ものづくり補助金平成24年度東京都

日本伝統の「前掛帆布」製造技術維持拡大と個別受注型情報共有システムの構築

有限会社エニシング

この事例のポイント

  • 手作りの厚手帆布の技術を継承する人材が不足し、技術の継承が困難になっていた。
  • 昭和30〜40年代に作られた厚みのある最高級の1号前掛けを残すべき技術と考え、やる気のある新人を採用して技術を承継した。
  • 厚くて柔らかい帆布を昔ながらの製法で織れるようになり、帆前掛けの技術を次の世代へ引き継げる体制が整った。

事業者のプロフィール

事業者名有限会社エニシング
所在地東京都 港区
業種繊維工業
技術分野組込みソフトウェア
従業員数8人
資本金300万円
設立2000年

事業の背景

平成12年の創業当時は海外観光客向けの漢字Tシャツを製造・販売していた。平成16年に帆前掛け商品を発売し、平成17年に帆前掛け専門店を開店した。その後、国内百貨店やニューヨーク、バルセロナ、ロンドンなどで前掛け展を開き、欧米での人気も高まった。一方、高度経済成長期に繊維産業の多くが中国へ移り、前掛けの布地も大きく変わっていた。

課題と取り組み

抱えていた課題

  • 人手・技能手作りの厚手帆布の技術を継承する人材が不足し、技術の継承が困難になっていた。
  • 生産能力昭和初期の動力方式を保つ古い自動織機は、品質を安定させるため日々の細かなメンテナンスや四季を通した動作確認が必要だった。
  • その他顧客からのサイズや図柄の個別注文に正確に対応するため、社内と外注先の間で情報を共有する仕組みが必要だった。

やったこと

昭和30〜40年代に作られた厚みのある最高級の1号前掛けを残すべき技術と考え、やる気のある新人を採用して技術を承継した。製作しながらテストマーケティングを行い、手応えを得てから専用シャトル織機を導入した。専用シャトル織機は1回あたり600mを織ることができ、トヨタグループから寄贈された。小島染織工業と芳賀織布工場の協力を得て技術を継承し、令和元年6月に豊橋工場を開設した。豊橋工場では約100年前の国産織機を含む9台の自動織機を使い、社内と外注先を結ぶ個別受注型情報共有システムを構築した。

加工機専用シャトル織機
ソフト個別受注型情報共有システム

新しい製品・サービス:帆前掛け(1号前掛け)

事業の効果

厚くて柔らかい帆布を昔ながらの製法で織れるようになり、帆前掛けの技術を次の世代へ引き継げる体制が整った。個別注文の情報を社内と外注先で共有できるため、顧客の仕様に正確に応えられるようになった。製品はアメリカのジーンズブランドへの帆布卸しや、ロンドンの雑貨店での取り扱いにつながり、海外での取引が広がった。また、国内では名入れ製品が企業や学校法人の土産として使われている。

審査の観点ごとの評価

いま募集している新事業進出・ものづくり補助金の公募要領にある審査の観点14つで見ています

観点の平均2.5 / 5

出典:公募要領 p.44(審査項目)

経営戦略との整合性67%
  • これまでの取組との一貫性4

    平成16年の帆前掛け発売、17年の専門店開設など前掛け事業を継続して拡大し、専用織機導入と技術承継を経営戦略に位置付けている様子が読み取れる。

  • 強み・弱みを踏まえた優位性3

    欧米での前掛け展や大英博物館ショップとの取引が書かれ、海外人気を強みとしているが、市場動向と自社資源の比較は具体的に示されていない。

  • 課題の認識と解決3

    課題として「昔ながらの作り方でないと厚くて柔らかい帆布は生み出せない」と認識しているが、高付加価値化の数値目標や計画の詳細は書かれていない。

事業の実現可能性48%
  • 付加価値・賃上げの目標1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 事業を進める体制3

    やる気のある新人を採用して技術を承継し、外注先とも連携して個別受注を管理する体制が書かれているが、人材や事務処理能力の詳細は薄い。

  • 顧客とニーズの裏付け4

    ぬくもりある手作り帆布、名入れ対応による企業や学校法人のお土産需要、トヨタグループとのコラボなど、顧客ターゲットと選ばれる理由が整理されている。

  • 事業化までの道筋3

    テストマーケティングを経て専用織機を導入し、新工場稼働と海外展開を進めると順序が示されているが、期限や課題解決の方法は具体性が薄い。

  • 財務と資金の調達1

    公開されている事例からは読み取れません。

新市場性・高付加価値性80%
  • 新しさ・高付加価値4

    昭和30〜40年代の厚手最高級1号前掛けを手作りで再現し、1回600mの専用織機で作る点など、同分野で高付加価値を図る取組が具体的に示されている。

公的補助の必要性33%
  • 波及効果・雇用2

    日本の伝統技術の承継や海外への発信が語られるが、経済波及や雇用創出の規模など国が補助する積極的理由は数値を伴って示されていない。

  • 費用対効果1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • イノベーションへの貢献2

    社内・外注を繋ぐ個別受注型情報共有システムを構築したことは書かれているが、先端デジタル技術の活用や地域への波及効果は十分に示されていない。

政策面40%
  • 成長分野への進出1

    公開されている事例からは読み取れません。

  • 地域経済への波及3

    愛知県豊橋市に前掛ファクトリーを創設し地域の工場で製造している点は読み取れるが、地域経済や雇用の牽引効果は具体的に書かれていない。

5=数字や事実つきで具体的に読み取れる、4=具体的に読み取れる、3=読み取れるが具体性が薄い、2=わずかにうかがえる、1=公開情報からは読み取れない。公開されている事例を公募要領の観点に照らして当社が整理したもので、実際の審査の点数ではありません。

今後の展望

アメリカのジーンズブランドへの帆布卸しや、ロンドンの雑貨店での取り扱いなど、世界的な広がりを見せている。国内では名入れができることから企業や学校法人が海外の方へのお土産に活用している。トヨタグループや円谷プロダクション、サンリオ、スタジオジブリなどとのコラボレーションも進んでいる。

業種と困りごとが近い成果事例

出典とまとめ方
  • 出典:公式の事例集(平成24年度、全国中小企業団体中央会)。事例集の再利用は中央会の許可を得ています。
  • 課題・取り組み・設備・効果・展望は、事例集の本文から当社がAIで項目に分けて短くまとめたものです。数字は事例集に書かれているものだけを載せ、時間の単位などをそろえています。原文のまま載せているのは事業者の声だけです。
  • 代表者名・電話番号・番地は載せていません。法人の形が名前にない事業者は名前を出していません。