AI導入補助金
- 公募回
- 6次締切分
- 締切
- 2026年10月30日(金)17:00
公募要領の台帳より(2026年10月20日確認)
この補助金の採択事例
一覧へ同じ取り組みで、実際に採択された会社です。
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合同会社 石垣焼窯元✓ 経産省などの認定・選定
成果売上が自動で集計され、自動釣銭機との連動で現金の計算・集計作業がゼロになった。
測量の点群処理を内製化し、外注頼みから抜け出す
株式会社橋本店
成果年間で数千万円かかっていた外注費を減らし、2〜3日かかっていた測量が半日〜1日に縮まった。
見積と原価の管理を一つのシステムにまとめ、現場とオフィスをつなぐ
株式会社ヤマケンマシナリー
成果社内の情報が一つにまとまり、部署間の問い合わせや誤りが減った。
VOICE
この補助金を使った人の声
和歌山県の弁当店・仕出し弁当店従業員41名従業員が『残されそうですね』と感じた副菜は入れないようにして、副菜づくりにも手間を惜しまないようにしました。
秋田県の住宅の設計・リフォーム会社従業員5名創業時には商工会で創業支援を受けながら、事業計画を練りました。今では懐かしいですが、創業当初は私一人でしたので、2帖ほどの自宅の書斎から事業を始めました。
出典:国・省庁などの公開情報をもとに当社が加工
中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事にある事業者の発言を引用しています。
まだ相談は早いと感じる方は、まず資料で全体をつかんでください。
締切も改訂も見落とさない
- 公募開始条件にあう補助金の公募をいち早く
- 締切前準備が間に合うよう2週間前と3日前
- 改訂変わった点の詳細と御社への影響
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