指輪づくりを体験型に変え、扱いにくい素材にも応える
GOLD GOVERN株式会社
群馬県の指輪工房・ジュエリーリフォーム店(従業員3名)国が公開している採択事例です
この事例のポイント
- 修理だけでは価格競争になり、預かって作り変える方式はすり替えを疑われる心配があった。
- 来店客が自分で指輪をつくる体験型に切り替え、その設備に持続化補助金を使った。
- 他店が敬遠するチタン・ステンレスのサイズ直しや、金属アレルギーに配慮したタンタルの指輪に取り組んだ。
- 商工会議所の経営指導員が、本人が見過ごしていた資格や技術を強みとして言葉にした。
事業の経緯
現取締役は以前、県内でパン工場を営んでいたが、廃棄ロスなどで収益が落ち込み廃業した。その後、夫婦でジュエリー修理店を開いたものの、他店との違いを出せず価格競争に陥った。2012年に高崎市へ移り、古い指輪を作り変えるリフォーム事業を始めた。
作り変えた指輪を疑われた出来事をきっかけに、客が自分で指輪をつくる体験型に切り替え、商工会議所の紹介で持続化補助金を活用した。その後もチタン・ステンレス指輪のサイズ直しやタンタルの指輪づくりに挑み、コロナ禍にはホームページを一新して全国から注文を受けるようになった。2023年に法人化した。
事業の内容
- 課題:価格競争ジュエリー修理店として始めたが、他店との違いを出せず、価格を比べられて安い店に客が流れていた。古い指輪を溶かして作り変えるリフォームも浸透しなかった。
- 課題:すり替えへの疑い祖母の指輪の作り変えを頼んだ客から、本当に元の指輪なのかと疑われた。預かって作り変える方式には、すり替えを疑われる危うさがあると気づいた。
- 取り組み:手作り指輪の体験店で客が自分で指輪をつくる方式に切り替えた。商工会議所の経営指導員から持続化補助金を紹介され、彫金の作業机やイス、火床、工具、機材をそろえた。あわせてブライダル雑誌やフリーペーパーへの広告も始めた。
- 取り組み:チタン・ステンレスのサイズ直し通販で安く買える一方でサイズ直しのできる店がほとんどないチタンやステンレスの指輪に対応するため、補助金で専用のドイツ製の機械を入れた。
- 取り組み:タンタルの指輪金属アレルギーで指輪をつけられない人のために、レアメタルの指輪の製造に挑んだ。少量で仕入れられる業者を1年かけて探し、加工に詳しい人の紹介でワイヤーカットの道具を手に入れた。大学と共同で黒いタンタルに色をつける陽極酸化の技術も開発した(研究開発には県の補助金を活用)。
- 取り組み:ホームページの刷新コロナ禍を機に、対面に頼らない事業の形と商圏の拡大をめざし、補助金でホームページを一新した。客の要望から高級時計のサイズ直しも始め、ホームページで知らせた。
補助金を使った経費
記事の内容から、小規模事業者持続化補助金の経費区分にあてはめた区分です。
| 機械装置等費 | 彫金作業机 |
|---|---|
| 機械装置等費 | イス |
| 機械装置等費 | 火床 |
| 機械装置等費 | 工具・機材 |
| 機械装置等費 | チタン・ステンレス指輪のサイズ直し用の専用機 |
| ウェブサイト関連費 | ホームページ |
事業の効果
- 手作り指輪の体験とブライダル系の広告で、来店客が増えた。
- ホームページの刷新で、顧客が首都圏から全国に広がり、業績が伸びた。
- 高級時計のサイズ直しは、年間3桁に迫る本数を受けるようになった。
事業者の声
食べ物はもう勘弁。
業界経験がなかったため技術習得は大変だった。その一方で、常識にとらわれずにジュエリー事業に取り組めたという良さはあったかもしれない。
ジュエリーは壊れても生活に困らないので、急いで修理しようとしない。他店とじっくり価格を比べられ、安いお店にお客さんが流れてしまっていた。
私にも経験があるのですが、お母さんやおばあちゃんからもらった指輪は資産価値だけでなく思い出が詰まった大切なもの。それでも、デザインが古く使いにくいという理由でタンスの肥やしになっていたので、それを何とかしたかった。
指輪を預かって形を変える今のやり方は偽物へのすり替えを疑われるリスクがあることに気づいた。それであれば、店舗でお客さまに自分で作ってもらってはどうかとの話になった。
梅澤さんから『これならできますよ』と励まされ、すぐにやろうと決意した。内容の説明を受けて、すぐに計画書の作成に着手した。
一番難しかったのは計画書の書き方や文字の起こし方。伝えたいけど言葉が出てこない。特に時間がかかったのは、自社の強みや外部環境分析。自分の強みは漠然と分かっていても、文字にするとなかなかまとまらない。そうした中で梅澤さんのアドバイスが有難かったです。
結婚指輪に関する世の中の価値観が変わり、プラチナやゴールドに代わって安価なチタンやステンレスの指輪が増えていた。これらは大手通販サイトで安価に販売されているがサイズ選びが難しく、その一方でサイズ直しができる場所はほとんどない。このため、サイズに不満のまま使い続ける人が多いことを聞き、何とかできないかと考えた。
新郎新婦のどちらかに金属アレルギーがあって指輪をつけられない人をなくしたい。そうした思いから、レアメタルの指輪の受注製造・販売にチャレンジすることを決めた。
ブラジル産のタンタル素材を少ロットで仕入れることができる業者の確保に1年。ようやく入手できた無垢板材を指輪の形に切り抜こうとすると硬くて切れない。そこで梅澤さんから金属加工に詳しい方を紹介していただき、ようやくワイヤーカットできる道具を入手できた。
知り合いの知り合いを当たりながら、人の縁で実現にこぎつけた事業。そこに梅澤さんの人脈も活用させていただいた。
高級時計のサイズ直しは、失敗のリスクを考えると手を出しづらい事業。それでも挑戦しようと決めて、繰り返すことで技術は必ず向上する。お客さんが望んでいることには今後も挑戦したい。
タンタルを使った製品をもっと増やせないかと考えている。ファーストピアスはタンタルでと言われるくらいに普及させたい。
群馬県の指輪工房・ジュエリーリフォーム店(従業員3名)
出典
- 中小機構「補助金活用ナビ」の事例記事(当社が書き直し・要約。事業者の声は記事中の発言の引用です)
- 経費区分は、小規模事業者持続化補助金の公募要領の区分に当社があてはめたものです
- 採択率:中小企業庁「採択結果」(第19回)
販路開拓の手段
- 手作り指輪の体験:来店客が自分で指輪をつくれる作業設備を店にそろえた。
- ブライダル系の広告:ブライダル雑誌やフリーペーパーに広告を出した。
- 新しいサイズ直し:チタン・ステンレス指輪のサイズ直しができる専用機を入れた。
- ホームページの刷新:対面に頼らない受注で商圏を首都圏から全国に広げた。
相談先と計画づくり
| 商工会議所 | 高崎商工会議所 |
|---|
計画書づくりでは、自社の強みと外部環境の分析にいちばん時間をかけた。持っている資格や技術など、本人が当たり前と思っていた点を経営指導員が強みとして示し、メールでのやり取りを1か月重ねて計画にまとめた。
今後の展望
タンタルを使った製品を増やし、最初のピアスはタンタルでと言われるほど広めたいと考えている。貴金属のリサイクルを通じて、環境に配慮したジュエリーづくりもめざす。客の望むことには今後も挑戦を続ける。
この事例の取り組み
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