ものづくり補助金平成30年度製造業広島県

射出成形機のAI化及び検査・加工のロボット化による次世代成形の構築

有限会社馬場プラスチック

成果加工時間 420s/サイクル→38.5s/サイクル

この事例のポイント

  • 受注が拡大する中、過疎化の影響や人材獲得競争の激化により人材確保が非常に難しく、目視検査工程もあるため生産に影響が出始めている。
  • 多関節ロボットと次世代成型機を組み合わせ、インサート成型の全自動化や2材料成型などを実現した。
  • 加工時間 420s/サイクル→38.5s/サイクル。加工時間は420秒から38.5秒へと大幅に短縮し、加工工数も3.0名から0.5名に減った。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社馬場プラスチック
所在地広島県 東広島市
業種プラスチック製品製造業(別掲を除く)
技術分野精密加工,製造環境
従業員数13人
資本金300万円
設立1988年

事業の背景

当社は東広島を拠点とし、創業以来1,000種類にも及ぶプラスチック射出成形品を作り、累計生産5億個を達成している。自動車部品をはじめ、産業機械用部品、電機関連部品など様々な分野の小型精密部品を製造している。近年はPEEK・PPS・LCP等のスーパーエンプラの成形にも力を入れており、受注が拡大している。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能受注が拡大する中、過疎化の影響や人材獲得競争の激化により人材確保が非常に難しく、目視検査工程もあるため生産に影響が出始めている。
  • 人手・技能既存の仕事には単純作業もあり、優秀な人材が能力を十分に生かせないでいる。
  • 品質・精度顧客要求の高まりにより現状の生産設備の能力以上の精度が求められ、品質保証もロット保証から個別保証へと厳しくなってきている。
  • 品質・精度重要保安部品は個別品質保証が必要だが、成型データや加工記録の大半が人による記録のため限界があり、全製品データの管理は不可能である。
  • 生産能力製品形状が複雑化しており、既存の設備では成型能力が不足している。
  • 品質・精度高機能材はプラスチック以外の物質(フィラー、炭素繊維、金属)を混ぜてあるため成型安定性が悪く、不良率が非常に高い。

やったこと

多関節ロボットと次世代成型機を組み合わせ、インサート成型の全自動化や2材料成型などを実現した。既存の取出し装置では不可能だったアンダー形状の自動化も達成した。AIを使った次世代成形機の活用により、成形の最適化と成形安定性・高品質維持を図った。製品検査は画像検査用カメラを用いて全自動化し、検査・作業の効率化と安定化を進めた。

加工機次世代成形機(AI活用の射出成形機)
ロボット多関節ロボット
検査測定画像検査用カメラ

事業の効果

  • 加工時間 420s/サイクル→38.5s/サイクル
  • 加工工数 3名→0.5名
  • 不良率 10%→0%
  • 利益率 18%→42%
  • 消費電力 4,200kWh/月→2,563kWh/月
  • 電気代 48,048円/月→29,320円/月

加工時間は420秒から38.5秒へと大幅に短縮し、加工工数も3.0名から0.5名に減った。不良率は10%から0%になり、利益率は18%から42%へ改善した。自動化により余剰となった人員を高付加価値製品の工程へ配置転換でき、人材不足の解消と高付加価値商品への展開が可能になった。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均3.2 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性80%
  • これまでの取組との一貫性3

    過去の成形ノウハウを活かしAI成形体制を構築すると述べるが、経営戦略上の位置付けの説明は具体性が薄い。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    同種の統合システムを持つ成形メーカーはなく海外メーカーに対し競合力が高いと、競争優位性を具体的に述べている。

  • 課題の認識と解決5

    課題は人材確保難と不良率の高さで、加工時間420s→38.5s、不良率10%→0%など数字で改善効果を示している。

事業の実現可能性56%
  • 付加価値・賃上げの目標5

    稼働率45%→118%、利益率18%→42%、不良率10%→1%以下など具体的な目標値と既設・新設の実績数値が示されている。

  • 事業を進める体制2

    従業員13人で設備を運用する記載はあるが、補助事業を遂行する体制や事務処理能力についての記述は読み取れない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    重要保安部品や高機能材の個別品質保証というニーズと、複雑形状への対応が具体的に述べられている。

  • 事業化までの道筋2

    導入後の展望は書かれているが、遂行方法やスケジュール、課題解決の段取りは読み取れない。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    インサート成型の全自動化や既存装置で不可能だったアンダー形状の自動化など、同分野で高水準の高付加価値化を図る内容が示されている。

公的補助の必要性73%
  • 波及効果・雇用3

    過疎化による人材確保の困難や自動車・電機分野の成長に触れるが、国が補助する理由として雇用や波及効果は具体的に示されていない。

  • 費用対効果4

    投資に対し加工工数3.0名→0.5名、消費電力48,048円→29,320円/月など費用削減効果の数値が示されている。

  • イノベーションへの貢献4

    AIによる成形最適化と多関節ロボットによる検査自動化を組み合わせたデジタル活用が具体的に記載されている。

政策面40%
  • 成長分野への進出2

    電動化や電気制御機器など成長分野に触れるが、日本経済の構造転換への寄与は明示されていない。

  • 地域経済への波及2

    東広島を拠点とし地域の製造業で働く点はうかがえるが、地域経済の成長を牽引するという記述は乏しい。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

自動車分野は電動化や安全装備によるセンサー多用で電装関連やコネクタ等の成長が期待できる。電機制御分野はスマートメータ等で2024年まで高需要が続き、電気自動車の普及に伴いパワーコンディショナー等の電気制御機器も増える傾向にある。トイレ分野は海外で急成長しており、国内メーカーの海外展開も進んでいるため今後も成長が期待できる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成30年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。