持続化補助金の対象となる「小規模事業者」に該当するかどうかは、「常時使用する従業員」の数で決まりますが、従業員数のカウントは、不採択の典型的な原因のひとつです。
この記事では、定義・業種別要件・除外ケース・よくあるNGを、中小企業診断士の視点で整理します。
持続化補助金は、ものづくり補助金・新事業進出補助金・デジタル化・AI導入補助金と並び、通年で公募が行われている補助金です。年3〜4回の公募サイクルで実施されており、申請のチャンスが複数あります。
補助上限額は最大250万円(インボイス・賃上げ等の特例要件を満たした場合)、補助率は2/3〜最大3/4。小規模事業者にとって、自己負担を抑えて新しい挑戦ができる大きなチャンスです。令和8年度の予算規模は総額3,400億円にも上り、毎年約3万件以上の応募があります。
詳しくはこちら:【2026年】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!
持続化補助金の申請枠
2026年度の持続化補助金の申請枠は以下の通りです。※クリックで解説記事へ
詳しくはこちら:持続化補助金の申請枠(通常枠・特別枠)を徹底比較
「常時使用する従業員」の定義は?
「常時使用する従業員」とは、期間の定めなく雇用されている通常の労働者を指します。これは中小企業基本法および持続化補助金の公募要領で定められた基準で、正社員に限らず、フルタイムで継続的に働く従業員が該当します。
ただし、後述するように一部の従業員はカウント対象から除外されます。また、代表者(社長)本人も従業員数には含めません。
業種別の従業員数要件
小規模事業者に該当する上限人数は、業種によって異なります。いずれも「常時使用する従業員数」で判断します。
- 商業・サービス業(宿泊業・娯楽業を除く):5人以下
- サービス業のうち宿泊業・娯楽業:20人以下
- 製造業・その他:20人以下
※いずれも「常時使用する従業員数」で判断
たとえば商業を営む事業者なら、代表者を除く従業員が5人以下であれば小規模事業者に該当します。製造業なら、代表者を除く従業員が20人以下であれば該当します。
業種は「事業の実態」で判断される
注意したいのは、業種区分が看板や屋号ではなく、実際の事業内容(売上構成)で判断される点です。同じ「飲食店」でも、何を中心に売上を立てているかで区分が変わることがあります。
判断が分かれやすい4業種の具体例
| 事業 | サービス業と判断される例 | 製造業と判断される例 |
|---|---|---|
| 飲食店 | 店内飲食中心のカフェ・居酒屋・レストラン | 弁当製造・惣菜加工・冷凍食品販売・OEM・セントラルキッチン |
| 美容室 | 施術サービスが中心 | 自社ブランド化粧品のOEM販売・EC売上が中心 |
| Web制作会社 | 単発の受託制作が中心 | SaaS提供・自社プロダクト販売が中心 |
| クリエイター事業 | 広告収入・案件受注が中心 | デジタルコンテンツ販売・オンラインサロン・教育事業が中心 |
「飲食業だからサービス業」と単純に決めつけず、売上構成と事業実態を公募要領の定義と照らし合わせることが重要です。判断に迷う場合は、管轄の商工会・商工会議所、または認定経営革新等支援機関に事前確認することをおすすめします。
「従業員」に含まれないケース
以下のような方々は「常時使用する従業員」には含まれませんので、カウント時に注意が必要です。
① 会社役員
※ただし、従業員としての実態がある兼務役員は含まれる
② 個人事業主の同居親族
生計を共にしている家族従業員は対象外です。
③ 休職中の従業員
育児・介護・傷病などで正式な休職扱いとなっている場合はカウントしません。
④ 短期・季節・日雇い労働者
- 日々雇用される人
- 2か月以内の契約
- 4か月以内の季節雇用
※ただし、継続雇用に切り替わった場合はカウント対象になります。
⑤ パート・アルバイト(短時間労働者)
以下の条件を満たす場合、パート扱いとなりカウントしません。
- 労働時間または労働日数が
→ 通常の従業員の4分の3以下 - 「通常の従業員」と比べて、1日または1週間、かつ1か月の労働日数がいずれも4分の3以下の場合は、パートとみなされカウントされません。
「パートタイム労働者」の判断基準
ここは審査でも見られやすいので要注意です。「通常の従業員」とは、単に正社員という意味ではなく、以下を総合判断します。
- 無期雇用かどうか
- フルタイムかどうか
- 賃金体系
例えば、正社員がいない会社でも、フルタイムで働くスタッフがいれば、その人が「通常の従業員」となります。そして、それより労働時間が短い人はパート扱いになります。
よくあるNGケース
申請で不採択になるケースとして、以下のミスが非常に多いです。
- パートを誤ってカウントしてしまう
- 兼務役員を除外してしまう
- 家族従業員を含めてしまう
これらは形式不備・虚偽扱いになる可能性もあるため注意が必要です。
判断に迷った場合の対処法
従業員区分はグレーゾーンが多く、自己判断は危険です。以下のような場合は、一度ご相談ください。貴社の状況に応じてお伝えさせていただきます。
- 契約社員の扱いが曖昧
- 役員報酬+給与がある
- シフト制で労働時間が変動する
専門家や支援機関に相談することで、不採択リスクを大幅に下げることができます。
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持続化補助金 よくある質問(FAQ)
持続化補助金についてよくある質問をまとめたFAQページも用意しています。「自社は対象になるか」「どの枠を選べばいいか」など、申請前の疑問はまずよくある質問(FAQ)からご確認ください。
Q1.個人事業主でも申請できますか?
はい、個人事業主でも申請可能です。実際に、フリーランスや小規模事業者による活用事例も多くあります。ただし、申請時点で既に事業を行っていることが前提となるため、開業届を提出していることが重要です。
Q2.赤字でも申請できますか?
はい、赤字事業者でも申請自体は可能です。持続化補助金は「現在赤字かどうか」よりも、「今後どのように販路開拓や売上向上につなげるか」が重視されます。そのため、事業計画書で将来性や改善計画を具体的に説明できるかが重要になります。
Q3.ホームページ制作だけでも申請できますか?
ホームページ制作単体では採択が難しいケースがあります。重要なのは、「ホームページを活用してどのように販路開拓を行うか」です。SEO対策・Web広告・SNS運用・EC強化などと組み合わせて申請するケースが増えています。
Q4.パソコン購入は補助対象になりますか?
パソコンやタブレットなどの汎用機器は、原則として補助対象外となることが多いため注意が必要です。補助事業に必要不可欠な専用設備として認められる場合を除き、一般的なPC購入のみでは対象になりにくい傾向があります。
Q5.補助金は後払いですか?
はい、補助金は基本的に「後払い」です。まず事業者側で支払いを行い、その後、実績報告や検査を経て補助金が支払われる流れになります。そのため、申請前には資金繰りも含めて準備しておくことが重要です。
Q6.不採択でも再申請できますか?
はい、不採択となった場合でも、次回公募への再申請は可能です。実際には、事業計画書を改善し、再チャレンジして採択されるケースも少なくありません。最近は採択率が下がっているため、販路戦略や数値計画まで具体的に作り込むことが重要になっています。
よくある質問はこちら:持続化補助金 よくある質問(FAQ)
- 小規模事業者持続化補助金<一般型>補助金事務局(商工会議所地区)
- 小規模事業者持続化補助金について(中小企業庁)
- 補助金公募情報一覧(中小企業庁)
※本記事は上記公式資料をもとに作成しています。制度内容は変更される場合があります。申請の際は必ず最新の公募要領をご確認ください。
免責事項・ご注意
- 本記事について
本記事は、中小企業庁・補助金事務局が公表している公式資料をもとに、情報提供を目的として作成しています。特定の補助金申請の採択を保証・推奨するものではありません。 - 制度変更について
本補助金は公募回(現在:第19回)ごとに要件・補助率・スケジュール・申請枠が変更される場合があります。また申請窓口は商工会地区と商工会議所地区で異なります(事業支援計画書(様式4)の発行先が異なるため、事前に自社の管轄を必ずご確認ください)。 - 申請の際は必ずご確認ください
商工会議所地区 補助金事務局サイトに掲載の最新公募要領
管轄の商工会または商工会議所への事前相談(様式4の発行受付締切に注意)
認定支援機関または中小企業診断士等の専門家への相談 - 損害免責
本記事の情報に基づいて生じた損害・損失・不利益について、当社は一切の責任を負いかねます。 - 著作権
本記事の文章・構成の著作権は leon-strategy.com に帰属します。引用・転載の際は出典を明記してください。
PROFILE

- 中小企業診断士 / 資金調達・補助金コンサルタント / 外資系戦略コンサルティングファーム出身。独立後、事業再構築補助金・ものづくり補助金を中心に200社超の資金調達を支援し、採択率80%以上を継続して維持しています。補助金申請において最も難しいのは「書類を書くこと」ではなく、「審査員に刺さる事業計画を設計すること」です。戦略コンサルとしての経験を活かし、単なる申請代行ではなく、事業計画の立案から採択後の実行フェーズまでを一気通貫でサポートすることを強みとしています。これまでの支援先は製造業・小売業・サービス業など幅広く、初めての補助金申請から複数回採択の実績づくりまで対応しています。また、補助金メディアの執筆者として1,000本超の記事を執筆。最新の制度情報・審査傾向を常にアップデートしながら、読者と支援先の双方に正確な情報を届けることを使命としています。



