ものづくり補助金平成24年度千葉県

文化財用大型スキャナ及び表示システムの試作開発

株式会社エーディエス

この事例のポイント

  • 従来の文化財デジタル技術では撮影速度が遅い。
  • A0程度の文化財や大型資料を500dpi程度の解像度でデジタル化できる大型スキャナを試作した。
  • 高い仕様の汎用大型スキャナと4Kモニター対応の画像表示システムを試作し、当初目標を達成した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社エーディエス
所在地千葉県 柏市
業種情報サービス業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数10人
資本金4,100万円
設立2003年

事業の背景

ソフトウェア開発を得意分野とし、売上高は2億100万円。文化財のデジタル化は撮影に膨大な費用がかかり、進んでいなかった。国内の潜在顧客は、美術館・博物館・図書館・資料館が約6,000館、大規模寺院が約100ほど、デジタルサービスを展開する印刷会社が約300社と見込まれ、合計約6,400の潜在顧客がある。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力従来の文化財デジタル技術では撮影速度が遅い。
  • コスト・採算文化財のデジタル化には膨大な費用がかかるため、デジタル化が進んでいない。

やったこと

A0程度の文化財や大型資料を500dpi程度の解像度でデジタル化できる大型スキャナを試作した。要素部品を選定し直し、カメラ、レンズ、LED照明、自動昇降モーターを組み込んだ筐体と、モーター電源、光源電源、画像処理ボードを搭載した制御ボックスで構成した。フレームはアルミ製とし、低コスト化、可搬性、安全性、制振性に配慮して設計し、実施設計は専門業者に発注した。画像表示ソフトウェアでは、tiff・png等の非圧縮画像を表示に適したjpegタイルの集合体に変換し、4Kモニタで1枚10GBを超える画像を高速表示できるようにした。高速表示のためメモリー容量を8GB以上とし、SSDなど読み出し速度の速い記憶媒体を使う必要があることを確認した。

新しい製品・サービス:文化財用大型スキャナ及び表示システム

事業の効果

高い仕様の汎用大型スキャナと4Kモニター対応の画像表示システムを試作し、当初目標を達成した。部品の最適化とコストダウンにより、既存のスキャナより高い仕様で、量産時の部品価格も試作品に比べ大きく下げられる見込みとなった。10GBを超える画像を高速表示できる。美術館・博物館での展示を平成26年度に2件行い、学芸員による研究も進んでいる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性47%
  • これまでの取組との一貫性2

    事業テーマは文化財用大型スキャナ及び表示システムの試作開発で、過去の取組との連続性や経営戦略上の位置付けは事例文から読み取れません。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    美術館や博物館など約6,400の潜在顧客、うち自前で行うユーザー約10%と市場規模を示し、既存京大スキャナより高い仕様を実現したとあります。

  • 課題の認識と解決2

    撮影速度が遅く費用が膨大という課題は示されていますが、高付加価値化や成長につながる事業計画としての記述は薄いです。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    高付加価値創出や賃上げを実現する数値目標は見当たらず、解像度500dpiや10GB画像の高速表示といった技術目標のみです。

  • 事業を進める体制2

    社長名と従業員数10名の記載はあるものの、補助事業を遂行する人材や事務処理体制の具体的な記述はありません。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    A0程度の文化財を500dpiで安価にデジタル化できる点、顧客層や国内約6,400の潜在顧客を具体的に示しています。

  • 事業化までの道筋3

    1年目に生産・販売し、市場調査の結果を受けて2年目に自社費用で追加開発する予定と、工程の順序が示されています。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    文化財の大型デジタル化用スキャナは一般的な普及度が低く、10GB超の画像を4K表示する仕様で高水準の性能を示しています。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    文化財のデジタル化の遅れが課題とされるものの、雇用創出や波及効果など国が補助する積極的理由は明示されていません。

  • 費用対効果2

    部品の低コスト化と量産時の価格低減は述べられていますが、補助金投入額に対する付加価値増加の数値は示されていません。

  • イノベーションへの貢献3

    大型スキャナと画像表示ソフトによる文化財デジタル化は新しい技術活用と読み取れますが、サプライチェーンへの貢献は限定的です。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    千葉県柏市の事業者であることはうかがえますが、地域の特性を活かした付加価値や雇用創出の記述はありません。

今後の展望

1年目は本事業で開発したスキャナを生産し販売する。市場調査の結果、追加仕様や改善が必要になった場合は、2年目に自社費用で追加開発を行う予定である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。