キッチンカーを始めたい。でも、車両購入や設備費が高くて踏み出せない……。
そんな個人事業主・中小企業の方にこそ知ってほしいのが、キッチンカー導入に使える補助金制度です。
車両費や内装設備費、営業許可取得のための備品購入など、開業にかかる費用の最大2/3〜3/4が補助対象になるケースもあります。自己負担を大幅に軽減して、低リスクでキッチンカー事業を始めるチャンスです。
この記事では、2025年度に活用できる「キッチンカー向け補助金」制度を厳選紹介。
補助上限額・対象経費・申請スケジュールなど、申請時に押さえるべきポイントもわかりやすくまとめました。
目次
キッチンカー開業にかかる費用とは?
キッチンカーを新たに導入しようとすると、想像以上に多くの初期投資がかかるのが現実です。車両の改造・厨房設備の整備・営業許可対応など、合計で300万〜600万円近くになるケースも珍しくありません。
以下では、キッチンカー導入にかかる代表的な費用項目とその相場を、わかりやすく解説します。
① 車両購入・改造費(100万〜300万円)
ベース車両の価格に加え、調理に必要なシンクや作業台、換気扇などを設置するための内装工事費がかかります。中古車をベースにしても改造費だけで100万円を超えることも。
② 厨房設備・備品購入費(30万〜100万円)
冷蔵庫・IHコンロ・発電機・ガス設備など、安全かつ衛生的な営業に必要な厨房機器をそろえる必要があります。
提供するメニューにより必要な設備も異なります。
③ 保健所・消防対応費(5万〜20万円)
営業許可を取得するために、シンクの数や給排水の構造、換気設備などの条件を満たす必要があります。条件に適合させるための追加工事や書類作成費が発生するケースも。
④ 宣伝・広報費(5万〜20万円)
ロゴ・メニュー表・SNS・WEBサイト・チラシなど、出店先の集客に必要な販促物の制作費用です。
⑤ その他(軽貨物登録費・保険・運営準備)
・軽貨物登録や名義変更にかかる費用
・営業保険、PL保険
・最初の仕入れ費用、人件費 など
2025年 キッチンカー補助金10選
今年、キッチンカーに使える主な補助金は以下の通りです。それぞれ解説します。
- 小規模事業者持続化補助金
- 中小企業事業進出補助金
- ものづくり補助金
- 東京都創業助成事業

①小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路拡大や業務効率化を支援する国の代表的な補助金制度です。キッチンカーによる移動販売の立ち上げ・強化も支援対象になり、車両購入費や装備費、広告宣伝費などが補助される可能性があります。
【2025年・令和7年度】小規模事業者持続化補助金の最新情報を解説!
制度の概要
小規模事業者持続化補助金に申請するには、以下の要件を満たす必要があります。
①小規模事業者要件
- 商業・サービス業:従業員数5人以下
- 宿泊業・娯楽業:従業員数20人以下
- 製造業その他:従業員数20人以下
②補助対象要件を満たすか
小規模事業者持続化補助金の補助対象となりうるのは、以下に該当する小規模事業者です。
- 営利法人(株式会社や合同会社等)と個人事業主、一定の要件を満たした特定非営利活動法人である
- 資本金又は出資金が5億円以上の法人に直接又は間接的に100%の株式を保有されていない
- 直近過去3年の課税所得の年平均額が 15億円を超えていない
- 申請時点ですでに創業している
補助率・補助上限
補助率は対象経費の2/3又は3/4で、補助上限額は250万円です。
対象経費例
キッチンカー車両改造費、ロゴデザイン、チラシ・メニュー制作費、WEBサイト制作、営業許可取得のための備品購入など
補助事業実施期間
交付決定日からおよそ6か月以内です。この期間内に、計画された補助事業を完了させる必要があります。
申請できる類型
2025年度の持続化補助金の申請枠は以下の通りです。※クリックで解説記事へ
キッチンカーを活用して新たな販売チャネルを作りたい小規模事業者にとって、最も使いやすい補助金のひとつです。
②中小企業新事業進出補助金
■ 制度概要
この補助金は、新しい事業分野へのチャレンジを支援する制度で、2025年度にスタートしました。たとえば、既存の飲食店がキッチンカーを導入して新規顧客層にアプローチする場合や、新たに移動販売事業を立ち上げるケースに活用できます。
■ 対象企業(要件)
- 日本国内で事業を営んでいる中小企業者
- 新たな製品・サービスを新しい顧客層(市場)に提供する計画であること
- 事業計画において、付加価値額の年平均成長率が4%以上見込まれていること
- 賃上げ計画および最低賃金の引上げ(+30円以上)を実施すること
- 「一般事業主行動計画(次世代育成支援対策推進法)」を策定・公表していること
■ 募集期間(第1回公募)
- 公募開始:2025年4月22日(火)
- 申請締切:2025年7月10日(木)18:00まで
- 採択発表:2025年8月予定
- 補助事業実施期間:交付決定日から14か月以内(最長で16か月)
■ 補助対象経費(例)
中小企業新事業進出補助金では、以下のようなキッチンカー新規導入にかかる初期費用も補助対象になります:
- キッチンカー本体の購入費用・内装改造費
- 調理設備・給排水設備・電源システムなどの装備導入費
- 専門家や外注業者への依頼費(設計・保健所対策・営業戦略アドバイス等)
- 開業時の広告宣伝費・チラシ制作・Webサイト・SNS広告費
- 移動販売のブランド設計やプロモーションにかかるコンサル費
※広告費は他の経費との併用が条件、上限500万円まで
■ こんな方におすすめ
この補助金は、以下のような新たにキッチンカー事業にチャレンジする中小企業・個人事業主に特におすすめです。
- 店舗を持たずに移動販売で新規参入したい方
- 地元農産品やオーガニック食材を使った地産地消ビジネスに取り組みたい方
- 既存の飲食店経営者で、新たな収益柱としてキッチンカーを導入したいと考えている方
- フードトラックによる地方創生や雇用創出を目指す事業者
⑤ものづくり補助金
■ 制度概要
ものづくり補助金は、中小企業の設備投資や生産性向上を支援する制度ですが、近年ではキッチンカーの導入にも活用されるようになってきました。
【最新】ものづくり補助金とは?補助額や申請要件、採択傾向を解説!
■ 対象企業
以下の要件を満たす中小企業や小規模事業者が対象となります:
- 中小企業基本法に基づく中小企業および小規模事業者
- 自社で製品開発・技術革新に取り組む意思と具体的な計画を有していること
- 該当する業種(製造業、情報通信、建設、卸売業など)が対象となります
■ 募集期間
-
公募は年に数回実施され、最新の募集期間や締切日などは、公式ウェブサイトで随時発表されます。
■ 対象経費
「ものづくり補助金」は、中小企業が新製品・サービス開発や設備導入によって生産性向上や競争力強化を目指す取り組みを支援する制度です。キッチンカーの開業・拡充においても、以下のような費用が補助対象となります。
- キッチンカー本体や調理設備の導入費
厨房機器、給排水設備、発電機などの新規購入費用。 - 車両の内装・構造改修工事費
営業許可基準を満たすための車内工事や改装にかかる費用。 - 新メニュー開発・試作品製造にかかる費用
地域の食材を活かした新商品の開発やサンプル製作に必要な材料・外注費。 - ITシステムの導入費用
モバイルPOS、在庫管理アプリ、予約・注文管理システムなどの導入に必要なソフトウェア費用。 - 衛生管理や労働環境の改善に関する費用
スタッフの作業環境を改善するための換気・冷暖房設備、手洗い設備等。
■ 補助上限額と助成率
- 補助上限額は、事業規模や事業内容により異なります。
- 一般的には、数百万円から数千万円規模となり、助成率は2/3〜3/4程度の場合が多いです。
※具体的な数値は、各公募回の要領をご確認ください。
④東京都創業助成事業
制度概要
東京都が実施する創業助成事業は、創業後間もない事業者が販路開拓や事業拡大にかかる費用を支援する制度です。キッチンカーを使った移動販売をこれから始める方にとって、非常に相性の良い補助金です。
https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/
対象企業
以下の要件をすべて満たす中小企業者等が対象です:
- 東京都内に主たる事業所を有すること
- 創業から一定期間内であること(詳細な期間は公募要領で確認が必要)
- 都税の滞納がないこと
募集期間
公募期間や申請受付の詳細については、東京都の公式ウェブサイトや関連機関の発表をご確認ください。
対象経費
東京都創業助成事業では、キッチンカーの導入や販路拡大に必要な初期費用の一部が補助対象となります。以下のような費用が対象経費として認められています。
- キッチンカー車両の購入費用
厨房機器付きの専用車両や、車両の内装・設備にかかる費用。 - 販促物制作費(チラシ・パンフレット等)
商品説明、メニュー紹介などの印刷物の制作費用。 - 広告宣伝費
SNS広告、地域イベントへの広報、Webサイト制作などのプロモーション活動にかかる費用。 - 営業許可に伴う設備投資費
保健所の許可取得に必要な水回り・換気設備などの整備費。 - 出店・催事参加にかかる費用(出展料・小間料など)
マルシェやイベント出店時に必要なブース料やスペース利用料。 - 搬送・輸送費
販売拠点までのキッチンカー移動や機材運搬にかかるコスト。
キッチンカー補助金の採択率を高める3点
キッチンカー事業を始める際、補助金の活用は資金負担を大きく軽減する有効な手段です。しかし、準備不足のまま申請すると不採択になるリスクも。
ここでは、補助金の審査で高く評価されるために、必ず押さえておきたい3つの準備ポイントを解説します。
1. 事業の「社会的意義」と「独自性」を明確にする
補助金は単なる起業支援ではなく、「社会的な価値を生む事業」に対して与えられます。キッチンカーを通じて地域課題を解決できるか、または他にはない強みや差別化要素があるかを具体的に整理しておきましょう。
- 高齢者や子育て世帯が多い地域で、買い物弱者を支える移動販売
- 地産地消を推進する、地元農産物を使ったメニュー
- ヴィーガン対応・グルテンフリーなどニッチなニーズに応える
2. 補助対象経費の見積りと使い道を明確化する
補助金はあくまで「事業に必要な支出を明確に証明できること」が前提。車両本体費・キッチン設備の改造費・販売促進費(チラシやLP制作)などの見積書は必須です。
あいまいな費目は認められず、審査に不利になります。
また、経費ごとに「なぜその支出が必要か」の理由を明記できるように準備しておきましょう。
3. キッチンカーの収益モデルと売上予測を用意する
補助金は“継続的に利益を生む事業”に対して支援されます。「1日の販売数」「平均客単価」「出店回数」などをもとに、リアルな収益シミュレーションを作成しましょう。
特に、「どの場所で、どんなターゲットに、どのくらい売れるか」は明確に。売上根拠が曖昧だと、ビジネスとしての信頼性が低く評価されます。
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PROFILE

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兵庫県出身、関西学院大学卒。調達件数100社以上、成功確率80%超。
東証プライム上場の事業会社→コンサルファームを経て2023年起業。経営者の新たな挑戦をサポートするため、事業再構築補助金やものづくり補助金、融資等を活用した資金調達支援やインキュベーション事業、イベント事業を提供しています。
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