ものづくり補助金平成25年度製造業大阪府

ガス毛羽焼きワインダーの導入による生産効率改善、低コスト化、省エネルギー化計画

豊田絲業株式会社

この事例のポイント

  • ガス焼き加工は巻き直しの工程を含めると2〜3日を要し、取引先の商品開発スピードに十分応えられなかった。
  • 中小企業庁の「ものづくり補助金」を活用して、単錘駆動型ガス毛羽焼きワインダーを導入した。
  • ガス焼き加工が1日で完了するようになり、巻き直し不要で繊細な糸を痛める危険性もなくなったため、高い品質を維持できるようになった。

事業者のプロフィール

事業者名豊田絲業株式会社
所在地大阪府 大阪市
業種繊維工業
技術分野精密加工
従業員数15人
資本金1,000万円
設立1953年

事業の背景

1975年の創業期からミシン糸を製造していたが、ガス焼き加工を主力とし、高級綿製品用原糸の加工を行うようになった。ニット製造業を取り巻く環境は非常に厳しい状況にあった。一方で世界の繊維市場は成長産業とされ、生産量は平成23年の7,600万トンから平成32年には9,000万トンに成長すると見込まれていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 納期・工程ガス焼き加工は巻き直しの工程を含めると2〜3日を要し、取引先の商品開発スピードに十分応えられなかった。
  • 品質・精度超細番の糸は巻き直しをすると弱ってしまう危険性があった。
  • コスト・採算取引先から在庫減少のトレンドを受けて、短納期化と低コスト化が求められていた。

やったこと

中小企業庁の「ものづくり補助金」を活用して、単錘駆動型ガス毛羽焼きワインダーを導入した。この機械は焼くことと巻くことを同時に行えるため、巻き直しの工程を削減できる。設備メーカーとのヒアリングを重ね、均一なガス燃焼が可能になるよう工夫し、品質を落とさず加工できる機械にこだわった。個別のモーターで駆動する単錘駆動型のため、個々の糸に合ったガス焼き加工をストレスなく行える。

加工機単錘駆動型ガス毛羽焼きワインダー

事業の効果

ガス焼き加工が1日で完了するようになり、巻き直し不要で繊細な糸を痛める危険性もなくなったため、高い品質を維持できるようになった。特に超細番の糸を加工する場合に重宝している。電気・ガスエネルギーを83%以上削減でき、年間500万円のコストを削減することができた。高品質を保ちながら短納期化とコスト削減を実現する生産体制を構築でき、従業員の賃金上昇や福利厚生の充実、作業環境の改善も可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.3 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性100%
  • これまでの取組との一貫性5

    昭和50年にガス焼き加工を始め、平成10年の工場移転後はガス焼き加工を主力とする経緯が年号つきで書かれており、過去の取組との一貫性が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性5

    超細番の糸のガス焼き加工を強みとし、世界繊維市場の7,600万トンから9,000万トンへの成長見込みを踏まえた戦略が示されている。

  • 課題の認識と解決5

    加工に2〜3日かかる課題を挙げ、新設備で1日に短縮し、短納期化・低コスト化を実現したと具体的な数字で示している。

事業の実現可能性52%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    賃金上昇や作業環境改善の可能性にはふれているが、付加価値額の目標値は書かれておらず、実現可能性は判断できない。

  • 事業を進める体制3

    従業員15名の規模と熟練技術者から若い世代への技術伝承の方針は読み取れるが、補助事業の遂行体制の具体は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    取引先の商品開発スピードや在庫減少ニーズに応え、半導体部品や仕上げクロス向けなど顧客と用途が具体的に示されている。

  • 事業化までの道筋3

    新分野への進出や技術伝承を今後の方針として挙げているが、遂行スケジュールや課題の解決方法は具体的に書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    世界でも同社しかできない高級綿製品用原糸のガス焼き加工を行い、高水準の高付加価値化を図っている点が読み取れる。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    国内繊維産業の生き残り戦略として高付加価値商品の開発が挙げられているが、波及効果や雇用創出の規模は示されていない。

  • 費用対効果4

    年間500万円のコスト削減と8割超の電気・ガスエネルギー削減という数字が示され、費用対効果の高さがうかがえる。補助額との比較はない。

  • イノベーションへの貢献2

    デジタル技術や新しいビジネスモデルの活用はうかがえず、サプライチェーンのイノベーションへの貢献は限定的にしか読み取れない。

政策面50%
  • 成長分野への進出3

    繊維市場の成長見込みと新分野への進出方針が書かれており、構造転換への関わりがうかがえるが、具体性は薄い。

  • 地域経済への波及2

    大阪府南河内郡河南町への工場移転は書かれているが、地域の特性を活かして雇用や地域経済を牽引する内容は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は海外や他社の追従を許さない競争力を確保し、既存顧客の維持、シェア拡大、新規顧客の開拓を目指す。全く新しい分野にも参入し、毛羽に関する悩みへの解決策を提示できる会社にしていく。

事業者の声

糸は頭で巻け

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成25年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。