ものづくり補助金平成28年度製造業三重県

デジタルプリントの利用と超音波ミシンによる無縫製システムの構築

イング株式会社

成果100mからの生産が可能になった

この事例のポイント

  • 染色生地の内製化が必要になったが、国内の染工場は空洞化で減少し、小ロット生産がコストと納期の両面から困難になっていた。
  • 新たにデジタルプリンターを導入し、既設のCAD・CAMと連動させた。
  • 100mからの生産が可能になった。染色を製品に必要な部分だけに絞れるようになり、捨てる部分の染色を削減できた。

事業者のプロフィール

事業者名イング株式会社
所在地三重県 四日市市
業種繊維工業
技術分野デザイン
従業員数37人
資本金3,000万円

事業の背景

創業から60年にわたり蓄積してきた技術力と生産ノウハウを背景に、自社ファクトリーブランドの拡大を進めている。「作ることと売ること」を一体化させるファクトリーブランドが増えつつある中で、原料の染色生地の内製化が必要になっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力染色生地の内製化が必要になったが、国内の染工場は空洞化で減少し、小ロット生産がコストと納期の両面から困難になっていた。
  • コスト・採算生地全体を染色してから型紙に合わせて裁断していたため、使わない部分まで染色する無駄があった。
  • 人手・技能通常のミシンでは対応できないデザインの生産が難しく、付加価値の高い商品を生み出しにくかった。

やったこと

新たにデジタルプリンターを導入し、既設のCAD・CAMと連動させた。綿生地向けに160cm幅以上の生地へ100mから生産できるダイレクト顔料プリンター(MUTOH VJ-1938TX)、ポリエステル用の昇華転写プリンター(EPSON SC-F9200)、連続式昇華転写プレス機(ハシマ HSP-2000RU)を導入した。型紙部分のみを染色して自動裁断機で裁断できるようにし、超音波接合の縫製システムと組み合わせて無縫製の商品づくりを目指した。生地原反を通すパイプと止め金具は自社で試行錯誤して開発した。

加工機EPSON SC-F9200 昇華転写インクジェットプリンター
加工機MUTOH VJ-1938TX ダイレクト顔料プリンター
加工機ハシマ HSP-2000RU 連続式昇華転写プレス機
加工機EPSON SC-F2000 ダイレクト部分プリント機
加工機超音波接合の衣料縫製システム

新しい製品・サービス:超音波による接合技術を使ったミシンと組み合わせた無縫製の衣料製品、店舗別のオリジナル柄の商品

事業の効果

  • 100mからの生産が可能になった

染色を製品に必要な部分だけに絞れるようになり、捨てる部分の染色を削減できた。100mから個別の柄を染色でき、極端な小ロット生産がコストに関係なく可能になった。納期が短縮され、シーズン途中の追加注文にも対応できるようになった。生産ロットの制限がないため取引先の在庫リスクの軽減にも貢献できる。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.6 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性60%
  • これまでの取組との一貫性3

    60年の技術力と自社ファクトリーブランド拡大を背景に、染色内製化の必要性が述べられているが、経営戦略上の位置付けは具体的に書かれていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    国内染工場の減少と小ロット生産の困難さに触れ、企画から染色まで自社内で行う強みが示されているが、市場データの記述は乏しい。

  • 課題の認識と解決3

    染色外注依存という課題と、デジタルプリンター導入による納期短縮・省力化の方向性は示されるが、付加価値向上の数値目標は読み取れない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標2

    付加価値の高い商品を目指すとあるが、高付加価値化や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    導入設備の購入時期とテスト稼働での試行錯誤は書かれるが、人材や事務処理体制の記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    百貨店や専門店の店舗別オリジナル柄への対応、小ロット生産、在庫リスク軽減など顧客ニーズと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    テスト稼働で原反搬送装置を改良した経緯や残る課題が書かれ、課題解決の進め方が一部読み取れる。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性60%
  • 新しさ・高付加価値3

    ファクトリーブランドや小ロット対応で差別化する姿勢はあるが、分野全体の普及度や高価格化の水準は示されていない。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用2

    国内染工場の空洞化による減少への言及はあるが、経済波及や雇用創出など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    染色削減や納期短縮の効果は書かれるが、補助金投入額に対する付加価値増加などの費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献3

    CAD・CAMとデジタルプリンター、超音波接合を連動させる点は示されるが、サプライチェーン全体への貢献までは書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    国内染工場の空洞化への対応と書かれるが、成長分野への進出や産業構造転換への言及は乏しい。

  • 地域経済への波及2

    地域の産業を支える言及は見当たらず、三重県四日市の立地以外に地域の経済成長への寄与は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

  • 目標:プリントスピード15m/h(VJ-1938TX、SC-F2000)
  • 目標:転写スピード40m/h(HSP-2000RU)

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成28年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。