ものづくり補助金平成30年度製造業静岡県

アクリル樹脂素材の高透明度・高精度な超精密微細加工技術の確立

有限会社伸明工業

この事例のポイント

  • アクリル樹脂は切削加工後に表面が白濁化し、通常はバフ研磨で透明度を回復させている。
  • 切削油の温度管理機能付きNC旋盤を導入し、アクリル樹脂の高透明度と高精度を両立させた超精密微細加工を実現する設備を整えた。
  • 本事業により、アクリル樹脂の小径穴加工において高透明度・高精度な超精密加工技術を確立した。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社伸明工業
所在地静岡県 浜松市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野精密加工
資本金300万円
設立1991年

事業の背景

同社は平成3年の創業以来、精密樹脂加工分野で技術力を培い、プラスチック加工を軸に3D加工や極小径穴の微細切削を手がけてきた。アクリル樹脂はガラスに代わる材料として需要が高まっており、コストや納期の面でも優位なため置き換えが進んでいる。医療、食品、光産業などの分野から、アクリル樹脂による試作依頼が増えている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度アクリル樹脂は切削加工後に表面が白濁化し、通常はバフ研磨で透明度を回復させている。
  • 品質・精度同社が手掛ける小径穴の内側はバフ研磨ができないため、透明度を回復させる手段がなく、これが大きな障壁となっていた。
  • 品質・精度従来の手法では、アクリル樹脂の小径穴加工で高透明度と高精度を両立させることが困難だった。

やったこと

切削油の温度管理機能付きNC旋盤を導入し、アクリル樹脂の高透明度と高精度を両立させた超精密微細加工を実現する設備を整えた。この機械では「高圧切削油センタースルー方式」を採用し、ドリルの中央から高圧切削油を供給して加工時の発熱を抑え、白濁化を大幅に減らす狙いとした。従来の方法では行き届かなかった小径ドリルの奥深くまで切削油が行きわたるため、より精密な加工が可能になった。また、切削加工時のグリス塗布が不要になった。

加工機切削油の温度管理機能付きNC旋盤

事業の効果

本事業により、アクリル樹脂の小径穴加工において高透明度・高精度な超精密加工技術を確立した。加工後の品質が大幅に向上し、高透明度を維持できるようになった。グリス塗布が不要となり、加工工数は30%以上削減され、コストも大幅に削減された。他社が加工困難とする製品への問い合わせが急増し、売上の増加につながっている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    創業以来の精密樹脂加工の技術蓄積と、プラスチック加工を軸にした事業方針との一貫性は読み取れるが、経営戦略上の位置づけは明示されていない。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    アクリル樹脂がガラスに代わり需要増、他社が加工困難な小径穴加工の技術力という市場動向と自社強みの関係が具体的に書かれている。

  • 課題の認識と解決4

    小径穴の内側をバフ研磨できない課題を認識し、高圧切削油方式で解決する計画が示され、売上増加にも触れている。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標3

    工数30%以上削減やコスト大幅削減と効果は書かれているが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制2

    創業以来の技術力は触れられているが、補助事業を遂行する人材や事務処理体制についての記述は見当たらない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    高透明度・高精度加工への医療、食品、光産業からの問い合わせ増加という顧客ニーズと、他社にない技術による選ばれる理由が示されている。

  • 事業化までの道筋2

    今後は医療用検体検査機器市場の拡大を見込み販売拡大や新販路開拓を目指すとあるが、スケジュールや課題解決の具体的方法は書かれていない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    他社が加工困難とする高透明度・高精度の小径穴加工を確立し、同分野で高付加価値化を図っている点が具体的に書かれている。

公的補助の必要性53%
  • 波及効果・雇用3

    医療、食品、光産業など成長市場への貢献は書かれているが、雇用創出や波及効果など国が補助する理由は明示されていない。

  • 費用対効果3

    工数30%以上削減やコスト大幅削減と効果は書かれているが、補助金投入額に対する費用対効果の数値は示されていない。

  • イノベーションへの貢献2

    高圧切削油センタースルー方式という新技術の活用はうかがえるが、サプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    医療、食品、光産業といった成長市場への進出がうかがえるが、日本経済の構造転換に資するという記述はない。

  • 地域経済への波及2

    浜松市天竜区での事業は分かるが、地域特性を活かした雇用創出や地域経済成長への言及は見当たらない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

今後は医療用検体検査機器市場の拡大が見込まれるなか、同社製品の販売を拡大する方針である。新たな販路の開拓を通じて、市場ニーズに応えながら持続的な成長を目指している。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。