ものづくり補助金平成26年度製造業秋田県

革新的な縫製技術による世界的ハイブランド向け提案型商品の開発

株式会社アーテス秋田

この事例のポイント

  • 海外(アジア諸国)の技術革新が目覚ましく、従来の縫製技術だけでは優位性の維持が難しくなっていた。
  • 縫製糸の代わりに編地用の糸を使って生地に馴染ませる「ソフトシーム」技術を導入し、専用のミシン類とラインを整備した。
  • ソフトシームは縫い目が肌に当たらないため使い心地という価値を提供でき、体型に合わせた立体的な造形も可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社アーテス秋田
所在地秋田県 大仙市
業種繊維工業
技術分野デザイン,立体造形
従業員数80人
資本金1,000万円
設立1978年

事業の背景

当社は東京都墨田区の南木メリヤス(現アーテス)の秋田工場として設立され、昭和53年に独立したカットソー商品の縫製業者である。地元採用にこだわって技術の蓄積を図り、国内外のハイブランドアパレルから直接注文を受けている。ハイブランドアパレル向けにOEM供給を行っており、アジア諸国の技術革新が進む中で新たな縫製技術の調査研究や提案活動が必要な状況だった。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 新製品・新技術海外(アジア諸国)の技術革新が目覚ましく、従来の縫製技術だけでは優位性の維持が難しくなっていた。
  • 生産能力ハイブランドアパレルへの技術提案力をさらに強化するため、新たな縫製技術(ソフトシーム)を導入する必要があった。

やったこと

縫製糸の代わりに編地用の糸を使って生地に馴染ませる「ソフトシーム」技術を導入し、専用のミシン類とラインを整備した。工場内の研究部門で専用ミシンの習熟運転を先行して行い、その結果を試作ライン担当に広げることで効率よく技術習得できるようにした。既存顧客に従来品と試作品の違いを比べてもらうため、パーカーやパンツ、Tシャツなど日頃納品している代表的なアイテムで試作品を製作した。ソフトシームで縫製したパーカーやトレーナーを試作し、通常の縫製糸によるステッチとの違いを確認できるようにした。

加工機ソフトシーム用改造2本針ロックミシン
加工機専用ミシン類
加工機ソフトシーム試作ライン

新しい製品・サービス:ソフトシーム技術による新たな製品群(ソフトシームで縫製したパーカー、トレーナー等)

事業の効果

ソフトシームは縫い目が肌に当たらないため使い心地という価値を提供でき、体型に合わせた立体的な造形も可能になった。ソフトシーム自体の売上は微々たるものだが、国内外で技術力をアピールする営業ツールとなり、新たな試作依頼や他ブランドとの差別化を狙うアパレルからの問い合わせを得た。社内では新しいことに挑戦する重要性を現場が認識し、過去の優れた縫製技術を学び直すきっかけにもなった。事業取組み後は当社のものづくりへの姿勢が評価され売上が大きく増加し、新たな技術開発も継続している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のハイブランド向けOEMと技術提案力の強化という流れは読み取れるが、経営戦略上の明確な位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アジア諸国の技術革新が進む中、ハイブランドから直接注文を受ける技術蓄積を活かしソフトシームで差別化する狙いが具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決3

    アジア勢の技術革新という課題認識はあるが、高付加価値化の数値目標や具体的な事業計画は書かれていない。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    売上が大きく増加したと述べられるが、目標値や増加率などの数字は示されておらず実現可能性の根拠は薄い。

  • 事業を進める体制4

    研究部門で専用ミシンの習熟運転を先行し、その結果を試作ライン担当に広げる体制と手順が具体的に書かれている。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    パーカーやパンツ、Tシャツなど納品実績のあるアイテムで試作し、既存顧客に違いを比較してもらう形で顧客ニーズを確認している。

  • 事業化までの道筋3

    専用ミシン習熟運転から試作ラインへ展開する遂行方法は書かれているが、中長期の検証やスケジュールは具体的でない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    ソフトシームは当時日本で新たに開発された縫製方法で、ハイブランド向けに差別化する高付加価値の製品群として位置付けられている。

公的補助の必要性40%
  • 波及効果・雇用2

    地元採用や地域の技術者育成に触れているが、国が補助する波及効果や雇用創出の数字は示されていない。

  • 費用対効果2

    売上が大きく増加したとあるが、補助金額に対する付加価値増加や生産性の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    新しい縫製技術の導入でサプライチェーンに関わる提案力を強めるとあるが、デジタル技術の活用は書かれていない。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    海外競争に対応する技術提案型への転換がうかがえるが、日本経済の構造転換への言及は具体的でない。

  • 地域経済への波及3

    秋田県の地元採用や県民性に触れ地域の技術力を強調しているが、地域経済の成長や雇用創出の数値は示されていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後もたゆまない技術開発とチームワークを大事にしたものづくりを続けていきたいと考えている。

事業者の声

私たちが大事にしていることは、お客様のことを考え、欲している物を先回りして想像する、いわゆる「気の利く」対応です。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。