ものづくり補助金平成30年度製造業新潟県

インクジェット染色一貫生産計画

株式会社はぶき

成果染色期間 60日→30日

この事例のポイント

  • 型染めが基本で時間もコストもかかっており、染色に2〜3か月を要していた。
  • 2018年にインクジェットプリンターを導入し、型染めだと2〜3か月かかる染色を約1か月程度に、コストも約5分の1に抑えた。
  • 染色期間 60日→30日。新しい連続蒸機により発色性と色落ちの課題が改善し、納期短縮とコスト削減にも成功した。

事業者のプロフィール

事業者名株式会社はぶき
所在地新潟県 十日町市
業種繊維工業
技術分野複合・新機能材料
設立1971年

事業の背景

有限会社はぶきは1971年に着物メンテナンスを主事業として設立され、1987年から本格的に染色加工の一貫生産を行っている。十日町市は京都市と並ぶ振袖の一大産地で、社内で一貫生産できることが特徴である。振袖の流行は移り変わりが激しく、毎年のように違うデザインが流行するため、市場の早い動きへの素早い対応が求められていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力型染めが基本で時間もコストもかかっており、染色に2〜3か月を要していた。
  • 品質・精度インクジェット染色の導入後、既存の蒸し機では発色が弱く水滴で色落ちし、売り物にならない状態だった。
  • 新製品・新技術流行の移り変わりが激しい振袖の需要に、スピーディーに対応する必要があった。

やったこと

2018年にインクジェットプリンターを導入し、型染めだと2〜3か月かかる染色を約1か月程度に、コストも約5分の1に抑えた。インクジェット染色では蒸し工程で問題が発覚したため、蒸し工程を一時的に外注に委託しつつ、自社で蒸し加工ができるよう情報収集と検証を繰り返した。その結果、①蒸気が漏れないよう高い密閉度を保つ、②温度を100℃以上に一定に保つ、③全自動で連続して蒸せるようにする、という仮説が立った。この理論をもとに機械メーカーと打ち合わせを重ね、はぶき独自の連続蒸機を製造した。

その他インクジェットプリンター
加工機はぶき独自の連続蒸機(オリジナル蒸し機械)

新しい製品・サービス:インクジェット染色に対応したオリジナル蒸し機械

事業の効果

  • 染色期間 60日→30日
  • 染色コスト 100%→20%

新しい連続蒸機により発色性と色落ちの課題が改善し、納期短縮とコスト削減にも成功した。流行に合わせたスピーディーな納品が可能となった。これにより「素早くコストを抑えた納品」を強みとして打ち出せるようになった。近年は上場企業や新興企業など業界内でシェアを獲得している企業との取引も増えている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.0 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    手染め・型染め中心の事業から一貫生産を強みとしてきた経緯は読み取れるが、経営戦略上の位置付けを示す記述は薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    流行の移り変わりが激しい振袖市場に対し、十日町で社内一貫生産できることを強みとして挙げ、市場と経営資源の関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    型染めが2-3ヶ月かかる課題を、インクジェット染色で1ヶ月程度、コスト約1/5に抑えた事実が示され、課題と解決の関係が明確。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    染色期間2-3ヶ月を1ヶ月程度、コストを約1/5に抑えた実績があり、高付加価値・収益面の目標値は明示されていないが実現性の根拠は示されている。

  • 事業を進める体制2

    社内の検証や機械メーカーとの打ち合わせを繰り返したとの記述はあるが、人材や事務処理体制についての記載はわずかにうかがえる程度。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    大正レトロ風や友達と違う振袖の需要、SNSで注文が殺到する状況、素早くコストを抑えた納品という売りが具体的に書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    蒸し工程の課題を仮説と検証で解決し、発色・色落ちを改善した経緯はあるが、今後の中長期のスケジュールは示されていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    インクジェット染色の蒸し工程を独自の連続蒸機で実現し、従来の型染めより高水準の納期・コスト面の優位性を持つことが読み取れる。

公的補助の必要性47%
  • 波及効果・雇用2

    地域の一大産地である十日町での一貫生産や雇用への言及がわずかにうかがえるが、国が補助する理由までは書かれていない。

  • 費用対効果3

    染色期間やコストの削減実績は示されているが、補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果の数字は書かれていない。

  • イノベーションへの貢献2

    インクジェット染色やオリジナル蒸し機の開発が示されるが、サプライチェーン全体への貢献は具体的に書かれていない。

政策面60%
  • 成長分野への進出2

    流行の変化に即応する生産体制への転換がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するとの記述はない。

  • 地域経済への波及4

    十日町市は京都市と二分する振袖の一大産地とされ、地域の特性を活かした一貫生産で顧客要望に応える点が具体的に書かれている。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

振袖の多品種化が進むことが予想されるため、需要に即した振袖・着物を作り続け、顧客の要望に確実に早く応えていく方針である。

事業者の声

冠婚葬祭の冠である成人式は一生に一度しか訪れない大切な記念日。そこで着用する振袖は、とても重要な意味を持ってきます。お客様のニーズや流行性を見極めながら適正商品の制作をしていきたいと思っています。

公式の事例集より(原文のまま)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。