ものづくり補助金平成26年度漁業福島県

業界初!サケマス稚魚の通年孵化による生産量と付加価値の向上

株式会社林養魚場

成果発眼卵孵化量(年間) 20万粒→240万粒

この事例のポイント

  • サケ科魚類は冷水性のため発眼卵の孵化に10℃前後の低温水が必要で、12℃を超えると孵化率が低下し、15℃を超えると死滅率が著しく上昇するため、孵化は冬の限られた季節にしかできなかった。
  • 最新型の発眼卵孵化装置、紫外線殺菌装置、水温調節機を導入し、通年の孵化を可能にした。
  • 発眼卵孵化量(年間) 20万粒→240万粒。通年孵化により、孵化量は年間最大20万粒から240万粒へ増加する見込みとなった。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社林養魚場
所在地福島県 西郷村
業種水産養殖業
従業員数40人
資本金1,000万円
設立1968年

事業の背景

わが国で最古参の養魚場で、サケマス魚類の養殖を主力とし、年間およそ500万匹を育てている。国内の多くのサーモン需要は輸入に依存しており、国産の供給が追いついていない。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力サケ科魚類は冷水性のため発眼卵の孵化に10℃前後の低温水が必要で、12℃を超えると孵化率が低下し、15℃を超えると死滅率が著しく上昇するため、孵化は冬の限られた季節にしかできなかった。
  • 生産能力稚魚の成長も限られた時期に集中するため、似たサイズの魚を一度に出荷せざるを得ず、出荷の柔軟性が乏しかった。

やったこと

最新型の発眼卵孵化装置、紫外線殺菌装置、水温調節機を導入し、通年の孵化を可能にした。孵化装置は1回20万粒から60万粒を収容できる能力とし、孵化に用いる自然水には紫外線殺菌を施して病原菌の混入を防いだ。導入機器は孵化装置の必要水量に対して適切な殺菌能力と冷却能力を備えるものを選定し、設置後に全機器の正常作動を確認・調整した。ニジマス発眼卵20万粒を用いて2016年5月7日から6月12日まで試験し、設定水温10℃、注水量は孵化中毎分24ℓ、孵化後毎分32ℓ、浮上直前毎分40ℓで検証した。

加工機サケ科魚類発眼卵孵化装置(最大収容量60万粒)
その他水温調節機
その他紫外線殺菌装置

事業の効果

  • 発眼卵孵化量(年間) 20万粒→240万粒
  • 孵化量(1回あたり) 20万粒→60万粒
  • 死滅率 3%→3.004%
  • 必要な水量が従来の1/7以下で済む

通年孵化により、孵化量は年間最大20万粒から240万粒へ増加する見込みとなった。死滅率は3.004%と低く、水温は10.7℃±0.4℃で安定して孵化に適した状態を維持できた。必要水量は従来の1/7以下で済み、夏場も水温調節器の冷却機能に問題がないことを確認した。さまざまなサイズを随時出荷できる態勢が整い、ビジネスモデルの付加価値が増している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    従来は冬季に限られた孵化を通年化する課題認識があり、過去の稚魚生産の延長にある取組と読めるが、経営戦略上の位置付けは明記されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    国内サーモン市場の約95%が輸入依存という外部環境を示し、冷水系養殖の強みを活かして国産の鮮度・味わいで供給する方針が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    孵化を冬季限定から通年化する課題を示し、年間20万粒から240万粒へ増産する効果を具体的な数字で示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    年間20万粒から240万粒への増産、死滅率3.004%という実証数値があり、目標と実現の裏付けが読み取れる。

  • 事業を進める体制2

    社員40人、7拠点の養殖事業という規模はうかがえるが、補助事業を遂行する体制や人材の具体的記述は少ない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    国産サーモンの鮮度・味わい・食の安全を訴求し、新規参入事業者や水産加工大手からのニーズがあると具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    試験期間や注水量などの検証手順と、機器の運転・トラブル対応の周知が書かれているが、今後の中長期スケジュールは薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    国内では一般的でない冷水系サーモン養殖を、北極イワナの導入も含め業界初として取り組むと具体的に示している。

公的補助の必要性60%
  • 波及効果・雇用3

    国内サーモン需要に応え輸入依存を減らす方針や新規事業者の参入支援が書かれ、地域波及の可能性がうかがえる。

  • 費用対効果4

    水量を従来の1/7以下に削減し、年間生産量を最大12倍相当に高める点など、投資に対する効果が数字で示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    紫外線殺菌や水温調節機などの設備導入は書かれるが、先端的デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの言及は乏しい。

政策面50%
  • 成長分野への進出2

    サーモン市場の成長やサケマス養殖の拡大に触れており、わずかに成長分野への進出がうかがえる程度である。

  • 地域経済への波及3

    西郷村など地域拠点や福井・鳥取・香川への供給に触れ、地域事業者への波及が読み取れるが、地域特性の活用としての記述は限定的。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

季節を問わず孵化できる態勢を強みとして打ち出し、国産サーモンの安定供給に努める。福井・鳥取・香川などからオーダーが来ており、水産加工大手企業への提案型営業を続ける。北極イワナの養殖導入も進める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成26年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。