中小企業向けの支援策である「ものづくり補助金」に新しい申請枠が新設されました。本記事では、第17次以降から公募が開始される「省力化(オーダーメイド)枠」の要件やポイントを解説していきます。
2024年度にものづくり補助金の申請を検討する方の参考になれば幸いです。
目次
ものづくり補助金とは
ものづくり補助金は、中小企業等による生産性向上に資する革新的サービス開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。大手企業ではない中小企業・小規模事業者が対象となり、個人事業主もこの補助金を利用できます。
【最新】ものづくり補助金とは?補助額や申請要件、採択傾向を解説!
ものづくり補助金 省力化枠とは
ものづくり補助金 省力化(オーダーメイド)枠は、人手不足の解消に向けて、専用設備を導入しDX化を推進する事業者が利用することができます。公募要領の説明は以下の通りです。
省力化枠では、補助額は750万円から8000万円(大幅賃上げ特例適用1000万円から1億円)となっており、企業の規模や投資の大きさに応じて調整されることで、多様なニーズに応える柔軟な支援が可能となっている点が特徴です。
ものづくり補助金 省力化枠の活用イメージ
下記は公募に掲載されているものづくり補助金の省力化枠の活用イメージです。あくまで一例になります。
例)熟練技術者が手作業で行っていた組立工程に、システムインテグレータ(SIer )と共同で開発した AI や画像判別技術を用いた自動組立ロボットを導入し、完全自動化・ 24 時間操業を実現。組立工程における生産性が向上するとともに、熟練技術者は付加価値の高い業務に従事することが可能となった。
ものづくり補助金|第17次公募
要は、人手不足解消のため専用設備の導入によるDX化(業務効率化、生産性の向上)を推進する取組みが幅広く対象になると考えて良いでしょう。
ものづくり補助金 業界別活用事例
飲食業
飲食業界では、人手不足が深刻な問題です。この問題に対応するため、多くの店舗が配膳ロボットや清掃ロボットを導入できます。
- 配膳ロボット:食事の配膳を自動化。
- 自動調理機器:一部の調理プロセスを自動化。
- 清掃ロボット:掃除業務の自動化を促進。
- オンライン予約システム:顧客管理と予約処理の効率化。
- キャッシュレス決済システム:支払い処理の迅速化
物流・運輸業
運輸・物流・倉庫業界では、自動搬送ロボットなどの技術が導入され、作業の効率化と精度向上が進んでいます。例えば、自動搬送ロボットを導入した物流センターでは、ピッキング時間の短縮と誤配送の大幅な減少が実現されています。
- 自動搬送ロボット:倉庫内の物品搬送自動化。
- 自動ピッキングシステム:注文の自動ピッキング。
- 自動化フォークリフト:重い物品の自動搬送。
- 在庫管理AIシステム:在庫の自動管理と最適化。
- GPS追跡システム:物流の効率化と追跡。
製造業
中小規模の自動車部品製造業者の場合、組み立てラインにAI搭載のロボットアームを導入したりすることで、組み立ての効率が30%向上し、製品の不良率が5%から2%に減少させるなどの事例があります。
- AI搭載ロボットアーム:組み立てラインの自動化を促進。
- 品質検査AIシステム:製品の品質検査を自動化。
- IoTセンサー:設備の状態監視や遠隔操作を可能に。
- 3Dプリンティング設備:カスタム部品の迅速な製造を支援。
- エネルギー管理システム:効率的なエネルギー使用を実現。
特に技術的なスキルを要する製造業では、適切な技術者や機械オペレーターの不足が問題となっています。
介護業
介護分野は、スタッフの過重労働と高い離職率に直面しています。
- 配膳ロボット:食事配布の自動化。
- 移動支援ロボット:患者の移動を支援。
- 遠隔モニタリングシステム:患者の健康状態をリモートで監視。
- 自動薬剤投与機:正確な薬剤管理と投与。
- 清掃ロボット:施設内清掃の自動化。
- パワースーツ:運搬・日常ケアの負担軽減。
2022年には、介護業界の離職者が新規就労者数を超える「離職超過」が大きな問題として取り沙汰されています。
第17次は省力化枠のみ公募
2023年12月に公開されたものづくり補助金 第17次公募の資料によれば、当該公募回で募集されるのは「省力化枠」のみとなっています。
18次締切では省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠を公募予定となっています。
製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠については、本締切回で募集を行いません。
(18次締切は省力化(オーダーメイド)枠、製品・サービス高付加価値化枠、グローバル枠を公募予定)
17次締切の公募に応募する事業者は、18次締切の公募には応募できませんので、ご注意ください。
ものづくり補助金|第17次公募
また第17次に応募する事業者は、18次締切の公募には応募できないようです。恐らくですが、第17次の採択発表前に18次の締切が予定されているからだと思います。
どちらの公募回で応募すべきかは、自社の事業スケジュールを鑑みてご検討ください。
まとめ:ものづくり補助金 省力化枠
2024年のものづくり補助金は、中小企業の生産性向上と市場での競争力を高めるための重要なステップとなります。新たに導入される「省力化(オーダーメイド)枠」は、補助上限と補助率の面で大幅な強化が図られており、特に大幅賃上げ特例の適用によって、より大きな資金支援が可能になります。
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PROFILE
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兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。
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