ものづくり補助金は2026年度の公募をもって終了します。現在は後継制度として「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」がスタートしています。
2026年度、ものづくり補助金への申請を検討する事業者も多いのではないでしょうか。一方で、申請要件や必要書類、審査ポイントは通常枠と異なる部分も多く、「通常枠と同じ感覚」で申請すると注意が必要です。
この記事では、ものづくり補助金グローバル枠の最新制度について、補助額・対象経費・申請要件・採択のポイントまでわかりやすく解説します。
目次
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金は、小規模事業者持続化補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
ものづくり補助金は、中小企業等の革新的サービス開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資を支援する補助金です。
詳しくはこちら:【最新】ものづくり補助金とは?補助額や申請要件、採択傾向を解説!
ものづくり補助金の申請枠
ものづくり補助金第24次には、革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化を目指す「製品・サービス高付加価値化枠」と、海外事業の実施による国内の生産性向上を目指す「グローバル枠」の2つあります。それぞれの対象や補助率・補助上限、対象経費は以下の通りです。
※1 大幅賃上げ特例を適用する場合、()内の補助金額が上限となります。
※2 最低賃金引上げ特例を適用する場合、中小企業も補助率2/3となります。
※3 以下の定義に該当する小規模事業者・再生事業者は補助率2/3が適用されますが、補助金交付候補者としての採択から交付決定までの間や、交付決定後から補助事業完了後までの間に、以下の定義に該当しなくなった場合は、補助率1/2となります。
ものづくり補助金 グローバル枠
グローバル枠では、海外事業を実施し、国内の生産性を高める取組みに必要な設備・システム投資等を支援します。たとえば、海外市場向けの製品開発や輸出体制の整備、海外展示会への出展、インバウンド需要を取り込むための製品・サービス提供体制整備などが対象になり得ます。
補助上限・補助率
グローバル枠
- 補助上限:3,000万円
- 補助率:中小企業1/2、小規模事業者2/3
- 補助事業実施期間:交付決定日から12か月(ただし採択発表日から14か月後の日まで)
【2026年】製品・サービス高付加価値化枠の解説記事はこちら
ものづくり補助金 基本要件
共通の要件は、以下の基本要件①~③を全て満たす計画を策定することです。また、従業員21名以上いる事業者は④の要件も満たす必要があります。
- 付加価値額の年率平均3%以上の向上
・「営業利益+人件費+減価償却費」で構成される「付加価値額」を、3~5年の事業計画期間で年平均3%以上増加させる必要があります。 - 給与支給総額の年率平均1.5%以上の向上
・役員を除く従業員に対する給与総額が、3~5年の事業計画期間において年平均1.5%以上増加する必要があります。 - 事業場内最低賃金の引き上げ
・申請時点の地域別最低賃金よりも+30円以上の水準で設定することが要件です。 また、補助事業終了後もこの水準を維持する必要があります。 - 従業員が21人以上の企業に対する追加要件
・従業員数が21人以上の企業は、上記に加えて、事業実施地域での雇用維持・拡大に向けた取組内容の記載が必要です。
グローバル枠 追加要件
「グローバル枠」で申請をする場合は、上記の基本要件に加えて、以下のグローバル要件①~④のいずれかに該当し、かつ海外事業に関する実現可能性調査の実施、及び社内に海外事業の専門人材を有すること、又は海外事業に関する外部専門家と連携することが求められます。
①海外への直接投資に関する事業
- 国内に所在する本社を補助事業者とし、補助対象経費の1/2以上が海外支店の補助対象経費となること
- 国内事業所においても、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得すること
- 応募申請時に、海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料を提出すること
②海外市場開拓(輸出)に関する事業
- 国内に補助事業実施場所を有し、製品等の最終販売先の1/2以上が海外顧客となり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
- 応募申請時に、事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書を提出すること
③インバウンド対応に関する事業
- 国内に補助事業実施場所を有し、製品・サービス等の販売先の1/2以上が訪日外国人となり、事業計画期間中の補助事業の売上累計額が補助額を上回る事業計画を有していること
- 応募申請時に、想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書を提出すること
④海外企業と共同で行う事業
- 国内に補助事業実施場所を有し、外国法人と行う共同研究・共同事業開発に伴う設備投資等があり、その成果物の権利の全部又は一部が補助事業者に帰属すること
- 応募申請時に、共同研究契約書又は業務提携契約書(検討案も含む)を提出すること
申請類型
「海外直接投資類型」「海外市場開拓(JAPANブランド)類型」「インバウンド市場開拓類型」「海外事業者との共同事業類型」の4つに大別されていましたが、18次公募からは「各事業要件」という名称に変更され、事業内容に応じた追加書類が必要になります。
グローバル枠 追加書類
グローバル市場開拓枠では、海外事業の種類に応じて追加の書類提出が求められます。
- 海外への直接投資に関する事業
海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成が分かる資料 - 海外市場開拓(輸出)に関する事業
事前のマーケティング調査に基づく、想定顧客が具体的に分かる海外市場調査報告書 - インバウンド対応に関する事業
想定顧客が具体的に分かるインバウンド市場調査報告書 - 海外事業者と共同で行う事業
共同研究契約書又は業務提携契約書(検討中の案を含む)
補助対象経費と注意点
ものづくり補助金の補助対象経費は、大きく11つの項目に分類されます。

2026年の公募に基づく、ものづくり補助金の対象経費の区分一覧は以下の通りです。
- 機械装置・システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 原材料費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 海外旅費
※グローバル市場開拓枠のみ対象 - 通訳・翻訳費
※グローバル市場開拓枠のうち②海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ対象 - 広告宣伝・販売促進費
※グローバル市場開拓枠のうち②海外市場開拓(JAPANブランド)類型のみ対象
補助対象経費の注意点
本補助金では、すべての申請枠に共通して、単価50万円(税抜)以上の機械装置等の設備投資が必須とされています。グローバル枠では、製品・サービス高付加価値化枠と共通の経費に加え、「海外市場開拓(輸出)事業」の場合に限り、旅費や広告費などが追加で補助対象になります。ただし、「機械装置・システム構築費」以外の経費には制限があり、最大で1,000万円(税抜)までしか補助の対象になりません。
対象経費の具体例は【ものづくり補助金 対象経費と具体例を解説】で解説しています。
グローバル枠|活用事例
※グローバル枠は採択率が21.9%と製品・サービス高付加価値化枠(34.8%)より一段低く、単なる輸出では足りず、海外拠点運営や革新的な海外向けサービス展開などハードルが高く設定されています。以下はその要件を満たした事例です。
事例①|伝統工芸業 和櫛の海外向け高付加価値製品開発と欧米EC展開
- 業種・規模: 伝統工芸品製造・従業員12名
- 課題: 国内の和装需要の縮小により売上が低迷。海外での「JAPAN BRAND」への関心の高さに着目したものの、多様な髪質に対応した製品がなく、欧米市場への参入が困難だった。
- 取り組み: 多様な髪質に対応する立体的一体形成し表面加工した和櫛の開発に取り組み、欧米人の髪質にも対応できる素材・形状の研究開発と専用加工機の導入を実施。海外向けECサイトの構築と現地展示会への出展も合わせて行った。
- 活用した主な補助対象経費: 機械装置等費(精密加工機)、開発費(試作品開発)、海外向け広告宣伝費、展示会出展費・旅費
- 結果: 欧米向けECで月次販売数が安定推移。国内売上比率を下げつつ、海外売上比率を新たな柱として確立。補助金額は約2,000万円(補助率2/3)。
事例②|製造業 青果物のプラズマ殺菌装置開発とアジア輸出事業
- 業種・規模: 食品関連機械メーカー・従業員28名
- 課題: アジア各国では農産物の衛生管理基準が厳格化しており、低コストで殺菌できる装置のニーズが高まっていたが、国内向け製品のみで海外仕様への対応ができていなかった。
- 取り組み: 青果物生産地のロスを減らすプラズマ殺菌装置開発事業として、タイ・ベトナム向けの現地電源・衛生基準に対応したプラズマ殺菌装置を開発。現地バイヤーとの商談会参加および現地代理店の開拓も並行して進めた。
- 活用した主な補助対象経費: 機械装置等費(試作・製造設備)、開発費(現地仕様への改良)、海外旅費、通訳・翻訳費
- 結果: タイの農産物加工業者3社と契約締結。現地代理店を通じた継続受注モデルを構築。補助金額は約2,500万円(補助率2/3)。
事例③|IT業 ベトナム医療機関向けクラウド型統合システムの開発・展開
- 業種・規模: 医療系システム開発会社・従業員42名
- 課題: 国内の医療DX市場は競合が多く、成長に限界を感じていた。ベトナムでは医療IT化が急速に進んでおり、現地病院から問い合わせが来ていたが、対応するシステム・インフラがなかった。
- 取り組み: ベトナムの医療機関における横断的なクラウド型統合システムの開発として、電子カルテ・予約管理・在庫管理を一元化したSaaSを開発。ベトナム語対応UIと現地の医療規制への適合も行い、現地法人設立と合わせて展開した。
- 活用した主な補助対象経費: 機械装置等費(サーバー・開発環境)、開発費(現地言語・規制対応)、海外旅費、専門家謝金(現地法規専門家)
- 結果: ホーチミン市内の病院5施設に導入。月額ライセンス型で継続収益を確保し、国内外の収益比率の多様化に成功。補助金額は約2,800万円(補助率2/3)。
上記の事例は弊社の申請サポートにより実際に採択された事例をベースにご紹介しています。申請をご検討の方はぜひ一度ご相談ください。
事例から見える「採択される計画書」の共通点
事例を通じて見えてくる共通点があります。それは、「設備を入れたい」ではなく「課題を解決する手段として設備が必要」という論理構造になっている。 「機械設備が古くなったから更新したい」という理由では補助対象にならない。事業計画書は技術面・事業化面・政策面の3つの審査軸から評価されるため、どの軸でも説得力のある記述が求められます。
自社の業種や規模に近い採択事例は、ものづくり補助金 公式サイトの成果事例検索から6,000件以上の事例を検索できます。申請前に必ず確認することをおすすめします。
ものづくり補助金 直近採択率
ものづくり補助金は申請したら必ず活用できる補助金ではなく、申請後に事務局から採択されなければ活用することはできません。以下では、過去のものづくり補助金の採択率を確認していきましょう。
かつては採択率50%前後の回もありましたが、直近では30〜35%程度まで低下しており、「とりあえず申請すれば通る補助金」ではなくなっています。実際、直近の第19次〜第21次公募では、高付加価値化枠の採択率は約32〜35%前後で推移しています。
詳しくはこちら:【2026年最新】ものづくり補助金23次までの採択率を分析|最近の不採択傾向とは?
ものづくり補助金 審査観点
ものづくり補助金の審査項目について見ていきましょう。すべての審査観点を網羅する必要はありませんが、バランスの良い事業計画書を作成しなければ採択はできません。
(1)技術面
- 新商品や新サービスは革新的な取り組みか
- 課題が明確で、課題を解決させる事業であるか
- 事業に取り組めるだけのリソースがあるか
(2)事業化面
- 人材・財務状況は十分か
- 新事業のマーケティングができているか
- 無理なく事業を行えるスケジュールか
- コストパフォーマンスは高いか
(3)政策面
- 地域貢献できる事業か
- ニッチな分野で高いシェアを確保できるか
- 難しい課題について各連携帯で協力し解決できるか
- 新しいデジタル技術やビジネスモデルを活用しているか
- コロナに対応した事業か
実際、近年は採択率も以前より低下しており、「とりあえず申請」では通りにくくなっています。そのため、最近の審査傾向や採択されやすい事業計画の特徴を理解したうえで準備することが重要です。
ものづくり補助金の審査観点や最近の採択傾向については、以下の記事で詳しく解説しています。
詳しくはこちら:【2026年最新】ものづくり補助金で採択される会社は何が違う?審査観点を解説
第17次以降は高等審査も加わる
採択率を上げる5つの実務ポイント
申請検討中・希望の方
補助金申請は膨大な時間と労力をかけても、採択されなければ一円も入ってきません。だからこそ、採択の可能性を最大限に高めるためには、“経験ある専門家の力を借りる”ことが最も合理的な選択肢です。
情報収集中・申請検討中の方へ
補助金ガイドブックを無料でダウンロードしてください!「持続化補助金で何ができるか・自社が使えるか」を5分で把握できるPDF資料です。 申請する・しないに関わらず、まず一読することをおすすめします。
✅ 申請枠の選び方チェックシート付き
✅ 採択された事業計画書の構成例付き
✅ 対象経費の判断フロー付き
これから申請希望の方へ
「この計画で採択できるか不安」「どの枠で申請すべきか迷っている」という段階でも構いません。 100社超の申請支援実績を持つ中小企業診断士がご対応します。
✅ 採択可能性の初期診断
✅ 計画書の方向性チェック
✅ 最適な申請枠・特例の提案
30分無料相談(完全無料・営業なし)はこちら。「まず話だけ聞いてみたい」という補助金申請が初めての方にも、わかりやすく丁寧にご説明いたします。
参考・引用資料
本記事は以下の公式資料をもとに作成しています。
免責事項・ご注意
本記事について
本記事は、中小企業庁およびものづくり補助金事務局が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択を保証・推奨するものではありません。
制度変更について
ものづくり補助金は、公募回ごとに補助率・補助上限額・対象要件・スケジュール等が変更される場合があります。また、2026年度以降は「新事業進出・ものづくり補助金」として制度再編が行われる可能性もあります。制度内容は予告なく変更される場合があるため、申請前に必ず最新の公募要領をご確認ください。
申請の際は必ずご確認ください
- ものづくり補助金総合サイトに掲載されている最新公募要領
- GビズIDプライムアカウントの取得状況
- 認定支援機関または中小企業診断士等の専門家への相談
損害免責
本記事の情報に基づいて生じた損害・損失・不利益について、当社は一切の責任を負いかねます。
著作権
本記事の文章・構成の著作権は leon-strategy.com に帰属します。引用・転載の際は出典を明記してください。
PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「Googleや審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。






