今回はものづくり補助金の対象経費とその具体的な活用例について解説します。
目次
ものづくり補助金とは?
ものづくり補助金は中小企業や小規模事業者などを対象とし、ものづくりだけでなく商業、サービスの革新的な新商品開発、生産プロセスの向上・改善などを行う事業を支援するためのものです。つまり、設備投資に加えて、システム開発なども対象経費に含まれます。
ものづくり補助金 補助対象経費とは
「補助対象経費」とは、事業再構築補助金において支援の対象となる経費を指します。
しかし、補助事業内のすべてが対象ではなく、あらかじめ定められた11の区分のいずれかに該当することが必要です。今回は、それぞれの経費について具体的な内容を説明します。
①対象補助経費となる要件
補助対象経費とは、補助事業期間中の補助事業関連費用の支出に限られ、原則支出が確認の出来る銀行振り込みやクレジットカードの引き落としによって支払われたものが対象です。つまり、下記の要件を満たす経費が、対象補助経費となります。
- 使用目的が補助事業の遂行に必要なものと明確に特定できる経費
- 交付決定日以降に発生し対象期間中に支払が完了した経費
- 証拠資料等によって支払金額が確認できる経費
②対象補助経費となる10区分の経費
補助対象経費は、以下のように10区分に分けられ、いずれかに該当をする必要があります。
- 機械装置、システム構築費
- 技術導入費
- 専門家経費
- 運搬費
- クラウドサービス利用費
- 外注費
- 知的財産権等関連経費
- 広告宣伝費、販売促進費
- 感染防止対策費
補助対象経費となる具体例10項目
ものづくり補助金の対象経費は10項目に分かれています。代表的な例を挙げると「機械装置の導入」や新規システムの構築・開発により生産性を上げる方法があります。それ以外にも様々な活用方法があります。本日はひとつずつ見ていきましょう。
1.機械装置・システム構築費
ものづくり補助金に応募する企業のほとんどが「機械装置の購入」「システム導入」を目的としています。補助事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具、電子計算機、デジタル複合機等)の購入、製作、借用に概要する経費が対象となります。
システム構築費に関しては、補助事業のために使用される専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用に要する経費が対象となります。また、両内容同時に進めていく場合も対象です。よく問題に上がるのが、自社で機械装置を製作する場合や中古設備を購入する場合です。こちらも対象にはなりますが、中古品の場合は3社以上の相見積もりが必要になるなどの条件も存在します。機械装置・システム構築費以外の経費の補助上限額は500万円です。
2.技術導入費
知的財産権の導入に要する経費です。補助対象経費の3分の1が上限となり、技術導入費を支出した相手方に、「専門家経費」「外注費」を支払うことはできないので注意が必要です。
3.専門家経費
事業を行うために依頼した専⾨家に⽀払われる経費が補助されます。謝金単価や旅費については金額ルールがあり、大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師の場合は1日5万円以下。大学准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネーターは1日4万円以下。価格の妥当性を示すため複数の見積書を取り、上限額が1日5万円となっています。旅費のルールとしては、全国中小企業団体中央会が定める「旅費支給に関する基準」に従う必要があります。対象経費総額の2分の1が補助対象となります。
4.運搬費
運搬料、宅配、郵送料等に関する経費です。
5.クラウドサービス利用費
クラウドサービス利用に関する経費が対象となります。補助対象期間中のクラウドサービス利用に関係する、月額利用料、ルータ使用料、プロバイダ契約料、通信料は補助対象となりますが、ホームページ制作費、サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費や、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの本体費用は対象外です。
6.原材料費
試作品の開発に必要な原材料や資材の購⼊経費が対象となります。基本的に補助事業終了までに使い切るのが原則となり、購入は必要最小限のみです。補助事業終了時点で使用できていないものは補助対象外となります。受払い簿での管理が必須であり、原材料の受払いを明確にしておきます。加工に失敗したものは保管することが決まりとなっており、保管が困難な物については写真撮影による代用も可能です。
7.外注費
新製品・サービスの開発に必要な加⼯やデザイン、検査等の⼀部を外注(請負、委託等)する場合の経費が対象です。しかし、外注先が機械装置を購入する場合はや、外注先との書面契約が必要となります。外注費を計上した相手方に「技術導入費・専門家経費」を支払うことはできないなど、細かなルールがありますので注意が必要です。対象経費総額の2分の1が補助対象となります。
8.知的財産権等関連経費
特許権等の知的財産権等の取得に必要な弁理⼠の⼿続代⾏費⽤等、特許出願に係る費用が補助対象になります。補助対象経費総額の3分の1が上限です。
9.広告宣伝・販売促進費
コロナ対応の特別枠でのみ使用できる経費になります。補助事業で開発する製品・サービスにかかる広告経費です。主な内容としてはパンフレットの作成や媒体への掲載、展示会出展、セミナー開催などです。補助事業期間内に広告が使用、掲載され、展示会が開催されることが条件です。また、出張旅費、交際費は対象外となります。
10.感染防止対策費
補助事業実施のために必要な業種別ガイドラインに基づいた感染拡大予防のための経費です。上限は50万円で消毒液、マスク、フェースシールドといった物が対象となります。
以上がものづくり補助金の対象経費です。
この中でも、「機械装置・システム構築費」で申請する企業は多いですが、あまり活用されていない対象経費も存在します。どの項目で申請を掛けるか決定する前に、どの項目でよく申請され、事例が多く存在しているかを把握しておくと参考にしやすいと思います。
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兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。
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