ものづくり補助金平成24年度長崎県

製造設備の改良により、製品の安定供給と多様化による競争力強化を図る。

粕谷製網株式会社

この事例のポイント

  • 製品の生産量が不足し、M社から生産委託を受けても自社で応じきれない状況だった。
  • 従来の大目用編網機を小目用の編網機に改造するとともに、小目合の2倍の目合(縦横のピッチが2倍)となるスーパー大目の編網機能を追加した。
  • 生産体制の強化によりM社からの生産委託への対応が可能になった。

事業者のプロフィール

事業者名粕谷製網株式会社
所在地長崎県 諫早市
業種繊維工業
技術分野繊維加工
従業員数62人
資本金410万円
設立1966年

事業の背景

当社は定置網や係留施設の設計・施工・販売を行ってきた。30年前に金網に代わる錆びない網の相談を受け、ポリエステル製重甲型網(KIKKONET)を開発・販売してきた。5年前にイタリアの大手金網メーカーM社と提携し、国外での製造販売権を譲渡したが、M社から当社売上の8か月分に相当する生産委託が舞い込み、今後も同様の生産協力要請が確実視されている。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 生産能力製品の生産量が不足し、M社から生産委託を受けても自社で応じきれない状況だった。
  • 新製品・新技術多様化する顧客要望、特にマグロ養殖での大型魚向けの強度の高い網の要望に対応できる製品が必要だった。

やったこと

従来の大目用編網機を小目用の編網機に改造するとともに、小目合の2倍の目合(縦横のピッチが2倍)となるスーパー大目の編網機能を追加した。試運転の結果、意図した通りの網が製作できた。M社がマレーシアに設置した工場は生産ラインが1つしかないため生産が追い付かず、当社に製造を委託せざるを得ない状況だったが、ライン見直しにより対応が可能になった。

新しい製品・サービス:小目合の2倍の目合となるスーパー大目の網(マグロ養殖向けの大型生簀用および護岸・落石防止用のフトン籠など)

事業の効果

生産体制の強化によりM社からの生産委託への対応が可能になった。あわせて国内でも展開が広がり、マグロ養殖向けの大型生簀網の大手5社への働きかけや、河川・海の護岸に使うフトン籠など陸上土木分野への販売拡大が見込まれる。陸前高田では防潮堤用に1400基を納入しており、スーパー大目の網が対応できることが確認できた。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで、採択された計画の標準を3として見ています。公開情報では判断できない観点は点数を出さず、平均にも入れていません

観点の平均2.9 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

この事例が強かった観点

  • 4
    強み・弱みを踏まえた優位性錆びず軽量で耐久性が高い独自技術で特許出願済みと書かれ、M社の生産委託も受けており強みが具体的に読み取れる。
  • 4
    顧客とニーズの裏付けスーパー大目網はマグロ養殖の大型生簀や防潮堤用途にニーズがあり、陸前高田に1400基納入した実績も書かれている。
  • 4
    新しさ・高付加価値ポリエステル製重甲型網は世界的に他に類を見ない製品で、金網では製造できない大型生簀に対応できると書かれている。

伸びしろがあった観点

  • 1
    イノベーションへの貢献先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの活用については書かれていない。
経営戦略との整合性3.3
  • これまでの取組との一貫性3

    30年前からポリエステル製網を開発・販売し、5年前にM社と提携した経緯が書かれ、過去の取組との一貫性がうかがえる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性4

    錆びず軽量で耐久性が高い独自技術で特許出願済みと書かれ、M社の生産委託も受けており強みが具体的に読み取れる。

  • 課題の認識と解決3

    生産不足と多様化する顧客要望という課題を認識し、編網機改造で解決する方針が書かれているが、高付加価値化の数値は乏しい。

事業の実現可能性3.0
  • 付加価値・賃上げの目標2

    M社の生産委託が当社売上の8か月分に相当するとあるが、付加価値額や賃上げの目標値は示されていない。

  • 事業を進める体制3

    既存の編網機を改造し試運転で意図通りの網が製作できたとあるが、補助事業の実施体制や人材には触れられていない。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    スーパー大目網はマグロ養殖の大型生簀や防潮堤用途にニーズがあり、陸前高田に1400基納入した実績も書かれている。

  • 事業化までの道筋3

    国内の養殖分野と陸上土木分野への販売拡大というステップが示されているが、スケジュールや課題解決の方法は詳述されていない。

  • 財務と資金の調達3

    財務の状況は公開されている事例には出ないため、中間の3としています。

新市場性・高付加価値性4.0
  • 新しさ・高付加価値4

    ポリエステル製重甲型網は世界的に他に類を見ない製品で、金網では製造できない大型生簀に対応できると書かれている。

公的補助の必要性2.3
  • 波及効果・雇用4

    築堤護岸や落石防護など防災・安全確保が国家的関心事で、防潮堤の復旧にも納入実績があると書かれている。

  • 費用対効果2

    補助金投入額に対する付加価値増加や費用対効果を示す数字は書かれておらず、受注増の事実にとどまる。

  • イノベーションへの貢献1

    先端的なデジタル技術や新しいビジネスモデルの活用については書かれていない。

政策面2.5
  • 成長分野への進出2

    漁獲量減少に伴う養殖魚への関心の高まりに触れているが、日本経済の構造転換との関係は述べられていない。

  • 地域経済への波及3

    長崎県諫早市の企業で、特許技術を活かして国内外へ展開する点は読み取れるが、地域の雇用や経済成長への波及は具体的でない。

今後の展望

M社からの安定した生産受託を基盤に、当社は国内向け販売に専念できるようになった。マグロ養殖や護岸・落石防止などの陸上部門でのニーズの高まりが見込まれるため、全社を挙げて製品開発を進め事業拡大に取り組む方針である。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです(画像のPDFを文字起こししてから読み取りました)。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。