ものづくり補助金平成28年度製造業栃木県

大型高精度部品受注獲得の為の体制構築

株式会社恵伸精密

成果最大加工領域(X軸) 900mm→1,540mm

この事例のポイント

  • 大型部品の加工ニーズが増えているが、既存の横形マシニングセンタは加工領域が狭く、対応できずに受注に至らないケースが出ていた。
  • 社内生産体制を見直し、受注・生産・検査・出荷の4工程を再構築した。
  • 最大加工領域(X軸) 900mm→1,540mm。品質情報シートの導入と新設備の導入により、全工程で工期が短縮された。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社恵伸精密
所在地栃木県 那須烏山市
業種金属製品製造業
技術分野精密加工
従業員数10人
資本金1,000万円
設立1984年

事業の背景

当社は金属加工において、素材を問わず10mmから900mmまでの高精度切削加工と多品種・少量加工を得意としている。市販車の試作から量産に向けた加工提案を行い、半導体関連部品や航空機部品など先端産業の部品も数多く手掛けてきた。近年は自動車産業などの取引先から大型高精度加工の需要が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力大型部品の加工ニーズが増えているが、既存の横形マシニングセンタは加工領域が狭く、対応できずに受注に至らないケースが出ていた。
  • 納期・工程開発期間の短縮に伴い試作部品の納期も短くなり、主要取引先から納期短縮を求められていた。
  • 納期・工程工程間の情報伝達に時間がかかり、生産ラインの停滞や不具合品の流出が起きていた。

やったこと

社内生産体制を見直し、受注・生産・検査・出荷の4工程を再構築した。自社製の「品質情報シート」を導入して工程ごとの製品の状態を管理し、工程間の情報伝達を円滑にした。大型部品加工の最適化として、従来の横形MC(最大加工領域X900mm、Y600mm、Z650mm)に代えてDMG森精機株式会社製の大型立形マシニングセンタNVX7000を導入した。最大加工領域はX1540mm、Y760mm、Z660mmで、X軸・Y軸では従来機の約1.5倍の大きさの製品を加工できる。導入後は加工部品の平面度、立体物への対応、温度、ひずみ、自重への対応など様々なテストを繰り返し、大型部品の精度向上を図った。

  • 加工機DMG森精機製 NVX7000大型立形マシニングセンタ
  • ソフト品質情報シート自社製

事業の効果

  • 最大加工領域(X軸) 900mm→1,540mm
  • 最大加工領域(Y軸) 600mm→760mm
  • 最大加工領域(Z軸) 650mm→660mm
  • 治具取付時間 40分→10分
  • 加工時間 20分→18分

品質情報シートの導入と新設備の導入により、全工程で工期が短縮された。段取り時間や治具取付時間が大幅に減り、生産時間の短縮は当初予想の工期10%短縮を大幅に超えた。大型立形MCの導入で最大加工領域が広がり、新設備導入前より約2倍大きい製品の加工が可能になった。精度の維持と向上も比較的容易にできるようになり、不具合品の流出もなくなった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均3.1 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性取引先から大型高精度加工のニーズが増えている中、加工領域を約1.5倍に広げ、自動車など多産業の大型化需要に対応する点が強みとして示されている。
  • 4
    課題の認識と解決納期短縮、精度向上、大型化の目標を三点掲げ、工期を全工程で56%短縮する実効性のある改善を数字で示している。
  • 4
    付加価値・賃上げの目標テストピース加工で約50%の時間削減、全工程で56%の工期短縮が示されており、目標の達成見込みが具体的に裏付けられている。

伸びしろがあった観点

  • 2
    費用対効果工期短縮や時間削減の数字はあるが、補助金投入額に対する付加価値額の増加や費用対効果の記述がなく、薄い。
経営戦略との整合性3.7
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のMC加工領域が狭く大型加工に対応できないという課題を認識し、生産体制再構築と大型加工の最適化を目指して設備導入に至っている。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    取引先から大型高精度加工のニーズが増えている中、加工領域を約1.5倍に広げ、自動車など多産業の大型化需要に対応する点が強みとして示されている。

  • 課題の認識と解決4

    納期短縮、精度向上、大型化の目標を三点掲げ、工期を全工程で56%短縮する実効性のある改善を数字で示している。

事業の実現可能性3.4
  • 付加価値・賃上げの目標4

    テストピース加工で約50%の時間削減、全工程で56%の工期短縮が示されており、目標の達成見込みが具体的に裏付けられている。

  • 事業を進める体制3

    創業以来の加工技術とノウハウを持ち、テストを繰り返して精度向上を図るなど、補助事業を遂行する体制・能力の記述がある。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    自動車、航空宇宙、ロボットなど多岐にわたる取引先から大型部品の引き合いが増えており、ニーズの裏付けと選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋3

    テストを繰り返して平面度や温度、ひずみへの対応を検証し、今後は新規業種への参入を見据えるなど、遂行方法と課題解決の流れが示されている。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    1000mm〜900mmの高精度切削と多品種少量加工を強みとし、半導体・航空機など先端産業の部品を手がけており、高付加価値分野での優位性がうかがえる。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用3

    自動車、航空宇宙、ロボット産業など多くの産業で部品の大型化が進み、新たな需要を生む点が述べられている。

  • 費用対効果2

    工期短縮や時間削減の数字はあるが、補助金投入額に対する付加価値額の増加や費用対効果の記述がなく、薄い。

  • イノベーションへの貢献2

    立形MCの導入で作業効率化を図るが、先端デジタル技術や新たなビジネスモデルによるサプライチェーン貢献の記述は薄い。

政策面2.0
  • 成長分野への進出2

    半導体関連や航空機部品など先端産業を手がける点は触れているが、日本経済の構造転換への言及は薄い。

  • 地域経済への波及2

    栃木県那須鳥山市の企業として技術力を活かす方針は示されているが、地域の雇用や経済成長への波及は具体的に書かれていない。

今後の展望

今後は大型部品の加工技術をさらに向上させ、新規業種への参入など新たな顧客開拓に努める。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。