ものづくり補助金平成28年度製造業群馬県

キーボード熱転写昇華印刷の品質改善と生産能力向上

金井電器産業株式会社

成果かすれ0%

この事例のポイント

  • 文字が消えない熱転写昇華印刷のキーボードへの需要が増加しているが、既存装置は老朽化が進み、O社以外の需要には応えられない状況だった。
  • 新規の顧客に対応するため、熱転写昇華印刷に対応する副資材(昇華インク、転写紙、パッド)の調達ルートを開拓し、安定供給を受けられる環境を整えた。
  • かすれ0%。不良率はかすれ0%、文字位置ずれ0%、インク飛び0.03%となり、全不良率は目標0.1%を下回る0.03%になった。

事業者のプロフィール

事業者名金井電器産業株式会社
所在地群馬県 前橋市
業種電気機械器具製造業
技術分野デザイン,複合・新機能材料
従業員数37人
資本金1,200万円
設立1963年

事業の背景

当社は約30年前からPBT樹脂への熱転写昇華印刷を手がけ、大手情報通信機器メーカーO社向けの金融端末用キーボードに適用していた。副資材は日本写真印刷から一括購入していたが、同社は10年以上前に製造を中止したため、ラストオーダーで購入した副資材を在庫化してO社向け製品のみを生産していた。近年はキーボードの高級市場で文字が消えない印刷と打鍵感の良いキーボードが求められ、新規顧客への対応が必要になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 集客・繁閑文字が消えない熱転写昇華印刷のキーボードへの需要が増加しているが、既存装置は老朽化が進み、O社以外の需要には応えられない状況だった。
  • 生産能力既存装置では1台あたりの加工時間が長く、生産効率の倍増が必要だった。
  • コスト・採算BCPリスク回避の観点から、設備の二重化を考える必要が生じていた。
  • 人手・技能転写紙や昇華インクなどの副資材は、製造中止により新規調達が難しく、調達ルートの開拓と安定供給の環境づくりが必要だった。

やったこと

新規の顧客に対応するため、熱転写昇華印刷に対応する副資材(昇華インク、転写紙、パッド)の調達ルートを開拓し、安定供給を受けられる環境を整えた。パッドは自社で成形した。新たな副資材を既存装置で用いて印刷評価を行い、その結果を踏まえて既存装置の仕様を再確認したうえで、生産効率の倍増を実現するため新装置の仕様を決定した。新装置では、キートップをプレヒートで約180℃に加熱し、パッド表面を約200℃に加熱する環境をつくり、パッドにより転写紙をキートップに密着させて品質の良い昇華印刷を行う仕組みとした。新副資材と新装置の組み合わせで印刷品質を確認し、細部の調整を行った。

加工機熱転写昇華印刷機(新装置)
その他パッド(自社成形)
その他転写紙
その他昇華インク

事業の効果

  • かすれ0%
  • 文字位置ずれ0%
  • インク飛び0.03%
  • 全不良率は目標の0.1%に対し、0.03%
  • 1台あたりの加工時間 165秒→35秒
  • 時間あたりの生産台数 20台→103台

不良率はかすれ0%、文字位置ずれ0%、インク飛び0.03%となり、全不良率は目標0.1%を下回る0.03%になった。文字の色の濃淡差がなくなり、品質の良い昇華印刷が可能になった。1台あたりの加工時間は165秒から35秒へ短縮し、時間あたりの生産台数は20台から103台へ増加して生産効率の目標を達成した。今後、O社以外の新規顧客2社に向けてパーソナル市場向けキーボードを提供し、事業開始5年後に新規顧客への売上高4,200万円を予測している。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存装置の老朽化と10年以上前の副資材製造中止に触れ、熱転写昇華印刷を約30年続けてきた経緯が書かれている。経営戦略上の位置付けは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    キーボード市場で文字が消えない印刷の需要増加と、O社向け年間2,400台の実績、新規2社への展開が具体的に書かれ、強みと外部環境の関係が読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    既存装置の不良やO社以外需要に応えられない課題を挙げ、加工時間165秒から35秒、生産台数20台から103台への改善が示されている。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    目標の全不良率0.1%に対し0.03%、加工時間165秒から35秒、生産台数20台から103台と数値目標の達成が明記されている。

  • 事業を進める体制2

    社員数37人や新装置の設置・調整を行ったとの記述はあるが、補助事業を遂行する人材や事務体制の詳細は書かれていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    文字が消えない印刷が高級志向市場で求められていること、打鍵感の良いキーボードへのニーズが述べられ、顧客ターゲットも明確である。

  • 事業化までの道筋3

    インク飛びの継続対策や新規顧客への販売強化が述べられるが、スケジュールや具体的な遂行方法は示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    文字が消えない熱転写昇華印刷は高級キーボードの分野で、既存の一般的な印刷と比べ高付加価値の領域であることが示されている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    海外展開やタブレット市場への広がりが期待されると書かれているが、波及効果や雇用創出の数値は示されていない。

  • 費用対効果4

    新規顧客2社向けの売上高を事業開始5年後に4,200万円と予測し、生産効率の大幅向上で投入に対する効果が示されている。

  • イノベーションへの貢献2

    副資材の国内調達ルート開拓や自社でのパッド成形が述べられるが、デジタル技術やサプライチェーン全体への貢献は書かれていない。

政策面30%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及2

    前橋市の所在地は示されるが、地域の特性を活かした付加価値創出や地域雇用への言及はわずかである。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

O社向けに従来同様年間2,400台程度を納入する見込みで、今回の成果を投入していく。海外メーカーとの取引も始まることから海外展開の機会が増えると期待され、タブレット市場なども含めて昇華印刷の紹介活動と販売活動を強化する。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。