ものづくり補助金平成30年度製造業京都府

高精度要求に伴うマシニングセンター仕様改善チャレンジ事業

洛陽化成株式会社

この事例のポイント

  • ボールねじ駆動の高速微細穴加工機では、製品精度の安定性が欠ける結果が出ることが少なくなかった。
  • リニアモーター型マシニングセンター「Android Ⅱ」を導入し、徹底的な温度管理を施した個室に設置した。
  • 微細加工数値の限界が大きく向上し、5G関連のテストソケットに求められる超微細多数穴加工に対応できる体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名洛陽化成株式会社
所在地京都府 久御山町
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野精密加工
従業員数20人
資本金1,000万円
設立1977年

事業の背景

当社は半導体後工程検査治具(ファイナルテスト用ICソケット)のパーツを受託加工し、スマートフォン・PC・自動車用半導体向けに樹脂の微細加工を手がけている。第5世代移動体通信(5G)関連市場の大きな伸びが予測される中、顧客からテストソケットの要望を受けた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 品質・精度ボールねじ駆動の高速微細穴加工機では、製品精度の安定性が欠ける結果が出ることが少なくなかった。
  • 品質・精度マシニングセンターの主軸部分の熱変異による精度・公差外れや、連続長時間加工の熱変異による形状変異が起きていた。
  • 品質・精度深穴加工では切粉の発生による真円だれが起き、微細加工ではドリルが折れるなどの課題があった。
  • 新製品・新技術5G関連のテストソケットで求められる超微細多数穴加工に、既存の加工技術では対応しきれなかった。

やったこと

リニアモーター型マシニングセンター「Android Ⅱ」を導入し、徹底的な温度管理を施した個室に設置した。リニアモーター駆動により主軸と各軸の制御や換気効率を強化し、モーター回転による温度変化を大幅に改善した。NCデータ加工検証プロジェクトチームを立ち上げ、目標を穴径0.05mm、公差±0.003mm、挟ピッチ穴間壁厚0.02mm、穴深さ10Dの極小径穴加工とし、約2500穴で1穴目と同精度を保つことを追求した。既存機と新規機で比較サンプルとデータを作成し、穴バリの制御と加工可能な材質の拡大も検証した。受注案件の機械稼働采配の工夫も並行して検証した。

加工機リニアモーター型マシニングセンター Android Ⅱ

新しい製品・サービス:5G関連向けテストソケットの超微細多数穴加工

事業の効果

微細加工数値の限界が大きく向上し、5G関連のテストソケットに求められる超微細多数穴加工に対応できる体制が整った。リニアモーター駆動機の導入により、長時間の稼働でも安定して高精度を実現できるようになった。展示会への年4回ほどの出展で新規取引先が着実に増え、複数の大手メーカーの開発部門にも採用されて安定した品質が好評を得ている。機械稼働の最適化と加工時間の短縮も進めている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.8 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性73%
  • これまでの取組との一貫性3

    既存のマシニングセンター加工技術の延長で、超微細多数穴加工の高度化が事業の流れに位置付けられているが、過去の取組との連続性は文章から具体的に読み取りにくい。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    5G関連市場の伸びを踏まえ、超微細多数穴あけ加工技術に自信があると記載され、強みと外部環境の関係が具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決4

    ボールねじ機では精度安定性が欠けるという課題を認識し、穴径0.05mm・公差5μなど具体的数値目標で解決策を示している。

事業の実現可能性60%
  • 付加価値・賃上げの目標4

    穴径0.05mm、公差5μ、穴間壁厚0.02mm、約2500穴の精度維持など具体的な高付加価値の目標値が示され、導入後の成果も記載されている。賃上げ目標は読み取れない。

  • 事業を進める体制3

    NCデータ加工検証プロジェクトチームの設置や従業員定着による技術向上が記載されているが、体制の人員規模や事務処理能力は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    5G向けテストソケットの顧客要望や、大手メーカーの開発部門に採用され安定品質が好評との記載から、ターゲットと選ばれる理由が読み取れる。

  • 事業化までの道筋3

    高速化や量産化を視野に入れた今後の展開や、稼働采配の追求が記載されているが、スケジュールや遂行方法の具体性は薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    0.05mm・公差5μ・穴間壁厚0.02mmなど業界数値の限界に挑む高水準の微細加工を追求していると具体的に記載されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    5G関連市場の成長や半導体後工程の重要性に触れているが、経済波及効果や雇用創出など国が補助する積極的理由は記載されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    リニアモーター型マシニングセンターの導入はあるが、先端デジタル技術やサプライチェーン全体のイノベーションへの貢献は明確に書かれていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    5G関連市場という成長分野への対応がうかがえるが、日本経済の構造転換に資する点までは記載されていない。

  • 地域経済への波及2

    京都府久御山町の地場企業であることは分かるが、地域の特性を活かした雇用創出や経済成長への言及は読み取れない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

リニアモーター駆動機の利点を活かし、途中検査の省力化や全自動化・量産化を視野に入れて今後見極めていく。上記条件での加工時間の短縮をめざし、最適な機械の稼働采配を追求していく。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。