ものづくり補助金平成25年度建設業長野県

バネによるエネルギー吸収システムを採用した新落石防護柵の開発

北陽建設株式会社

この事例のポイント

  • 現在道路脇に設置する落石防護柵は経年劣化による強度低下が著しいものが多く、災害時の緊急避難路のため更新が急がれている。
  • バネによるエネルギー吸収システムを採用した新落石防護柵の試作を行い、支柱、ネット、ロープ、バネ、アンカーの性能を実際に設置して評価した。
  • 新落石防護柵は既存ブロック積みに衝撃による破壊やクラック等が見られず、既設擁壁の安定に寄与することが確認できた。

事業者のプロフィール

事業者名北陽建設株式会社
所在地長野県 大町市
業種総合工事業
技術分野接合・実装
従業員数171人
資本金8,000万円
設立1974年

事業の背景

北陽建設は昭和5年創業で、土木工事部門とコンサルタント部門を持つ総合的な建設会社である。道路・橋梁・砂防ダムに加え、雪崩対策や地すべり対策などの特殊工事を得意とする。近年の落石災害を受け、道路脇の落石防護柵の防災基準は従来の柵の高さ150cmから最低200cmへ変更され、高い耐衝撃性や施工性が求められている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度現在道路脇に設置する落石防護柵は経年劣化による強度低下が著しいものが多く、災害時の緊急避難路のため更新が急がれている。
  • 新製品・新技術既存の構造ではなく、高強度・長寿命でかつ低コストな新たな構造体の高度化が必要だった。
  • 集客・繁閑モルタル吹付工は湧水や吹付面の老朽化に伴うひび割れ面に水が浸入し、地山の浸食による空洞化や剥離が問題となっている。

やったこと

バネによるエネルギー吸収システムを採用した新落石防護柵の試作を行い、支柱、ネット、ロープ、バネ、アンカーの性能を実際に設置して評価した。想定エネルギー100~200kJの落石に見立てたコンクリート塊を柵に衝突させる実証実験を行った。実験では既存ブロック積みに衝撃による破壊やクラック等は一切見られなかった。今後は得られた歪みデータを柵形状に反映させ、実験を繰り返して低コストな柵形状や構造を確立する。

その他小型クレーン
その他高所作業車

新しい製品・サービス:TFバリア(既存ブロック積擁壁の前側に『くの字』型に支柱を設置し、バネ式エネルギー吸収機構とゴム緩衝材を用いた落石防護柵)

事業の効果

新落石防護柵は既存ブロック積みに衝撃による破壊やクラック等が見られず、既設擁壁の安定に寄与することが確認できた。『くの字』型の支柱構造により、スピーディな施工と通行規制の最小限化が実現できた。今後は販売ルートや協会の整備を進め、早期の製品化を目指す。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存ブロック積みの課題に対し落石防護柵の事業拡大を目指すと書かれ、土木事業の延長として位置付けられている。ただ過去取組との明確な系譜は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    防災基準が150cmから200cmへ変更されたという外部環境と、コンサルから施工まで一貫体制という強みに触れ、競争優位の方向が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    既存柵の経年劣化による強度低下という課題を認識し、高強度・長寿命・低コストの構造を目指すと明記されている。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値額や賃上げの具体的な目標値は記載がなく、わずかに事業拡大の方向性がうかがえるのみ。

  • 事業を進める体制3

    開発リーダーの技術管理室課長、協力会社の後押し、4年間の開発経緯は書かれているが、体制の具体像は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    施工時の通行規制を抑えられる点や、お客様の要望が多数寄せられていることなど、選ばれる理由が具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    実証実験を繰り返し歪みデータを柵形状に反映させ、販売ルートや協会の整備を行うと今後の進め方が書かれている。

  • 財務と資金の調達2

    資本金8,000万円と従業員171名の記載はあるが、財務状況や資金調達の見通しは読み取れない。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    既存の柵に対し従来比で高い耐衝撃性を持つ新製品と記載があるが、市場の普及度に関する数字は書かれていない。

公的補助の必要性27%
  • 波及効果・雇用2

    災害時の緊急避難路の確保という公共性はうかがえるが、経済波及や雇用創出の記載は見当たらない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献1

    公開されている事例からは読み取れません。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    防災インフラとしての地域貢献がうかがえるが、地域の経済成長を牽引するとの記載は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は実験データを反映して柵形状を確立し、販売ルートや協会の整備を行い早期の製品化を目指す。また、平成26年度には透水性モルタル吹付の開発にも取り組み、維持管理事業の拡大を目指す。

  • 目標:落石防護柵の防災基準の高さ 150cm→200cm

事業者の声

TFバリアはものづくり補助金と協力会社のあと押しもあり、ようやく完成にこぎつけました。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。